『Zaslíbené místo /まちあわせの ばしょ』ができるまで

『Cirkus hraček 』全曲解説もいよいよ最後の曲です。PEIACOにこのアルバムの制作を持ちかけて色々と話し合う中で2人の好きな曲などを教えてもらいました。その中で栗コーダーカルテットとUAのコラボした『PoPo Loouise』という曲がありました。

この曲のどこか異国の絵本の世界みたいな雰囲気がとても好きで繰り返し聴きました。同じような理由でくるりの『ブレーメン』も好きでよく聴いていました。そんな中からできた曲です。

歌詞はpeiがつけてくれて、『Cirkus hraček 』の物語のエンディングにふさわしい曲となりました。『プー横丁にたった家』の終わり方のようでもあります。クリストファー・ロビンがプーさんや「100エーカーの森」の仲間と別れるシーンはとても切なく感動的でした。

今作の主人公マフネは熟れたリンゴとともに少しだけ大人になり『Cirkus hraček 』の世界とお別れ?します。このマフネはacoの体験が元になっていてacoはマフネくらいの歳の時から大事にしている人形があってその人形と一緒に空想の世界へと遊びに行っていたそう。このあたりの話は絵本とリンクしています。ぜひ絵本『Cirkus hraček〜 まちあわせのばしょ〜』も手に取ってみていただきたいです。

私は小さい頃に、ひとりきりでオモチャや人形を使って空想しながら遊んだという思い出がほとんどありません。どちらかというと友達や近所のお兄ちゃんたちとわいわい公園で遊んでいた記憶が強いです。

むしろ、高校生になる前後でギターをはじめ、自分で曲を作り始めたころからの方がひとりで空想したりすることが多くなったような気がします。音楽聴いたり本読んだりと、徐々にアウトドア派からインドア派にかわっていきました。

マフネやacoにとってのおもちゃや人形は、私にとっては楽器なのかもしれません。一人部屋にこもってギター、ベース、シンセ、リコーダー、タイコを鳴らしながら空想の世界へ遊びに行ってました。

マフネが成長して、空想の世界と距離を置くようになったように、私も『Cirkus hraček 』という作品を完成させたこのタイミングが楽器たちとのお別れになるかもしれないと薄々感じています。

音楽をはじめてすぐに、ミュージシャンを夢見るようになりました。20代はほとんど音楽のことしか頭にありませんでした。音楽を仕事にしたいと本気で思ってました。しかし、それは叶いませんでした。その現実に直面したときに、不思議と音楽をやめるという選択はありませんでした。

RHYMESTERのONCE AGAIN の歌詞、「夢」別名「呪い」という言葉が染みます。「夢ってのは呪いと同じなんだよ。呪いを解くには夢を叶えなければ。でも、途中で挫折した人間は、ずっと呪われたままなんだよ」この言葉はネガティブにもとれるけど、(自虐的ではあるにせよ)ポジティブな言葉だなと解釈してます。

それほどまでに一度みた夢というのは簡単に投げ出せるものではないのです。30代の今は仕事の合間に音楽を作り続けてきました。そして、みのと『metsän eläimet』PEIACOと『Cirkus hraček』を作り上げました。この2作品でかなり自分の中の呪いは解けた気がします。

まだ音楽でやりたいこともあるにはあるけれど、それほど切実な思いではなく、時間があったらやりたいなという気持ちです。


夜空に消えていく おもちゃのサーカス
おもかげ探して まちあわせ まちぼうけ                                                          アエナイノカナ? モウ モドレナイノ?
サヨナラモナシニ サヨナラ サヨナラ …

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