外国ルーツの子ども・若者支援のための思考整理「外国人に関するすべての事を、日本語学習支援者や国際交流協会が担うことはできない」というスタート地点

私の所属するNPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部では、6才から30代までの外国にルーツを持つ子どもと若者をサポートしています。

毎年、約100名の子ども・若者を支援する中で、最も多い年代が14才~19才までの「ハイティーン」の生徒達です。

就労を希望していて、まずは日本語をという若者もいれば、出身国で9年間の義務教育相当を修了(=中学校卒業と同等)してから来日し、日本で公立高校への進学を目指している15才以上の若者もいます。

外国ルーツの若者の場合、高校進学率は地域によって60%台に留まり、高校中退率は内部データで18%、がんばって高校を卒業したとしても、大学・専門学校への進学率は20%程度だと見られています。

彼らが日本国内で「教育機関」に留まる年数は、平均的な日本人の若者より短く、一足先に社会に出て働く可能性がより高い状況です。

一方で、特に10代に入って来日した外国ルーツの若者の場合、

・出身国で「大人はどのように働くか」と言った勤労観がぼんやりと形成されており、それが日本の勤労観とズレている場合があること。
(例えば、途上国出身の若者の場合、その国の大人の失業率が高かったり、日雇いが当たり前、日銭を稼いで生きることが珍しくないといった環境で育っていること)

・日本国内での仕事の探し方や就職のためのノウハウと言った知識を学ぶ機会が限られていること
(高校を中退/高校に行かずにすぐに外国人同士の口コミでアルバイト就労、となればよりこうした就職ノウハウは得づらい)

などもあり、言葉の壁とあいまって結局アルバイトを転々としたり、不安定就労を何年も続けざるを得ないことも少なくありません。

外国ルーツの子ども達を支える支援者たちの尽力によって、少しずつ彼らの教育機会は増え、長期化(高校進学率が上がったり、中退率が下がったり)しつつあります。

今は「キャリア教育」の一環として、大学に見学に行くツアーや、大学進学のためのガイダンスなども行われています。これは「教育支援」の方向性としてはあるべき姿であり、どんどん拡充されて行くべきものであることは疑問の余地はありません。

ただ、いろいろな事情で「一日でも早く稼がなくてはならない」ことも多い外国ルーツの若者達も少なくないので、高校はよほどでなければ卒業すべきだと思っていますが、「彼らが全員大学(または専門学校)に進学できること」が最適解となるかというと、そうとも言い切れないところです。(これは日本の若者も同様に)

留学生ではない、外国ルーツの若者の日本国内でのキャリア形成をどのように支え得るか、という試行錯誤はまだ始まったばかりで、「外国人支援」のセクターにもそのノウハウは十分には蓄積されていません。

教育の(1年でも長い)継続や大学進学の推進だけでなく、それを選択しなかった若者や、そうはできない状況にある外国ルーツの若者たちのために、どのような支援とセーフティネットを提供すべきか・・・

本来「グローバル人材の卵」とも呼べるポテンシャルを有する若者も少なくないが故に、その華やかな理想と現実との乖離に歯がゆさを感じるところではあります。

いずれにせよ、その現実が(全部でないにせよ、一部の外国ルーツの若者達にとっての)前提条件となる以上は、

・「教育」の機会があるうちに
・可能な限りスピーディーに
・日本語の力を高め、日本社会における自立について学ぶこと
・社会に出たあとにつまづいた時でも、速やかに頼れる人や支援機関の情報を得ておく(あるいはヘルプの出し方を学んでおく)、ということ

が重要だなと考えています。

さて。

歴史的に日本語教育(と国際交流と、最近では「防災」)をベースに立ち上がってきた「外国人支援セクター」にとって就労支援は未経験の領域です。それを支援者自身がゼロベースから新たに「外国人専用」として作り上げてゆくことは、人的・時間的コストや質・量的課題の面からも得策ではありません。

最近、方々で主張していることでもありますが、上記の点に加え、外国ルーツの若者が日本国内で成長し、自立し、生活していく以上、就労支援においては、現存する(”日本人向け”の)若者支援セクターが。

その他の支援領域(保育や障害者福祉など)においても、既存の関係諸機関が外国ルーツの若者に対応できるよう、ユニバーサル化(多文化化、あるいはダイバーシティ化)して行くことが望ましいと考えています。

ようするに、なんでもかんでも「日本語ボランティア」が支えればよいか、というとそうでもないのではないか?と。日本語学習を支えてきた人材はあくまでも日本語学習の支援者であって、就労支援のプロではないこと。

個人的には他のどの分野も「その道の蓄積と経験を持ったプロ」が、どんな対象者にも対応できるようになるべき、と思うところです。

外国人支援セクターは、言語習得や文化的差異などの知識とスキルとノウハウがあり、それを他のセクターに提供する事で、既存の支援機関を外国人が利用できるように変化させる。

いわゆる「コレクティブ・インパクト」を最も発揮できる領域なのではないかな、とも最近考えています。

今、少しずつではありますが、実際に就労支援のほかに、保育や障害者福祉との連携を模索し始めています。もし、私たちと、コレクティブ・インパクト的に協業しよう!という方々がおられたら、ぜひご連絡いただけたら嬉しいです!

一緒に、可能性を拡げて行きましょう!!
(ご連絡は ikitanaka[at]kodomo-nihongo.com までお願いしますー)

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