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日本語がわからない中で、クラスメートからほとんど声をかけてもらうこともなくなってしまった子どもたちはきっと、すごく苦しかったと思う。日本語教育の「自治体丸投げ」「ボランティア頼み」「手探り」そろそろ終わりに。

昨年12月の1ヶ月で、新たに入所した生徒は15名。東北や山陰・山陽地方からも、日本語や学習支援機会を求めてオンライン受講者が。今週は近畿からも受講の相談があり、日本語教育の機会って本当に本当に不十分なんだな、と思う。

YSCに集まる相談の中で、オフでもオンでも多いのは、「毎日日本語を勉強して、早く上達したい」というニーズ。これに対応するためには、しっかり雇用された日本語教育の専門家が必要であって、ボランティアの方々に頼りっきりの現状はやはり問題が多い。

海外ルーツの子どもの場合、「日本語がわからない期間が長ければ長いほど、不登校に陥ったり、孤立する可能性が高まる」というのが実感値です。

だからたとえ、「詰め込み」というリスクを抱えても、いち早く、日本語がわかるようにする必要性を感じ、YSCの初級日本語教育カリキュラムは基本的に「短期集中型」で、1日あたり6コマの授業を40回行ってます。

特に10才を超えた子どもの場合は、耳で聞くだけ、日本語のシャワーを浴びるだけ、では日本語が身につかないこともあります。(これを「臨界期」と)第2言語として、日本語を体系的に学ばないと、何年たってもカタコト以上にならない場合も。

「言葉がわからないことの苦痛」思うと切ない

ある自治体では、「1人あたり約200時間の日本語支援を用意している」と言います。それは本当にすばらしくて、これだけきくと完璧なように見えます。でも、この自治体ではなぜか「1週間当たりの支援時間は上限8時間で、最長2年間」の”ルール”があって。

だから日本語がまったくわからない子どもは、学校で週に2回程度、4時間ずつの日本語支援を受けて、残りの学校にいる時間はまったく理解不能な授業が行われている間中、耐えて教室にいつづけなくちゃならない。

子どもによっては2年間を通して、日本語がわからないために友だちとの十分なコミュニケーションもできず、先生が教える勉強内容も身につかない状態に陥ってしまうし、その状況に耐えられずに学校に通う事をやめてしまう子も少なくない。

言葉のわからない中で、クラスメートからほとんど声をかけてもらうこともなくなってしまった子どもたちはきっと、すごく苦しかったと思う。

「丸投げ」「ボランティア頼み」「手探り」・・・そろそろ終わりにしたい

今は子どもの日本語教育も、生活者が日本語を学ぶ場も、ほとんどが自治体に丸投げ、ボランティア頼みのことが多い。学校ではとつぜん、「日本語担当」になってしまった先生が、手探りで子どもと向きあい、戸惑うケースも。

日本語学習支援と言われても、いったい何を教えるべきか、どんな風に学ぶのが良いのか。ちゃんとした答えは出てないし、あってもあまり知られていない。

周りの大人が「手探り」してる間に、子ども達の大切な、貴重な時間はどんどん過ぎていってしまって、気づいたら日本語も母語も中途半端で、深い思考ができなくなってた、なんてことだってたくさんある。

「それって人権侵害ですよね」って、以前、ドイツの若者と話したときに言われた言葉が刺さります。

子どもの全人的な学びと成長の機会を保障するために、本当にやるべきことは何か。

日本語教育自体も、そろそろ地域や個人のニーズが多様だから一律にできない、といわずに、「最低限ここまではこういう形で」というような「統一見解」が必要だと思う。公的に保障すべき日本語教育とは何か、みたいなことが。特に子どもの場合は、その「ニーズの多様性」が目立ってしまって、個別に対応しないといけない、みたいな雰囲気が強いから。

それを考える土台にするためにも、これから開催される通常国会での法案提出を目指している「日本語教育の推進に関する法律案」が一日も早く可決、成立することが必須だと思う。

この法律案は、超党派の議員連盟がまとめたもので、詳しくは拙記事に書いたとおりです。(最新の法案に関する記事ではないですが、概ね注目すべきポイントを書いたものです)

最新の法案の概要はこちらから。

この法案を通常国会で本当に提出することができるのか。可決成立させられるのか。「日本に来るなら日本語勉強してから来い」とか「子どもの日本語教育なんて親の責任だろ」みたいなコメントが踊るSNSのTLを見てると、不安しかない気持ちです。

だから今、この法案がちゃんと国会に提出されて、一日も早く成立するようにできることはしていこう、ということでオンラインで署名活動を始めています。私も、呼びかけ人の一人に。

日本語教育の推進のための基本法ができれば、国や自治体の責任が明確に定められ、日本語教育の基礎がつくられます。基礎がなければ、家は建たず。

オンライン署名、1月31日に一度取りまとめます。たくさんの方の声を国に届けることができるよう、ご賛同・ご署名いただけたら。

署名キャンペーンはこちらのリンクから。ご賛同いただきたい内容も、キャンペーンページからご確認いただけます。

今は、大同小異。みなさんのお力をお借りして「日本語教育の機会保障って大事だ!!!」ということを、叫びたい、のです。

お読みくださり、ありがとうございます!みなさまからいただいた応援は、私たちがサポートする困窮・ひとり親世帯の海外ルーツの子ども・若者が、無償で専門家による日本語教育・学習支援を受けるための奨学金として大切に使わせていただきます!