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マンガレビュー『ちびまる子ちゃん』さくらももこ(1986~2018)のどかな子ども時代よ永遠に

今日、5月8日は、
マンガ家のさくらももこの
誕生日です。

残念ながら、作者は
2018年にお亡くなりに
なりましたが、

代表作の『ちびまる子ちゃん』は、
今もテレビアニメとして
続いています。

この日に因み、
今日は私が過去にブログで書いた
同作品のレビューを掲載します。

平和な子ども時代の世界観に和む

いつものマンガレビューでは、
全巻読んでから
書くようにしていますが、

今回は知人から借りた
3巻を読んだだけの
感想であることをご了承ください。

私が小学生の頃に
本作のアニメ版の放送が
スタートしました。

その頃も毎週観る感じでは
ありませんでしたし、
そんなに熱心に観た記憶もありません。

しかし、自分の中では、
長く続いているアニメの中でも
『ちびまる子ちゃん』は別格
という感覚がありました。

というのも、
本作のアニメがはじまったのは
私が小学校1年生の頃で、

作中に登場する
キャラクターの多くも
自分と同じような小学生だったので、

同時期にスタートした
「同世代」という感覚が
あるんですよね。

もちろん、作中の時代背景は
作者の学生時代が
モチーフになっているので、

年代で言えば、
作中の人物たちは
自分よりもずっと上の世代
ということになりますし、

『サザエさん』や
『ドラえもん』にも
作中に同世代の子どもたちは
登場していました。

ですが、
『ちびまる子ちゃん』だけが
別格なのは、

やはり、自分が小学校に
入ったばかりの1年生の時に
一緒にスタートしたのが
大きいんですね。

そんな思い入れのある
作品ではありますが、
この度、原作をはじめて
読みました。

なんと言っても、
本作の魅力は作者が体験したであろう
子ども時代の平和な世界観ですね。

人によって
子ども時代の記憶というのは、
違いがあるものだとは思いますが、

私自身も作者と同じように
平和な時代を過ごしたので、
共感できるところがありますし、

本作を読むとあの頃に
帰ったような感覚がします。

秀逸なギャグセンス

『ちびまる子ちゃん』の
もう一つの大きな魅力として、
秀逸なギャグセンスが
挙げられると思います。

少女コミックを
それほど読んだことがないので、
間違っているかもしれませんが、

正直に言って、
女の子向けのマンガで
ここまでギャグが完成された
作品があるとは思いませんでした。

アニメを観ても
わかるように、
本作には個性的なキャラクターが
たくさん登場します。

それらのキャラクターの
存在自体が笑いに繋がる
場面も多いのですが、

原作を読むとそのイメージが
ガラリと変わります。

前述したように
3巻を読んだだけの感想ですが、
特に初期は作者の学生時代の
体験をもとにしたマンガなので、

その稀有な体験と
描写のしかた(演出)が
秀逸なんですね。

思えば、ナレーションで
作中の人物にツッコミを入れる
スタイルも

本作が発明したものの
一つかもしれませんね。

意外としっかりしたストーリー展開

見過ごされがちのような
気もするのですが、

今回、原作を読んでみて、
もっとも驚いたのが、
ストーリーの起承転結が
よく考えられている点です。

先ほども書いたように
初期の『ちびまる子ちゃん』は
作者の学生時代の体験が
モチーフになっていますが、

単純にあった出来事を
そのままマンガにしただけでは、
多くの人に伝わるものには
ならなかったかもしれません。

その点、本作は
そういった個人の体験を元に
それらをアレンジしたり、
再構築したりして、

いかに「物語」として
楽しめるかというところまで
昇華できているからこそ、

これだけ長く愛される
作品になったのだろうと思います。

中でも出色の出来栄えだと
思ったのが、
『まるちゃん
 きょうだいげんかをする』の巻です。

内容自体は、姉妹が1冊しかない、
かわいいノートを取り合う、
日常的なエピソードですが、

姉妹(兄弟でも可)
という当人たちにしか分からない
微妙な心理がよく描かれていますし、

何よりも短いストーリーの中で
起承転結がよくできていて、
最後のオチには思わず
声を出して笑ってしまうほどでした。

私自身はあまりオチに
こだわらないタイプなんですが、

ここまでよくできていると、
やっぱりすごいなぁと思ってしまいます。

ちなみに3巻には
『ちびまる子ちゃん』以外の
短編も収録されており、

やはりどれも作者の体験が
綴られたエッセイ風のマンガで、
(社会人になってからの話と
 高校時代の話)

それらも本編と同等のおもしろさです。

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