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Alternative New Change Music Jockstrap / I Love You Jennifer B アルバムレビュー

 お久しぶりです。遠藤生です。本日は、9月9日にリリースされたJockstrapのファーストアルバム「I Love You Jennifer B」をレビューしていきます。

 まず、Jockstrapを紹介します。Jockstrapはジョージア・エレリーとテイラー・スカイの2人で構成されるバンド(?)、オルタナティブ・ポップ・デュオ(?)である。Jockstrapという単語の意味は男性が運動をするときに陰部の揺れや動きを防ぐために履く男性用下着のことである。


 ここではこの下着に関して深く掘り下げないし、というか掘り下げたくないので気になる人はググってみてください。しかしまあ、ちょっとクレイジーすぎる名前なんですけど、音楽もクレイジーなので名前から裏付けられているなと。というか、自分が日本のバンドでこんな名前のバンドが出てきたら、バンド名をどんな命名の理由があれ、目立てばいいってもんじゃないでしょ!!!って絶対に聴かない気がするけど、最初はそんなことも気にせず聴いて衝撃を受けたわけだから洋楽を聞く人にとって言語の違いで歌詞などを理解できず悔しい思いを一度はしたことがあると思うけど、こんな思いもよらないところで言語の壁に恩恵を受けたことは初めてだったので、なんかそれすらも面白かった。


 メンバーのジョージア・エレリーは今をときめくBlack Country, New Roadのボーカル、バイオリンを務めるメンバーであり、多岐にわたって活躍している。


 Black Country, New Roadは今年のFuji Rockに参加し、自分は実際に行って生で見てきたのですが、バンドの身なりや雰囲気自体は大学の音楽サークルのバンドみたいで、今年の年間ベスト級のアルバム「Ants Ants From Up There」をリリースしたバンドとはお世辞には思えなかったが、将来的にはヘッドライナー級のバンドになって再びFuji Rockのステージに帰ってくると確信させるようなパフォーマンスをしてくれた。


 ボーカル、ギターのアイザック・ウッドが脱退した後で全て新曲でパフォーマンスをするという事だったが、過去2作品の「For The First Time」, 「Ants Ants From Up There」のサウンドを踏襲しながらも、新しいサウンドに挑戦しているという事が伝わったし、何よりもメインボーカルが脱退したということもあり、過去の2作品では歌ってこなかったメンバーもメインボーカルを務めてたりと空いた穴をみんなでうまく塞いでいたが、それにしても歌うメンバーが他のバンドだったら余裕でメインボーカル務められるだろと思うくらい歌が上手かった。


 それに楽団のようなサウンドが重なるのだから過去2作品よりも厚みが増すに違いない。メインボーカルが抜けて大丈夫なのであろうかという心配はFuji Rockのパフォーマンスを見た自分にとっては杞憂に終わったし、とても次のアルバムがとても楽しみになった。​


下着の話やら、Fuji Rockの話で脱線したが、本題に移ろう。



 しかし、レビューとは言ったものの、このアルバムのレビューを様になるように自分が書けるとは考えていない。月1でnoteを投稿すると決めてものの結局続かずじまいでまだ3本しか投稿できていない自分がこのアルバムのレビューを書ける訳がない。ちゃんとしたレビューが読みたい人は他の素晴らしいライターの文を読んで欲しい。たとえ、このアルバムのレビューが日本語の記事で書かれなくたとしてもしっかりとした文章を読みたければ翻訳アプリなどを使って海外の記事などを読んで欲しい。


 なぜここまで自分が言うのかというと自分のレベルでこのアルバムを解釈することは難しい。といか自分のレベルどうのこうの関係なくしっかりと解釈して文に書き表すほどこのアルバムは容易ではない。なので、熟練された文を書くベテランの音楽ライターの方々にもぜひこの作品をレビューして欲しい。


 けれどなぜ書くかというと、初めてこのアルバムを聴いた時、心底自分はこのアルバムのレビューを書きたいと思った。読まれなくても良い。ただ自分の為にこのアルバムのレビューを書きたいと思った。自己満で良いと。そのくらいこのアルバムはぶっ飛んだアルバムであり、人の心を突き動かすアルバムである。


 まず、このアルバムはさまざまな音楽のジャンルが混合している。自分がまずこのアルバムを聴いて真っ先に連想したアーティストはArcaとskrillexである。もう二人ともエレクトロニックで頭かち割れるみたいなサウンドをしているが、skrillexはEDMを根底にしていてまだ日本人にとっても馴染みがあり、聴きやすいと思う。Arcaはレゲトンつまりレゲエを根底においており、サウンドは本当に鋭いし、まあぶっ飛んでて大音量で聴いてたら本当に耳悪くなりそうだし、寿命も縮まりそうだけどやっぱりテクノ・ハウス系がどんなジャンルにも流行ってきている最近の風潮の中では馴染みがあるのではといった感じ。



 じゃあまとめてみると、skrillexはEDMを根底においていて、Arcaはレゲエを根底においている。その根底がありの頭に響く鋭いサウンドである。ではJackstrapは何を根底において鋭いサウンドを展開しているのであろうか?


 それはまさしく「ロック」であると考える。昨今のロックのジャンルの分岐具合を知っている人からしたら、この「ロック」というだけのジャンルで括ってしまうのは物足りないと思うし、しっくりこないのではのだろうか。しかし、自分はJackstrapが根底においているロックサウンドというのは今までの長い歴史でのロックの全てのジャンルであると考える。自分がこのアルバムをまず一聴し終わって出てきた感想としては、洋楽ベストヒット!みたいな一曲がすげー短くてDJがリミックスしてるみたいな(下記の画像)

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やつの歴代洋楽ロックベストヒット!verをDJがskrillexとArcaが担当しているみたいなアルバムみたいだなと思った。何を言っているのであろうかみたいに思われるし伝わっているかと言われたらそんな感じはしないが、自分の印象は本当にそんな感じのアルバムである。


 このアルバムはどの時代のどのジャンルのロックをも基盤にしなかった分、よりインパクトを与えれたアルバムになっているのではないのかと。つまり、ロック一筋50年みたいなオールドヘッズの方々が、「え?Black Country, New Roadのメンバーがいるバンドがアルバム出した?聴いてみるしかないじゃん!」といって聴いてみて、迂闊に足を踏み入れたら最後。ロックからの思いもしないエレクトロニックサウンドが飛び込んできてさぞ衝撃を受けるのではないのだろうか。自分も正直言うとこんな感じで聴いたらぶっ飛ばされた感覚になった。まあ、オールドの方も自分みたいな新参者も全方向から殺しにかかってきたアルバムである。降参です、と言った感じに自分はなりました。


 そしてもう一つ衝撃を与えている理由としてはやっぱりここまでロックに基盤を置いてエレクトロニックにサウンドを全部に振った例というのはそこまでないと思うんです。例えば、最近ニューアルバムをリリースしたMura Masaの4作目のアルバムの「R.Y.C」なんかは3枚目の「Mura Masa」とは打って変わってロックサウンドを取り入れたが、そんな感じでエレクトロサウンドにロックのサウンドを入れてロック調にするというのは今までにも沢山あると思う。


 しかし、ここまでロック基盤でエレクトロサウンドをてんこ盛りにしたアルバムはあったか?と。jockstrapの過去作はロックを基盤にしているといった感じはあまりせず、どちらかというともうただうるさいといった曲も多い。しかし今作の「I Love You Jennifer B」は本当にロックとエレクトロニックがいい塩梅でもう最高である。あっぱれとしか言いようがない。これが我々に与えた大きな衝撃の一つである。


 個人的にはJockstrapはこれからロック、いやロックに限らず「音楽」という大きな枠組みの中で新たなジャンルを確立していく存在になると確信している。ジャンルが増えたり新たな単語ができそうでめんどくさいことにはなるが、でもJockstrapのファーストアルバムはそのくらいリスナーに衝撃を与えるのではなろうか。もはや自分にとってJockstrapはバンドであるのか、エレクトロ・ポップ・デュオであるのかもわからない。そういった今まで音楽全体の概念をも変えようとしている2人組である。今のうちから追っとくに越したことはないと思う。ぜひ聴いてみてほしい。




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