ハイレゾ音源の価値
ハイレゾ音源の作品数もどんどん増えてきています。
しかしアルバムで購入すると3500円前後するので、我々はあれもこれもと買う事はできません。
そこで世の中にはCD音源をハイレゾにアップコンバートしてくれるソフトがいくつかあります。
果たしてそれらのソフトで生成した音源は、実際どうなのか?という事を以下に書いてみます。
私は「upconv」というは、win用のフリーソフトを使っています。
所有していて普段聴く曲やレンタルCDは、全てこれでハイレゾにしています。
このように書くと、「それは本当のハイレゾではない」と言われる方もいます。
JEITA(電子情報技術産業協会)では、ハイレゾオーディオ音源の定義をしています。
その内容は、「サンプリング周波数と量子化bit数のいずれかが、CDスペックを超えていればハイレゾオーディオ」というもの。それだけです。
録音のクオリティーに関しては一切言及されていない。
例えば以下のようなものがハイレゾオーディオ音源となる。
・44.1kHz/24bit(CDスペック同等/CDスペック超え)→ハイレゾオーディオ
・48kHz/24bit(CDスペック同等/CDスペック超え)→ハイレゾオーディオ
・96kHz/16bit(CDスペック超え/CDスペック同等)→ハイレゾオーディオ
・96kHz/24bit(CDスペック超え/CDスペック超え)→ハイレゾオーディオ
よって、定義上はアップコンバートしたものは正真正銘のハイレゾ音源という事になります。
ちなみに日本オーディオ協会が規定しているものは、ハイレゾ対応機器(ハードウェアー)の定義です。
では音は実際どうのか?
私の今までの経験では、仮にCD音質録音が1で、純粋で上質なハイレゾ録音音源が10とすると、アップコンバートは8~9までの音質を持っていると思う。ただし思うだけでは説得力もないので、本当にどのようになっているのか、というところを検証しました。
使用した音源は、信頼しているビクターの所属アーチストで、最近に録音されていて、お金も使えるメジャーな歌手として、家入レオの「君がくれた夏」をチョイスした。
これのCDとハイレゾ音源(96kHz 24bit)をそれぞれ購入し、比較を行った。
まずトラックの57秒付近で、高域成分が良い感じに含まれる部分の波形を確認した。
①CDのリッピング音源(44.1kHz 16bit)
②VICTOR STUDIO HD-Musicから購入した音源(96kHz 24bit)
③CD音源を「upconv」でアップコンバートした音源(96kHz 24bit)
①は明らかにギザギザが目立っているが、②と③はどうだろうか。
私的には「同じ程度」と思う。またこの差を明らかに再現するハードウェア環境は、持っていないとも考え納得している。
また周波数特性的にも見てみた。
①CDのリッピング音源(44.1kHz 16bit)
②VICTOR STUDIO HD-Musicから購入した音源(96kHz 24bit)
③CD音源を「upconv」でアップコンバートした音源(96kHz 24bit)
(③で20kHz過ぎにディップがある理由は、原音とアップコンバート生成音が混じったらイヤかな?という気持ちで、周波数的にギャップを入れています。また①の表の横軸のみMAX値が20kHzになっているので注意して下さい。)
ある意味③でアップコンバートした方が、20kHz以上のつながりがスムーズであるようにも見える。
このように、波形や周波数特性を見ても、アップコンバート音源におかしなものは見当たらない。なんにせよ、聴いてハイレゾらしく聞こえるので、それ以上何の問題もない。
あるサイトでは初期の「upconv」のバージョンでは、変換ミスでデータ異常が起こったので、変換後使用前にデータ内容を確認した方が良い、とか書かれているものもある。
私も最初はいちいち確認していたが、そのうちに止めた。そして今まで1000曲程度変換してきた中で、一度もそのようなケースには当たっていない。
以上の結果により、普通に聴くにはCD音源のアップコンバートで十分ハイレゾが楽しめると結論付けたい。
でも、本当に好きなアーティストの曲は、応援の意味も込めてハイレゾ音源で購入しています。