愛しのデスク

 僕はちょうどいい机と椅子を買う才能に恵まれなかった。
 想像する。例えばそれは濃淡のウォールナットでできた机。そばにスツールが置いてあってもよい。さよならとはじめましてを一度にこなしてくれる机。学習机ほど他人行儀でなく、ワーキングデスクほどの騒々しさはいらない、ただ広々とした一枚木の机。僕が両手を広げると、日々の辛さを和らげてくれて、心地よく使わせてくれる机。万が一にでも、机の上をごちゃごちゃさせない高貴な机。静謐で、尊敬できる机。

 想いを馳せると、時間が過ぎゆく。昨日を覚えていないのに、すべてを含めて自分だと思う。今日がよい日でありますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?