ゾゾの描くファッションの未来とは?

ゾゾの2019期決算が発表されました。2019年1月に当初計画から30%以上も下回る大幅な下方修正を実施していましたが、下方修正後の数字すら満たすことができませんでした。

あわせて、不採算事業だった ZOZO ARIGATOの撤退、PB事業の事実上の撤退も発表されました。(海外事業は完全撤退。国内事業は縮小)

ゾゾの株価高騰の起爆剤となった ZOZOSUIT事業、PB事業、そしてZOZO ARIGATO施策のいずれもが1年ちょっと、もしくは1年を満たずに撤退する事になりました。

ZOZOSUIT 事業発表後の多くの方々の熱狂にも似たゾゾへの期待を目の当たりにしてきた人間としては、極めて残念です。

ただし、私が以前別の記事で書いたとおり、ZOZOSUITの撤退、PB事業の撤退という流れは、予測通りでもありました。そして残念ながら予測は的中していまいました。

まずゾゾスーツの撤退が発表されましたが、続いてプライベートブランド事業の撤退が、この1年の間にアナウンスされるのではないかと推測しています。

決算的に、借入金はどうやって返すつもりなのか、とか、在庫がものすごく積み上がっていて今は資産計上されているがこちらは実質不良在庫なのではないか、とか、営業キャッシュフローが激減しているのはなんでなのか、とか、気になるところはいくつかあります。

しかし、やはり、ファッション業界に革命を起こすことを期待され、多くの人の熱狂にも似た支持を集めたZOZOSUIT事業、PB事業をこんなにあっさり辞めることができるんだ、という一点について、私は深い失望を感じています。

2018年のゾゾを取り巻く騒動は、露悪的なワイドショー的な盛り上がりもありましたが、ベースとしてはファッション業界、EC業界におけるパイオニアとしての存在であるゾゾに対するリスペクトがありました。ゾゾの人たちが語るファッションに対する強い思い入れ、ビジョンに感銘を受けました。だからこそ期待し、注目をされていたのだと思います。

しかし、今現在、そのビジョンはあっさり葬り去られてしまいました。本気でそのビジョンを描いていたのであれば、さすがに無念であるでしょうし、Twitterなどでも忸怩たる思いを語られていてしかるべきだと思います。

ここでは、取締役、執行役員、重役の方々中心に、どのような反応をしているのか列挙していこうと思います。

ZOZO 代表取締役 前澤友作

決算内容が下方修正した数字にも満たなかった事や、PB事業を事実上の撤退したことなどには触れず、自社に都合の良い数字(しかも根拠の無い来季の予測)だけを載せています。

とはいえでも、経営に関わる事を書いているだけ、まだましな方です。

ZOZOテクノロジーズ代表取締役 久保田竜弥

PB事業、ZOZOSUIT事業の技術を担当していた会社の社長の、直近の発言。今回の事業撤退の責任の大半はこの会社の技術力、経営のあり方にあると思いますが、その代表を務める社長の立場の人がそもそもファッションについて好きでもなく思い入れもほとんどなさそうです。今回の発表に対する責任も感じていなさそうです。

この人は会社の仕事をほとんどしていないのか、過去数ヶ月振り返ってみても、自身の趣味と思われる野球の話しか書かれてません。

ZOZOテクノロジーズ代表取締役 金山祐樹

この方はファッションビジネスへの感度が高そうで、ファッションも好きそうですし、実際つぶやきを流し読みしてみても鋭い事を書いている方です(少なくとも上述の久保田社長の1億倍くらいは)。

しかし、事業撤退という大きな転換期においても、そのことに向かい合う誠実な姿勢は残念ながら見られず、どちらかというと鈍感な反応を見せていました。


ZOZOテクノロジーズ執行役員 今村雅幸

VPoEということで、技術のトップの一人です。つぶやきを見てても、自分たちがいかに凄いかということだけが語られていて、ファッションに対する情熱は感じられません。凄いのなら、結果で見せてほしかったのですが、残念ながらその結果を待つことなく短期間での事業撤退となりました。

そして事業撤退については、この会社の人なら当然なのかもしれませんが、一言も触れられていません。その事業を実現するために採用に力を入れて人集めをしていた立場の人のはずで、そういう意味で、この姿勢は極めて不誠実だと思います。

ZOZO 執行役員 田端信太郎

この人のことは触れるだけ時間の無駄でした。

結論

ゾゾには、多分ファッションが好きな人はいないのだと思います。

ファッションが好きな人が少しでもいたら、あの壮大なビジョンが心のそこから実現したい事で、そこに夢や希望を感じていたのなら、このような反応は絶対にありえないと思います。

あれだけ皆を期待させておいて、結果大きな失望を与えてしまった事。そのこと自体は責めるのも酷かもしれませんが、何も感じていないというのはあまりにも寂しいです。ファッションが好きな人たちの集まりであれば、何も感じない、などということはあり得ないはずです。

ゾゾは今も潜在的に山積している経営的な課題はたくさんあると思いますが、それ以上に、ファッションが好きな人、ファッション業界を技術の力で変えようという思いやビジョンを持っている人がいないように見える事が、何にも増して残念なことでありますし、深刻な事なのではないかなと思います。

この記事タイトルの問いへの私なりの回答は、「彼らが描いているファッションの未来などというものは存在しない」です。






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