「ミステリィ」

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ノート

【テロルの木馬】

気まぐれな風が頬を撫でる。昼時だというのに喫茶店は空いている。通りまで閑散としており、テラスでコーヒーをすすっていても雑踏の喧騒が聞こえてこな...

【あとはあなたがゆびで押すだけです】

自殺なんかじゃない、殺されたんですよ。  依頼人の孫奈(そんな)真坂(まさか)の怒りに満ちた声を聞き、この案件はがっぽり金を毟り取れるな、と判...

【彼女の愛に溺れて夢を視る】

乖離性疑似相貌症を患ってぼくは産まれた。世界に一人しか確認されていない奇病で、生まれたときからぼくはぼくの顔だけを認識できなかった。  具体的...

【殺意、初めまして】

殺す。  イッサは思った。  こころのなかで唱え、声にだして誓った。  消すのでは足りない。殺す。苦痛という苦痛を味あわせ、絶望させ、後悔させ...

おまけ73 【たっきゅう】

「先生、ちょっといいですか」 「ちょっととはどのくらいだ」 「ですからちょっとです」 「時間単位で言ってくれ」 「では十五分くらいで」 「きみ...

おまけ68【未来の視える万華鏡】

男の元に、奇妙な贈り物が届いた。箱には「惚れ薬」と書かれている。説明書いわく、使えばどんな相手もじぶんに惚れさせることのできる錠剤だという。 ...

おまけ65【言い分、イーブン、いい気分】

「継続は力なりってのはな、プラスじゃねぇんだよ、マイナスだから意味があんだよ。分散だよ。一気にやったら身体がもたねぇだろ。身体だけじゃねくてな...

おまけ56【人命よりも事件を】

(12100文字)  依頼人が殺された。インターネットのニュースサイトを覗いていたらふいに目に飛び込んできた訃報だった。通り魔に刺殺されたと記...

おまけ52【ルシフェルの冒険】

(12000文字)  世の中には落第したほうがよいこともある。合格と食中毒は選ばれた者にしかアタらないという点で同一だといえるし、宝くじとロシ...

おまけ49【ボクは二号に恋をして】

(12700文字)  近所のケンちゃんがTVに出ていた。ボクよりふたつ年上のケンちゃんは、運動だけでなく勉強もできて、中学生の身分で私立の学校...