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海外ルーツの子どものそばで傘をさす人が、今はまだ、もっとたくさん必要で。

今、かつてないくらい慌ただしい、です。現場がバタバタしているのは常だけれど、それ以上に「周囲」が慌ただしい。”とつぜん”「外国人」が注目を集めている関係で、私たちもその余波を少なからず受けています。

私のここ数年来のミッションは「海外ルーツの子どもの課題を社会化すること」で、その点からすれば今現在、数多く(本当に多い・・・)のメディアが取材や相談に訪れ、記事になったり、情報が拡散されたりすることは好ましい。さらにありがたい。うれしい。しかし、いざ課題がこれだけの注目を集めるようになってみると、自ら乗りこなせないほどのウェーブが次から次へとやってくるのを、何とか戸板につかまり泳ぐような感じです。もう少し、体力をつけておくべきだった・・・

国民的議論がようやくできそうな状態になったばかり。

人手不足が危機的状況となった経済産業界からのプッシュを受けた政権が「移民政策ではない」と繰り返しながらもけん引する形で、外国人人材の受け入れ拡大が方向性として定まると、これまではどんなに草の根の団体が働きかけてもあまり目立った成果につながらなかった部分の予算案が拡大し、新しい施策も各省庁から登場。そうか。課題が動く時って、こんなにも波が立つものなんだな、と今更ながらに思ったりしています。

本当はこの「ウェーブ」が一つの国民的議論の下敷きとなって、「そもそも、日本社会は移民を必要としているのか」くらいな根本から話しができたら。外国人の「更なる受入れ」だけでなく、「少子化対策」や「国としての規模/あり方を見直す」という”選択肢”も、今はさらっと流されているけれど、もっともっと議論されるべきだと思う。(そしてこの点は今後もずっと続けていくべき議論だとも)

流れが逆だと思う

私が個人的に「外国人人材」等々に関連する動きで「理想」と思う流れは、議論を下敷きにして、

1)共生のための基本的法律が作られる

2)今おきている課題(生活の保障や教育、防災など)が解決に向けて動き出す(1と2は同時進行的)

3)不足している人材について更なる受入れを検討する
の順番。

今はこれがまったくの逆回転。3)から始まり、2)については「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会」がどこまでやれるかな、という感じ。これに関しては結局自治体丸投げになるんじゃないの?という懸念も残る。1)もどうなるかな。もうすっぱり「移民」と認め、社会統合を含む基本法を制定したいというのが個人的な意見。

逆ってつまり、基礎も柱も何もない土地に家具を置いているような感じ。
「家具がある程度揃ったら、基礎工事しますよ」みたいな。でもその家具は屋根がないから雨ざらしになっちゃっていて、「とりあえず柱もないけど、屋根は先に作ろうか」って。


いっしょに「傘」を差し続けてほしい

私たちの仕事は、子ども達が雨ざらしになる前に傘をさしたり、雨にぬれたら乾かしたり、自分で傘をさせるようにエンパワーしたりすること。同じように、全国でボランティアの方々が熱心に、海外ルーツの子どもや保護者や生活者の方々の傍らで傘をさしながら寄り添ってる。でもその傘を持ち続けるのは大変だし、今はボランティアも担い手不足で誰かと交代することも難しい。

そうこうしているうちに、傘を必要とする子どもばかりが増えて、全国的にどうしよう!ってなってます。

傘が増えれば、雨を防げる子どもも増える。
屋根(公的な支援)ができるまではまだ長い時間がかかる。基礎工事(基本法の制定)はたぶん、さらに時間がかかりそう。だからまだ、傘を持って子ども達のそばに立ってくれる人たちが、もっともっと必要だなと思う。

(子ども達に傘を差し続けていると、次第に子ども達は自分でステキな傘を持って、歩みだして行く・・・というのがこの活動の最もうれしいところ)

傘を必要とする子ども達は、身近なところに。

最近は「子ども達のサポートをしたい」とボランティア希望の方からお問い合わせいただいたりすることも増えています。中にはかなーり遠方にお住まいの方も。傘をともに差してくれる仲間が増えるのは、本当にうれしいのですが、基本的にYSCグローバル・スクールは子ども達を直接支援するボランティアを募集していません。(その理由はいずれまた)

そして傘を必要とする子どもは、全国各地に暮らしています。

だからぜひ、YSCでボランティア、ではなく身近な地域に暮らしている子ども達をサポートすることで、今支援を受けられない子どもや、支援機会が十分でない子ども達を共に支えてほしいとお願いしています。各地で活動するボランティア団体も、ボランティアが不足していて困っているところも少なくありません。

身近な地域のボランティア情報などは、ボランティアセンターや国際交流協会などに問い合わせてみてください。もしそれでも活動先が見つからないという場合は、私にお知らせいただければ一緒に探すこともできますので!





お読みくださり、ありがとうございます!みなさまからいただいた応援は、私たちがサポートする困窮・ひとり親世帯の海外ルーツの子ども・若者が、無償で専門家による日本語教育・学習支援を受けるための奨学金として大切に使わせていただきます!