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音楽レビュー『明日に向かって走れー月夜の歌ー』エレファントカシマシ(1997)男による男のための音楽


本当に好きな歌声は
何を歌ってもイイ!

私は歌にあまり思い入れが
ない方なんですが、
そんな私でもこのボーカルの歌は
別格と思う人が何人かいます。

たとえ、自分の好みの
音楽ではなくても、
その人が歌うと
なんだか聴いてしまい、

「いい歌声だなぁ」
と思ってしまうのです。

その内の一人が、
エレファントカシマシの
宮本浩次です。

そんなわけで
以前から聴いてみたい
と思っていて、
ようやく聴くことができました。

私が中学生の頃に、ヒットした
『今宵の月のように』を
収録したアルバムで、

同シングルはこのバンドの
最大のヒット曲ですし、

このアルバムも当時の
邦楽チャートでは1位に輝き、
やはり最大のヒットアルバム
なんだそうです。

通して聴きたくなる
練られた構成

①~②は、激しいロック、
③~⑤は、ゆったりと聴かせる曲調、
⑥では、再び激しく、

⑦~⑧は渋めの曲調、
⑨はしっとり聴かせる感じ、
⑩は再び渋く、

そしてラスト⑪が
『今宵の月のように』で
バッチリ締めてくれます。

このように1曲ずつの
完成度だけでなく、

アルバム自体の構成も
しっかりと
練られたものになっており、

通して聴きたくなるような
バランスになっていました。

男による男のための音楽

バックのサウンドも
もちろん素晴らしいのですが、
やはり、宮本浩次の
ボーカルが絶品です。

いかにもロック的な
がなるような
歌い方もいいですし、

ロングトーンの
包み込むような安定感も
いいですね。

それと、なんといっても、
声が聞き取りやすいのが、
彼の最大の魅力なのではないか、
と思ったりもします。

私は歌を聴く時に、
あまり歌詞を気にしない方で、
「言葉」ではなくて、
「音」として聴く方なんです。

なので、音楽のことを書く時に、
歌詞のことはあまり書きません。

しかし、エレカシのそれは、
宮本浩次の聞き取りやすい声の
おかげで、しっかりと言葉も
伝わってきます。

その歌詞がまたいいんですね。

このアルバムを通して聴くと、
「男」というワードが
もっとも多く出てくる気がします。

曲調も宮本浩次の歌声も、
どこか「男」を鼓舞するような
感じがあるんですよね。

男の応援歌と言いましょうか。

そんな感じがありました。

同じ男に生まれた者として、
こういう楽曲を作れるバンドは
カッコいいなぁ
と憧れてしまいます。

男による男のための音楽なのです。


【作品情報】
リリース:1997年
アーティスト:エレファントカシマシ
レーベル:ポニーキャニオン/
     FAITHFUL.

【アーティストについて】
'88年にデビューした
日本のロックバンド。

【同じアーティストの作品】

『ココロに花を』(1996)
『愛と夢』(1998)
Wake Up(2018)

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