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Permanent Damage/Joesef

スコットランド出身、グラスゴーを拠点に活動するシンガー・ソング・ライターJoesef(ジョセフ)のデビュー・アルバムである。
『Permanent Damage』(永久に残る傷)というタイトルとアルバム全体に漂うアンニュイでハートブロークンな歌詞に示されるように、失恋の体験をインスピレーションに作られた作品のようだ。
やや直接的な表現過ぎるきらいもあるかもしれないが、メロウなソウルとディスコのリズムを中心に据えながら、インディー・ロックやエレクトロの要素も含んだサウンドはキャッチ―で聴き心地がよい。

リードトラックの「It's Been a Little Heavy lately」や「Joe」は無機質な打ち込みのビートにファンクなベースの上に彼自身の甘くメランコリックな歌声が乗り、アンニュイな雰囲気を纏いながらも身体が揺れる。空間を埋めるように広がる音作りはMVのようにクラブで聴いているかのような感覚になれる。

"怒っちゃいないよ/ただ失望しているだけなんだ"と諦めの雰囲気を、カントリー風のアコースティック・ギターにボコーダーを重ねた高音のコーラスで歌い上げる「borderline」はBon Iver(ボン・イヴェール)に通ずるものを感じた。

ウェル・メイドな初作として充実の出来だと思う。現在進行中のツアーが良い影響になって欲しい。


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