地方熟年経営者たちの「補助金」の甘いささやきを聞いてはいけない理由


ここ最近で地域のビジネスを始めた、もしくは始めたいという20代からお話を聞きたいですとメッセージをもらうことが増えてきました。

そのような話に必ず出てくるのが「補助金」のこと。

地域で事業を始めると最初は色々なイベントや集まりに出向いたり、地域の重鎮らしき事業者を紹介してもらったりとまずは顔を覚えてもらうところからスタートすると思います。

私も長年まちでがんばってきた40代・50代以上の経営者の方々と出会う機会がありました。

現在推進中のプロジェクトやこちらの事業構想のお話をしていると、いつも必ず「おや?」と気になることがあったのです。
 

何に引っかかったかというと「そういう事業をやりたいなら、国や県の〇〇という“補助金”があるよ」という甘いささやき。

「補助金」や「助成金」という単語を聞くと「またか……」と呆れた気持ちになります。

 
どうもローカルの経営者はすぐに「補助金」という言葉を口する傾向があるように思います。個人的な経験では特に50代以上の経営者に多いでしょうか。

「もらえるものならもらっておいて損はない」という”補助金ありき”な発想が定着してしまっているのです。「事業を始めるなら当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、実はこれには大きな問題点が隠れています。

では事業を立ち上げるに当たって補助金をもらうことのなにが問題なのでしょう。

皆さんはまちビジネス事業家の”木下 斉”さんをご存知でしょうか?



木下 斉(きのした ひとし)
一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事


木下さんは私のまちづくり事業に対するビジネスモデルや考え方の土台を築いてくださったメンターの1人です。

まちづくりの「経営力」養成講座』(学陽書房)、『まちづくりデッドライン』(共著・日経BP社)、『稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則』(NHK出版新書)、『地方創生大全』(東洋経済) などまちづくりに関する著書をたくさん出版なさっています。

 
木下さんは各地の出資者と共にそのエリアのまちづくり会社をつくり、徹底的なコスト削減をベースに空き家や遊休不動産を利用して、まちに循環的にお金が流れる仕組みビジネスモデルを構築するスペシャリスト。

まちのお金は効率的にそのまちで循環するべきであって、事業資金は民間在りきで考える”アンチ補助金派”です。(最近は、公民連携事業機構も設立なさいました)



従来の時代錯誤のまちづくり手法にガブガブ噛みつき喰らい尽くすことから「狂犬」と呼ばれるほどの辛口事業家なのですが(先日初めてお会いしましたが気さくにお話してくれる方でした)、そんな木下さんのグサグサ突きささる言葉の中に、こんなものがあります。


 “ 税金はそもそも最初から事業性がない社会制度のためにあります。補助金を入れた瞬間に、その事業は本来の機能を失い、誰も対価を支払うような取り組みではなくなり、補助金なしには継続できない状況にまで追い込まれてしまいます。”(『稼ぐまちが地方を変える』p99)


 “ 身の丈に合った事業を徹底するには、事業に投じたお金は事業で回収し、返済していかなければなりません。「だから大変だ」と言う人がよくいます。確かに大変ではありますが、大変であるがゆえに様々な創意工夫、知恵が生まれるのです。自分の拠出した資金だからこそ、どうにかちゃんと成果を残していこうと言う覚悟も決まります。”(『稼ぐまちが地方を変える』p103


 
補助金に依存する最大の問題は、”身銭を切ってリスクを負い事業をスケールさせるという姿勢が損なわれてしまうこと”です。

もちろんすべての補助金がダメだという考えではありません。創業費用等、場合によっては補助金が有効的に使われることもあることでしょう。

しかし基本的に私もアンチ補助金派なので「補助金をもらってうまくいかなければまた補助金をもらえばいい」という安易な考えなら事業なんて始めないほうがいいとさえ思います。


先の熟年経営者の方々に「それでは補助金が打ち切られたらどうするのですか」と聞くと、「そこは継続的に補助金がとれるようにうまくやる方法があるんだよ」なんて見当はずれな答えが返ってきたりします。

果たして事業はどこにったのか、まるで思考停止状態。私はこのような考えをもつ熟年経営者の方々とは距離を置くようになりました。


では補助金に頼らずに成功する事業を始めるにはどうしたらいいのでしょうか。


『稼ぐまちが地方を変える』から事業を始める上で重要なポイントを抜粋しました。


 ① 小さく始める

 ② 心から信頼できる2〜3人の仲間を見つける

 ③ 経費を削減して利益率を高める

 ④ 再投資サイクルをつくる

 ⑤ 撤退ラインを決める


特に①と③が重要だと個人的には考えています。
 

無理をせずに今あるリソースで小さく始めてまずはやってみることです。小さくても継続的に活動を重ねていくことで、少しずつ仲間が増え仕事が増えていきます。

また徹底的にコストを削減して利益率を高め効率的に事業を進めていくことで、再投資が可能になり事業がさらにスケールしていきます。

あとは、数字的な目標設定でしょうか。これはローカルのプロジェクト運営にありがちなのですが、目標設定なしにダラダラと事業を進めるのはコンパスを持たずに航海に出ているようなものです。

小さく始めるとしても短・中長期の具体的な目標をしっかりと掲げ、コストを抑え利益率を高めながらテンポよく事業運営することが成功へのポイントです。


木下さんの著書『稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則』を読んでみてくださいね。


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中里 彩 / Laaa

Laaa株式会社 CEO | 自分らしさを体現する女性体型向けカスタムオーダーブランドを運営 | ファッション× WEB × 社会課題に挑み、作り手と着手を繋ぐひと | メンズスタイルデザイナー | ally🏳️‍🌈
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