郁菱 万

いくびし まん です。 小説を載せていきます。 過去作はこちらになります→https://kakuyomu.jp/users/stand_ant_complex
固定されたノート

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【戸惑いと舞い(6)】

まあ、気になるよなふつう。

 偽る必要はない。

 どこにいるだろう。

 螺旋階段をぐるっと回ると、シモベはまさにその螺旋階段に腰掛けていた。

「なにしてんの」下のほうから声をかける。

「休んでた」シモベは言った。夜空と同化している。動く気配がない。

 すこし考えてから階段をのぼり、二段下に腰掛ける。「バトルやってるよ」後ろ手に体重を支える。「でないの」

「きょうはいい」

「いつもは

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【戸惑いと舞い(5)】

殴ってやってもいい場面かな、場面だな、と手のひらをぐーぱーさせる。それはそれとして、リーダーがこんなこと言うのはおかしいな、といった引っかかりも覚える。リーダーの口調からはどうにも演技がかった、如意棒ぶんまわすなんかすごい猿を手のひらのうえで転がすような、軽薄を軽薄で塗ったくったような響きが感じられた。

「もしかしてだけど発破かけてるつもり? やめてほしいんですが」

「お、敬語になった。怒って

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【戸惑いと舞い(4)】

「シモベちゃんは天才なんだろうね。だからできて当たりまえのことを言語化するのが人並み外れて苦手なんだわ。教えるのにもスキルが必要、天才であるほど他人に教えるのが下手なのが道理」

「教えるのが上手な誰かさんはじゃあ」流し目する。「凡人オブ凡人ですね」

「鍛練を積んだと言え」

 せんせーあざーしたー。

 ほかのダンサーたちが新参者に頭を下げている。照れくさそうにするでもなく飄々と戻ってくるとシ

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【戸惑いと舞い(3)】

着替えは物陰で済ます。駅のトイレで着替えるコもいれば、証明写真機を更衣室代わりにするコもいる。マナー違反は承知のうえだ。そもそもストリートで踊ることそのものがマナーからは逸脱している。ましてや華の女子高生が、ちたないフロアに背中をついたり、頭をこすりつけたりすることがあってよいはずもない。

 ただ、あってよいはずがないことをするのは清々しく、すっとする。

 床に尻をつけ、ストレッチをする。その

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【戸惑いと舞い(2)】

「ミカドさんミカドさん。待って待って。待てって。おいこら、サル、お座り」

 名前を呼ばれたうえ、命じられたら、考えるよりさきに身体が動いてしまうのがダンサーのつらいところだ。校門のまえだというのに、その場にしゃがみこんでしまう。

「うわ、ホントに座った。サルじゃなくてイヌじゃんね」

 これからおまえはイヌだ。

 言いながらリダ先輩は、見慣れぬ生徒を連れてやってくる。「やあやあこちら、サル改

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