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生きるために私が発信をやめない理由

2日間早遅寄りの遅番で仕事してた間に、国内外で愛される漫画家の鳥山明さん・ちびまる子ちゃんの声優のTARAKOさんが亡くなっていました。

たまたま自分が発信しているX(Twitter)を開いて知ったのですが、そうでなかったら…
半日働いてニュースもろくに見ずにいた私は、国民的な文化と時代を作ったお二人の死をまだしばらく知らずにいたのだろうなと思いました。

そして、私が昔あることに危機感をもち、一度保育士を辞めたきっかけになった出来事のひとつを思い出しました。

かなり昔、最初に勤めた園での話です。
遅番のとき上司の先生と保育の話をしてて、当時社会問題として大変話題になってた保育園・保育業界に関するニュースの話を私がポロッとしたとき…

なんとその上司の先生はポカンとされ、ほんとに意味がまったくわからないみたいだったのです。

私はびっくりしてしまいました。
保育の業務に関しては私なんかお話にもならないくらいベテランで、保育士としてのスキルは私が足元にも及ばない上司でした。

それなのに、私の周りでは保育士以外の業界の方や学生でも知ってる保育業界関連の社会問題のニュースをご存知なく、実際にいまの園での業務上の問題にもものすごく関連性があることなのに、他人事みたいにポカンとされていた。

これがブラック労働というものの仕組みか!と、そのとき私は愕然としました。

上司の方は悪くない。
毎日私なんかよりもずっと真面目に誠実に、朝から夜の9時半まで長時間労働をされていた。
帰りはいつもくたくただとおっしゃってて、私は仕事のできない自分を申し訳なく感じてました。
なのに、会社からは上司にボーナスもなかった。
実際、まもなく上司の方は辞職されました。

それくらい疲弊するブラック労働が毎日だと、社会の動きや情報をキャッチする時間・気力・体力なんてなくなるし、仮にニュースが目に入っても疲れて眠かったら私も気づかないと思います。

私は当時保育士をしながら音楽アーティスト活動をしてて、毎日仕事のあと歌・ピアノの練習と曲作りやアレンジや自炊しながら毎日アメブロとTwitterを更新し、何年かは睡眠時間3時間くらいだったから、疲れていてもアンテナが勝手に情報をキャッチして反応する身体になってただけでした。
が、その方がもはや病気に近いし異常だと思う。

だから思いましたが、思考も事業所内でのその日や明日の業務を回すことに精一杯で、キャッチした社会問題や情報について分析や思考したり、自園内での問題との関連性に気づいて言語化したり…
は、疲れすぎていたらほんとに難しいです。

保育にかぎらず国やブラック企業が真面目な一般国民にブラック労働させ、ボロボロに疲れさせたら…
情報をキャッチして気づく余力や時間もないくらい疲弊させて自分で考える力と体力を奪い、問題に気づけない操作しやすい国民を作り上げることが可能です。

そうすれば太平洋戦争のときと同じで、いとも簡単に情報操作であやつれて、国や外国のトップにとっては都合よく動かせる大衆の出来上がり。

その仕組みに気づき、そのときゾッとしました。

私は私の思考・言葉・文化を守り、アーティストの命である感性を退化させないためにも、こんなブラック企業からは身を引かなくてはと思いました。

半分が音楽活動と安全な保育と生活の両立の難しさ・もう半分はこのことが理由で、私はいちど保育士を辞めています。

他業種に行ったものの、ほんとは子供達と関わる保育の仕事が好きなのでプライベートでも気づけば仕事してしまうし、2年ぐらいでまた保育業界に戻ってきてしまいました。
そこから試行錯誤しながら、現在に至ってます。

結局、私が発信をやめないいくつかの理由のひとつが、これだと思うんです。

目の前の労働だけをしていると、人間はどんどん摩耗し、自分の言葉・思考・文化・感性・もともと備わっている生きる力や能力を、どんどん奪われて行きます。

その結果、
「真面目に社会人として働いて税金を納めてきたのにすべてを失った!国にだまされた!」
「真面目に働いて国や学校や大人の言うとおりにしてきたのに家を失い、知らないうちに戦争してた!」
とか、ぜんぶ国や人のせいにして自分で考えたり何かを生み出したり出来ずに、周りに翻弄されるだけの他責・被害者意識の人生になってしまう。

自分が発信をしていると、周りの世界で起こってることにも気づきやすくなるし、それが自分のやってることや生活にもどのような影響を今後及ぼしていくか、予測が立てやすくなります。 
いわゆるリスクヘッジです。

音楽でも保育でも、他の分野でもですが、これが本能的にできないと、今後の日本や世界では生き残って行くのが難しくなると私は考えています。

「そんなもんいらん!」と言ってる人も時々いますが、見てみたら、そういう人は感覚が野生動物みたいに並はずれて鋭くて無自覚にリスクヘッジ出来てしまってるか、超人的に問題解決能力が高い天才です。

ですが、私はそんな天才ではない。
むしろ、リアルの私は物覚えも悪いしトロいし、とんでもないヘタレです。

だから、ダンサーやボクサーがしなやかな筋力や瞬発力を鍛え抜くためにトレーニングをやめないように、私は発信をやめません。

「発信を止めたら、自分のことも他人のことも客観的に見れなくなる」
と、最近ある方がおっしゃってました。
まさにそれだと思いました。

最後に、私の好きな小説と漫画からの台詞を引用させていただきます。 

「だいたい人はマヌケな生活に夢中になって大切なことを忘れてしまうのよ」
      盛田隆二『サウダージ』より

「意思を放棄した人間は人間にあらず!
ただ笑いと媚びに生きてなにが人間だ! 」
   武論尊・原哲夫『北斗の拳』ラオウの言葉




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