カープダイアリー第8265話「”一軍、二軍関係なしに全員フラットな目で見て”甲子園のスコアボードに一番ライト中村貴浩…」(2023年5月19日)

7連勝中の阪神を、4万50人の大観衆が見守る甲子園で押し切った。10対7。初回に5点を奪い五回には7対2とリードを広げたのに、その裏、先発の玉村が耐え切れず救援したケムナも大山に同点3ランを打たれて追いつかれた。

互いに見どころ満載となる中で勝負を決めたのは控え野手とブルペン陣だった。

横浜でDeNA打線の脅威を目の当りにした新井監督の勝負手はスタメン刷新だった。

悪い流れを断ち切るために抜擢された面々は…

ライト中村貴浩
レフト龍馬
センター秋山
ファースト松山
キャッチャー坂倉
サード林
ショート田中広輔
セカンド韮澤
ピッチャー玉村

…オール左打者。

新井監督は自身の就任会見(2022年10月12日)の席でこう言った。

「若手選手全員に期待している。名前とかではなしに、全員に期待している。一軍、二軍関係なしに全員フラットな目で見て行こうと思っている。野手も投手も全員期待しているし、また一度、フラットな目で見たいなと思います」

今季「日本一」を目指すと同時に3年後、5年後のチーム力底上げも同時に目指す中で、坂倉の捕手専念や韮澤の台頭など、目に見える形の成果が増えてきた。

チームが17試合目を消化した4月21日、大幅な入れ替えが初めてあった。

コルニエル、磯村、大道、矢崎が一軍に合流、河野佳、黒原、石原貴規、そして小園が抹消された。

今回は38試合目で2度目の大幅入れ替え。玉村、林、中村貴浩、薮田(特例2023代替選手)が出場登録され、抹消されたのは戸根(特例2023対象選手)とマットだった。

マットは左肩の不調がその理由とされたが、それだけではないだろう。打撃30傑のドンケツ、打率・198では打線を分断してしまう。サードは当分“空き”状態になるだろう。

外野の一角もそうだ。3日前の横浜スタジアムでハムストリングスを痛めて離脱した野間の“代替選手”を二軍でリサーチしたが適任者なし。球団側の配慮で急きょ支配下登録された中村貴浩が123番のヘルメットとユニホームで甲子園の打席に立った。

しかも初回、先頭打者として、だ。

結果は青柳の初球を捉えて、高々と上がった打球はあわやホームランかというような大きなレフトフライになった。野間の代役として手にしたチャンスを生かすも殺すも本人しだい。新井監督の下ではそういう打席やマウンドが数多く提供される。

初回の攻撃はこのあと見事につながった。龍馬二塁打、秋山四球の一死一、二塁で松山が中前に先制タイムリー。坂倉も右前タイムリ―。ここでマットの穴を埋めるためにやっとの思いで二軍を“脱出”した林が、初球を詰まりながらライト前に打ち返して3連続タイムリー。田中広輔の四球を挟み韮澤も初球をレフト前に弾き返して2点タイムリー…

たぶん新井監督はこういうシーンを想像しながら2月のキャンプからチーム作りを進めてきたのだろう。だが、青写真をリアルな場面に変えるかどうかは選手しだい。初回の22分間の攻撃には若手とベテラン融合の理想的な姿が凝縮されていた。しかも純国産だ。

六回の勝ち越し点は松山が叩き出したが、八回の追加点は松山の代走羽月の二盗が相手の送球エラーを誘発して三塁に進んだあと、林がしぶとく転がした遊ゴロも相手の野選とエラーを招誘発して転がり込んできた。足を絡めて無安打で1点。

九回には途中出場の堂林がバックスクリーン直撃の2号ソロ。投げては六回の中崎、七回の島内、八回のターリー、九回の矢崎でH3つとSをマークした。

試合後、マイクを向けられた松山は「何とか粘り強くみんなで戦えたと思います」と切り出し「きょうはほんとに粘り強くカープの野球ができていい勝ち方ができたと思うので、あした、あさってもしっかりとカープの野球をして、みんなで戦って勝てるようにがんばっていきたいと思います」と結んだ。

まさに“みんな”の思いを代弁したインタビューだった。あすの阪神の予告先発は大竹。今度はこの日、完全休養日となったライアンを軸にどんなオーダーで臨むだろうか…

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