演劇という共通項があれば人と関われるーー堀紗織(無隣館)

「なんで演劇に関わっているの?」
「どうして演劇づくりに携わっているの?」

そう聞かれると、少し緊張します。 その理由を伝えることで自身をさらけ出すことになるかもしれない。うまく伝えられないもどかしさから、説明しやすい理由をでっちあげてしまうかもしれない。

私以外の演劇づくりに携わっている人はどう考えているのだろう。そんな疑問から「なんで演劇づくりに携わっているの?」というテーマで色々な方に話を聞きに行く連載の第3弾。

今回は、無隣館に俳優として所属する堀紗織(ほり・さおり)さんに話を伺います。

習い事にミュージカルと書きたくて演劇をはじめた

ーー演劇づくりに携わるきっかけはなんだったのでしょうか?

小学校低学年の頃、文化祭にこどもミュージカルの団体が演劇作品を上演しに来たんです。それを観たのがきっかけですね。同年代の人たちが出演していて、「これをやったら私も目立てる」「習い事にミュージカルって書きたい」と思ってはじめました。

ーー(笑)。こどもミュージカル時代に印象に残っていることはありますか?

ちゃんとは覚えていないんですけど。厳しい団体だったので、泣きながら稽古に行っていたのは覚えています。入ってすぐの段階で自分が目立てるような環境じゃないし、目立つスキルも才能もないということに気づいて。

ーーそうなんですね。

でも中学生になると、いい役がやれるようになりました。こどもミュージカルのなかで上級生になったから。そこから「続けていたら主役になれる機会は増えるのかも」と気づき、ひとまず、続けることを目標にしていました。

演劇という共通項があれば人と関われる

ーー子供ミュージカルを経て、高校では演劇部、大学は早稲田の演劇サークル「劇団森」で活動を続けていると。早稲田進学を選んだのはどうしてなのでしょう?

大学受験のときに「芝居を続けたいから東京に行きたい」と親には伝えていたんです。ただ、「演劇を続けるのはいいが4年制の大学に行ってくれ」と演劇科に行くのは反対されていました。私自身も演劇科に行く理由が「好きだから」ぐらいしか言えることがないし、職業にしたいかどうかもわかっていなかった。なので「留学して、海外でやりたいことがある」と親に伝えて、早稲田大学の国際教養学部に入学しました。

ーーその後、無隣館に入所したわけですが、演劇づくりに携わり続けているのはどうしてなのでしょうか?

明確なものがあるわけじゃないので、自分でもわからないんですけど。演劇がすごく楽しいし、興味深いと思えているので、続けています。続けてきたものが演劇しかないなとも思っていて。これから何か新しいことをはじめるときに、趣味としてはじめるのは想像できるけど、演劇以外で関わってやりたいことあるのだろうか? と考えてしまうんです。

ーー生活していく上での大切にしたい優先順位ってどうなっているのでしょうか?

演劇、生活、学業の順ですね。

ーー演劇が一番?

頭おかしいですよね。

ーーおかしくないですよ。演劇のどこに惹きつけられているのでしょうか?

演劇という共通項があれば人と関われるからですかね。そもそも人見知りだし、とっかかりがないと人とはうまく話せないんですけど、演劇づくりにおいては苦にならない。

作品づくりをする座組の関係が好きなんです。付かず離れずの関係だし、作品づくりの期間だけ一緒にいればよくて、その後は、友人として付き合あおうが、連絡取らなくなろうが、なんででもいい。その距離感が自分に合っていると思います。

口には出してないのに通じる瞬間が好き

ーー演劇創作の過程でどこが好きですか?

基本には、なんでも辛いって思っちゃうんですけど(笑)。

稽古も割とネガティブに考えがちで「嫌だなぁ」「できないな」「うまくいってねーな」「間に合うかな」とか考えちゃう。

でも、稽古中に共演者との間に登場人物の背景とか作品の設定が感じ取れる瞬間は好きです。口には出してないのに通じる瞬間というか。語弊はあるのですが、心地がいい。そういう瞬間があると稽古場でしか会ってないのに、それ以降はお互い腹を割って話ができる気がします。相手がどう思っているかはわからないですけど(笑)。

ーーなんかわかります。つまらない飲み会に行くよりは、稽古をしていた方がいい関係がつくれる気がする。堀さんは、いつまで演劇づくりに携わりたいですか?

いつまでとかは、あまりないです。直近5年以内に辞めたいとかは思わないですけど、おじいさんおばあさんになってまでやりたいとも思ってない。

ーーこの先の理想みたいなものはありますか?

拠点をひとつに絞らずに、日本のどこかにいますよくらいのフットワークでいられるのが理想です。最近、静岡の家を調べたんですけど、5万ぐらいで二部屋あって海も近い。東京で演劇やりたい場合は通えるしいいなと。

ーーいいですね。演劇づくりではなく作品を観ることの魅力はなんでしょうか?

俳優さんを観に行っています。ひと目惚れしたくて。それでいい作品だと更に良いなと。

ーーどういう人に恋しやすいんですか?

Tさん(インタビュー時はフルネームで回答)が大好きです。

ーー名指し(笑)。どうような特徴を持つ俳優が好きとかはありますか?

だらしないけど色気がある人に惹きつけられます。人のこと大切にしなさそうだけど、人が寄ってくる感じの人というか。そういう人が舞台上にいると目がいっちゃうんです。

ーー『いっぱいいっぱい讃歌』の稽古場に求めるものはありますか?

「緊張しなさそうだよね」ってよく言われるんです。でも結構緊張していることが多いので、緊張している私を見守ってくれる土壌があるといいなと(笑)。

ーー今回お話を伺って、堀さんはわからないことに飛び込んで、そこで漂いながら試行錯誤を行える忍耐力がある方なんだと感じました。引き続き『いっぱいいっぱい讃歌』の稽古よろしくお願いいたします。

文責:木村和博
撮影:木村恵美子


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