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思考地図の座標軸

遠くにそびえる尖った山々も長い年月を経てなだらかな丘陵へと変化していくように、地球上に存在する万物にとって引力から免れることはできません。 その重力にもかかわらず空に浮かぶ雲は気象変化とともに浮遊していて留まることを知らず、それに較べて翼を持つ鳥は縦横に空中を飛翔します。

この垂直方向の引力と、水平の空間の広がりに、人類に共通する空間的な象徴が存在しているのではないか、という仮説を、言葉の空間的な位置取り「思考地図」と称して考察してきました。

たとえば、ビジネスシーンで見かけますプレゼンテーション画面の上下スペースの使い方では、画面上部には資料のタイトルや目次など固有の情報が配置され、画面下部のフッターにはプレゼンターの所属部署や日付、ページ数などが配置される、といった標準的配置がみられます。上部は都度変化する情報、下部は継続性が大事な情報、といった上下配置に対する一般的認識が、空間配置における共通の指標となっていった背景には、冒頭にみた空と大地の関係、すなわち万有引力がもたらす空間の上下関係がわたしたちの意識の中に座標として育まれ、その座標に意味として繋がる言葉や概念を育んできたのではないでしょうか。


大地から立ち上がる樹木は、安定した下部と浮遊する上空の相対的な意味を醸成してきた

この空間を象徴する樹木は、固められた大地に根ざす幹と、上部では風になびいて揺れ動く枝葉という、上下で相反的な性質を持っていて、その関係性は対象的な上下の言葉を連想させてくれます。
上空-フロー-流行-感性-個人-部分-HOT
地下-ストック-不易-理性-社会-全体-COOL
思考地図では、上をHOT、下をCOOLと便宜上呼称しています。
(このHOTとCOOLについては別のコラムでその謂われを解説する予定です)

人間の思考は類似を探すことにある、と言う研究が「類似と思考」という鈴木宏昭氏の書籍で紹介されていますが、まさにその類似の連鎖が意味や概念を形づくっているのでは無いか、と思考地図では考えるわけです。

思考地図の上下軸


では、空間の左右はどうでしょう。

地球に住む人類が共通して持っている昼と夜を左右対概念の源流としている

先に見た上下軸の上部が空・浮・軽、下部が地:沈:重という上下の位置関係が万有引力の因果を持った対概念であるのにたいして、上に示した左右の図は、日々繰り返されている昼と夜を配置した図で、左は月夜-睡眠-休息、に対して、右は太陽-覚醒-活動という相対的な関係を、思考の基本的なモデルとして育んできたのでは無いか、と考え、思考地図の左右軸の源流として位置づけました。

この左右は入れ替え可能ですが、あえて思考地図では左に月、右に太陽としています。その理由は、この後紹介していきます様々な類似のマップや概念フレームでもこの左右配置が多く見られたからです。
(左右の考察については別のコラムを予定しています。)

そして昼と夜、太陽と月、活動と休息、創出と吸収、能動と受動、父性と母性、時間と空間、と対概念の連想を展開し、思考地図では右にACTIVE、左にPASSIVEを代表として採用しています。

思考地図の左右軸



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