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クライアントワークに重要な 信頼関係を築くラポール形成【ILY,BootCamp #08 レポート】

Hello, people.

「デザイナー・ディレクターとしてのマッスル(スキル)を鍛える!」を合言葉に、弊社では定期的に「ILY, Boot Camp」を開催しています。

今回のテーマは、ビジネスや恋愛にも役立つ「ラポール形成」について。
ILY,は、上流工程からクライアントやパートナー企業と関わるデザインファームということもあり、
さまざまな立場や考え方の人とコミュニケーションを図りながら仕事をするからこそ、相手や仲間とよりよい関係を築くことは非常に重要です。
また、これまでに良好な関係を築いているからこそ、クライアントのニーズを引き出し、よりよいものを創り上げるという観点からも、相手との信頼関係を築くことは肝心です。
質のよい関係を構築するには何が必要なのでしょうか?関係性の構築方法やテクニックなどを勉強した様子をお届けします。

“ラポール形成”とは

「ラポール形成」とは、相手との信頼関係を築くことを指します。
「ラポール(rapport)」とは、フランス語で“収益・利益”や“関係”を意味し、もともとは催眠家とそのクライアントとの親和関係を表す心理用語でした。
「ラポール形成」は心理療法の分野にとどまらず、セールスや交渉、プレゼンテーションなどのビジネスの世界や、家庭やプライベート、教育の場でもその言葉が使われるようになりました。
また、心理療法をもとにNLP(神経言語プログラミング)※が生み出され、今ではさまざまなシーンで必要なコミュニケーションスキルとして定着しています。

※)
1970年代に、カリフォルニア大学の言語学助教授ジョン・グリンダーと、心理学部の生徒であり数学者であるリチャード・バンドラーが、セラピストたちが実践してきたアプローチや観察方法などを研究・分析し、コミュニケーションのフレームに落とし込んだもの。
オバマ元大統領や、クリントン元大統領の演説にも、このスキルが用いられていました。


ラポール形成とコミュニケーションの関係

なぜ、相手との信頼関係が重要なのでしょうか?

それは、コミュニケーションを円滑にするためです。
円滑なコミュニケーションが取れる関係性は、互いを理解しているため、対話の際に本音を言いやすくし、生産性を高めます。信頼関係が深まれば深まるほど、交わされる会話の質も向上します。
つまり、信頼関係は相手とのコミュニケーションに大きな影響を及ぼすのです。

コミュニケーションには”言語コミュニケーション“と”非言語コミュニケーション“の2種類が存在します。
”言語コミュニケーション“とは、人が発した言葉やその内容からなされるコミュニケーションのことで、”非言語コミュニケーション“は、言葉ではなく、表情や身振り手振り、声のトーンなどから得られるコミュニケーションのこと。
コミュニケーションの9割はこの“非言語コミュニケーション”によるものと言われています。そのため、言語のみのコミュニケーションは本質が伝わりづらく、理解に齟齬が生じたり意思の疎通ができないなどの問題が発生します。

なぜ、“言語コミュニケーション”は難しいのでしょうか?
理由は4つ考えられます。

①多くの情報が省略されてしまうため
②言葉の受け取り方が人によって異なるため
③個人のフィルターによって情報が曲げられてしまうため
④ひとつのことをすべてのように一般化して表現してしまうため

人それぞれ、環境や価値観が異なるため、ひとつの言葉から連想するイメージや、物事に対する考え方もばらばらです。そのため、言語は削除され、歪曲し、一般化してしまうのです。

コミュニケーションの目的は、“人を理解すること”“人に(自分を)理解してもらうこと”。言語のみのコミュニケーションから起こりうる認識のずれや対人トラブルを防ぎ、補うために必要なのが、「信頼関係」すなわち「ラポール形成」なのです。
ラポール形成には、良質なコミュニケーションが必須です。まずは相手に好感を抱いてもらえるようにすることで、ミスコミュニケーションを防ぎましょう。

+α:良質なコミュニケーションのために必要なこと

前述のとおり、言語のみのコミュニケーションは難しく、認識のずれなどの問題が生じ得ます。そうしたトラブルを防ぐためには、何が必要でしょうか?
まずは、質問と確認をすること。
相手の立場や状況を考え、削除・歪曲・一般化された情報を取り戻しましょう。受け取る情報量や反応を増やし、相手の意図を汲み取る思いやりも重要です。
加えて、自分も相手に好感を抱くことも大切です。自分から心を開くことで、よりよいコミュニケーションにつながります。
また、身だしなみや言葉づかいといった、外面的な部分にも配慮することで、相手に好感を与えることができます。

ラポール形成の具体的なステップ

①キャリブレーション
②ペーシング
③ラポール
④リーディング


①キャリブレーション
キャリブレーションとは、相手を観察すること。五感を使って相手を観察し、本音を理解するのです。

視覚的情報:表情、視線、姿勢など
聴覚的情報:声のトーン、抑揚、話すスピードなど
触覚的情報:体温、空気感など

ビジネスの場では触覚的情報は得づらいですが、意識的に相手を“見る”“聞く”ことで、「この人はどのような人なのか?」「どんな話をどうやって伝えようとしているのか?」に気づくことが大切です。

②ペーシング
ペーシングとは、相手に合わせた行動をとることです。相手のペースに合わせることで、無意識レベルに親近感を与えます。
ペーシングには“マッチング”と“ミラーリング”の2つのテクニックがあります。
“マッチング”は、話し方や話すスピード、言葉づかいなどを合わせること。たとえば、相手が間違った言葉づかいをしていた場合、訂正せずに自分もその言葉を使うことで、相手を不快にさせず円滑にコミュニケーションを進めることができます。
“ミラーリング”は、動作や姿勢、手足の位置などを合わせること。相手が手を組んだら自分も手を組む、相手が水を飲んだタイミングで自分もコップに手を伸ばすなど、動作を合わせて親しみやすい空気をつくります。
どちらも、あくまで自然な範囲で行うのがポイントです。

③ラポール
キャリブレーションやペーシングを経て、ラポール形成へと進んでいきますが、よりダイレクトに信頼関係を築ける3つの手法(スキル)があります。

1つめは、“バックトラック”。相手の発言を繰り返し、相手に安心感と話を広げる意欲を与えるテクニックです。
会話の中のキーワードや語尾をまねたり、相手の話を要約して返事をするなど、“聞く”ことに集中してポイントを拾い上げましょう。

2つめは“リフレーミング”。相手の欠点を言い換え、新たな選択肢ややる気に気づかせる方法です。
たとえば、“頑固な性格”を“意思が強い”と言い換え「言葉の定義をリフレーミング」する。名言・格言・比喩などを用いて伝えたいことを間接的に表現し「メタファーでリフレーミング」する。
ほかにもリフレーミングの方法はありますが、重要なのは、否定的な言葉を使わず、“今”を受け止めることです。決して表面的な言葉にせず、相手を尊重したうえで、リフレーミングを使いましょう。

3つめは、“ザイアンス効果”。同じ人や物に接する回数が増えるほど、その対象に好印象を持つようになる効果のことです。この心理を利用して、例えば、打ち合わせ前に事前資料を送ったり、メールや電話で丁寧に対応するなどの接触によって、相手に良い印象を与え、信頼関係を形成します。

④リーディング
ラポール形成ができたら、“リーディング”で、関係性をさらに発展させていきます。
ポイントは、信頼関係を築いたうえで、リーディングを行うこと。信頼関係ができているからこそ、相手に変化を起こし、相手の考えを打破する提案が可能です。
否定的な表現は避け、オープンクエスチョンを上手に使うことで、相手の考えやニーズを引き出し、より望ましいゴールに導きましょう。


リモートワークやオンラインでのやりとりが増加し、どうしても文字のコミュニケーションや、視覚的・聴覚的情報が削がれたコミュニケーションが多くを占めています。
「ラポール形成」や、コミュニケーションについて学んだ今、オンラインミーティングでは表情や話し方を3割増しにしたり、チャット機能をうまく利用して、言葉を補うような工夫が必要だと改めて感じます。
相手のことを100%知るのは難しいですが、クライアントやチームメンバーと、よりよい信頼関係が築けるよう、この学びを活かしていきたいと思います。

Thank you, we love you.

私たちILY,は、ロゴ制作やビジュアルデザインなどの”見た目のデザイン”にとどまらず、MVV策定や事業・サービスのコンセプト設計などの”コトのデザイン”もご提供しております。お気軽にご相談ください。


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