肯定

今日をもって仲良くしてくれていた先輩が退職した。

表面では笑顔で見送ったが、内心は泣きそうだった。

障害者雇用で働いて、雑用ばかりの毎日で、他の人たちのように出世とかない環境で、なんなら仕事中ずっと誰にも喋りかけられないこともしょっちゅうで。
だけどこの先輩だけは僕のことを気にかけてくれて「頑張ってるね」、「よくやってるよ」、「無理しないでね」と優しい言葉をたくさんかけてくれた。
それ以外にもたくさん親切にしてもらった。

先輩は3月に入って、僕とたまたま2人で話す機会のある時に今月をもってこの仕事をやめると告げた。
同職種だけど、別の会社でスキルアップをより図りたいとのことだった。

応援したかった。するしかなかった。
内心の「やめてほしくないです」は噛み殺す以外になかった。僕にそんなことをいう権利はないと感じた。
絞り出した声で「先輩ならどこへ行っても輝けますよ」と言った。
多分無理してたことは伝わっていたと思う。


僕はこの先輩からの言葉でもって、この職場での自分を肯定できていたんだな。
そして僕とは真逆の気さくで、人見知りせず、堂々としている先輩のその姿に憧れも感じていたんだろうな。

だから。
先輩がいなくなることは僕自身を肯定してくれる存在もいなくなるということだ。すごく自分勝手な目線だけど。

だけど。
僕は自分を肯定してくれた先輩を応援する。
応援しなきゃいけない。
きっと新しい職場でも僕のように先輩の存在に救われる人は必ずいるだろう。
その人たちのために先輩はいなきゃいけないんだ、きっと。

先輩、あなたがいたから今の仕事を頑張ろうと思えました。
自己肯定、まだまだ難しいですけど、僕はもうしばらくはこの仕事を続けようと思います。
ありがとうございました。

30近くになって、卑屈だらけの僕でも、人の退職で泣ける日が来るとは思わなかった。
人生何が起こるかほんとわからんね。
うん、泣けたこと、これ肯定しよう。

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