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感想:映画「私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください」 〜支配と慈愛の皮膜〜

行平あい佳さんが初主演を務めた「私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください」を友人と共に、池袋のシネマ・ロサへ観に行きました!

平日夜にも関わらず多くのお客さんが押しかけており、また女性客も意外と多く会場は賑わっていました。

今回の目次1.  食わず嫌いはよくない2. ストーリーに引き込まれる3. ハードな描写がリズムを生んでいる4. 支配と慈愛の皮膜

1.食わず嫌いはよくない

映画が好きな方でも性描写が強い映画は敬遠される方は多いかもしれません。僕も始まるまでは少しソワソワしていました。

しかし、この映画はいわゆる性描写や性的な興奮だけを目的に制作されたものではなく、かなり噛みごたえのあるストーリーが中心にあります。

そして、その性描写もいわゆる様式美に昇華された表現であるため、女性の方でも不快感なく、男性の方でも飲み込みやすい表現になっていました!

2.ストーリーに引き込まれる

かなり噛みごたえのあるストーリーと上述したとおり、次の展開やいわゆるオチがどうなるんだろう・・・と期待感を煽る展開になっています。

なので、展開はネタバレなしで観た方がさらに楽しめると思いました。

今話題の「カメラを止めるな」やかつて一世風靡した「20世紀少年」にも通ずるような「えー!そういう展開になるの!?」みたいな面白さが何度も訪れます。

そしてストーリーの鍵になる古代神話の哲学的な表現もストーリーを裏支えしていて、「エヴァンゲリオン」の「死海文書」のような役目を果たし、作品理解に深みを付け加えています。

3. ハードな描写がリズムを生んでいる

様式美として昇華されているとはいえ映画の軸となっているハードSMな世界であるため、ハードな性描写も多く登場します。

しかし、ストーリーパートの静かで淡々とした雰囲気とハードな性描写がコントラストになっており、作品を観ていくリズムを作り出していると思いました。

そして、そのハードな性描写を演じる役者さんたちの渾身の表情やどこまで演技でどこまで素を出しているのかわからないほどの鬼気迫る部分も作品に引き込まれる重要な部分でした。

4. 支配と慈愛の皮膜

最後はこの作品を観終えて一番好きだなと思った部分のご紹介です。

こちらもストーリーに大きく影響するので詳細は書けませんが、作品冒頭で天使の慈しみと悪魔の支配に関する神父からの投げかけがあります。

この2つは対立する真逆のようなイメージもありますが、実は表裏一体・むしろ同じものともいえるのでは?と作品を通じて気付かされます。

この発想は敬愛する電気グルーヴの石野卓球さん

「良きMはSを支配する」

というような表現をかつてされていました。本来はSが支配しているように思えますが、実はMが支配させている=支配しているというような卓球さんのSM論です。

SMの世界から離れたことでも、この考え方はまさに当てはまるなと思えたのが、今年の人気アニメ「宇宙よりも遠い場所」の名シーンだと思いました。

友人を上から目線で構ってあげている(支配とは少し違いますが)と思っていたら、その友人が自分を離れようとした時に、むしろその友人がいないと自分には何も残らずむしろ構ってもらっていたことに気付かされるというシーンです。

この石野卓球さん宇宙よりも遠い場所が部分的に表現されている「支配と慈愛の皮膜」について、映画「私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください」ではじっくりと語れており、ものすごく考えさせられる内容だなーと思いました。

この部分は映画を観終えたあとも余韻のように残り一番好きな部分となりました。

おまけ

いつもプロレス投稿が多いのに、今回はプロレスネタはありませんでしたが、実はこの「私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください」を上映している池袋シネマ・ロサでは棚橋選手主演の「パパはわるものチャンピオン」も上映しておりポスターが並んでいました。

どちらも上映期間は来週(10/12頃)までとなっているので、お早めにどちらもぜひご鑑賞ください!


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