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(後半)「SDGsの取り組みにおけるKGI・KPI設計のポイント」ーウェビナーリポート

Hello, people.

2021年3月に行われたウェビナー「SDGsの取り組みにおけるKGI・KPI設計を専門コンサルタントが実例を交えて教える!」の内容をお届けするこのシリーズ。KGI・KPI設計の前提となる知識や手順、優先課題の検討方法についてお届けした前回に続き、今回はKPI設定のポイントや実例、便利なツールの紹介をしていきます!

登壇者プロフィール

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米田 真介(よねだ しんすけ)
株式会社Drop 代表取締役 CEO

広告会社にてBtoB広告・CSR報告書などの業務を経て日本一周ヒッチハイク後に起業。株式会社Tears Switch創業(現株式会社IKUSA)し、Webマーケティング・イベント企画運営・地域活性化・経営コンサルに従事。起業から10年のタイミングで事業譲渡し退任。起業の傍らチャンバラ合戦というアクティビティを産み出しNPO法人ゼロワン設立。著名人、大企業とも協力・実施し、のべ8万人の体験者を生み出す反響を得る。株式会社Dropを創業し代表取締役として社会課題、経営課題に対するコンサルティング事業を展開。※現在もNPO法人ゼロワンは理事長として在籍中

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葉葺 真一 (はぶき しんいち)
インフォコム株式会社 スマートビジネス部長

業務として世界防災フォーラム/防災ダボス会議に参加する中、グローバルでのSDGsの重要性を強く認識。企業だけでなく、家族、コミュニティも繋がれSDGsの「見せる化」を実現する「Lookat(るかっと)」の立ち上げに参画中。2030SDGs公認ファシリテーター、ワークショップデザイナー(29期)、レゴ®シリアスプレイ®ファシリテーター。

KPI設定のポイント

米田 KGIを決定したら、KPIを設定していきますが、現場できちんと機能するためには以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

①ストーリー仕立てで考えられている
②多くの箇所に影響を及ぼす
③優先順位をつけて実行できる

なぜそのKPIを立てる必要があったのか、そのKPIを設定したことによって、どのような波及効果が考えられるのか、事業部だけでなく社内全体で理解が進み、活発なコミュニケーションが生まれるものが望ましいでしょう。

また、KPIは通常、複数立てることが多いのですが、効果的に行うためには、一番課題に感じている部分を1つに絞って実行する方がよいでしょう。KPIを複数立てたとしても、必ず優先順位をつけて行うようにしてください。

KGI・KPI設計の事例を見てみよう!

米田 では、実際に設計を行ったある畳企業の事例を見ていきましょう。

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こちらでは、「日本文化を未来へ」をミッションとして、まずは売上100臆、営業利益率10%という分かりやすい数値をKGIに置くことにしました。さらに、ここから環境面、社会面で企業がどのように社会に貢献していくのか、上記の3つのあるべき状態に落とし込み、それを元にKPIのリストアップをすることにしました。

このように、一旦KGIをシンプルなものに設定してから因数分解していくというやり方は、SDGsの導入を始めたばかりの企業には有効です。

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次にKPIの具体的数値を検討していきました。企業の評価指標には、国際的なガイドラインとなるGRIスタンダード(※1)やSASB(※2)が提唱している指標があるのですが、中小企業の場合、自社に落とし込みにくいという問題点があります。そこで、一旦課題をローカライズするという手法を採ります。

※1)GRIはGlobal Reporting Initiative(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)の略。「GRIスタンダード」は、世界で最も広く採用されている非財務報告の枠組み。

※2)サスティナビリティ・アカウンティング・スタンダード・ボード (Sustainability Accounting Standard Board)の略。ESG観点による企業情報開示のスタンダートを設定している非営利団体。

前半にご紹介したように、SDGsには世界の指標があり、それを元に日本の指針、自治体ごとの指針が数値として公開されています。自社のKPIがどれに紐づいているのか、上位となる情報を確認した上で、自社にとって実現可能性のある数値目標を設定していきます。

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KPIをリストアップしたら、上記のように阻害要因を洗い出し、小目標に変換するという作業を行っていきました。さらに、小目標から優先度の高いものを決定していき、ステークホルダーの意見も取り入れながら、KPIをブラッシュアップしていくという作業を繰り返していきました。

このようにKPIは一度設定してからでも、変えてしまって構いません。現場で機能しやすい形、会社の理念に沿う形を模索してみてください。

SDGsへの取り組みのポイント

米田 最後に、SDGsを社内で推進していくためのポイントについてもお伝えします。

①専門のプロジェクトチームを置く
補助金の取得や複雑な情報の整理には労力や時間がかかり、高い知識と専門性が求められます。事業部ごとに取り組むのではなく、専門プロジェクトチームをつくり、できるだけ専門家や経営者も巻き込みながら、やっていきましょう。

②マイナスの影響が出ることを前提とする
SDGsを推進しようとすると「原材料費が上がる」「調達に時間がかかる」など、必ずマイナスの影響が出てきます。社会貢献と利益のバランスをどうとるかといった問題は、短期的な視点ではなく、10年、30年といった長期的な視点にたち、マイナスの影響を最小化できるように、包括的なプランをつくる必要があります。

③「理解すること」と「受け入れること」は別だという認識を持つ
SDGsへの理解度・許容度は人によってさまざまです。例えば同性愛について、容易に受け入れられる人もいれば、嫌悪感を感じる人もいます。ただし、個人的に受け入れられなくても、会社としては認める必要があり、理解する努力は必要です。勉強会や意見交換会を行うなど、まずはSDGsの基本的知識を学ぶところから始めてみましょう。

ITツールの利用で進捗管理も簡単に

最後に、SDGsソリューション事業を行う株式会社インフォコムの長内様から、企業のSDGs活動を推進するITツールと、その使い方についてご紹介いただきました。

長内 弊社では企業や団体、個人が取り組むSDGsの学習や活動を支援するサービス「Loolat」(るかっと)を運営しています。このうち、Looat socialmeter」(るかっとソーシャルメーター)は企業のSDGs活動を「見せる化」するSDGsプラットフォームです。

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SDGsのゴール・ターゲットを選択することで、それに紐づくKPIを設定しやすくするほか、達成状況をデータからグラフ化することで視覚的に理解ができるようになり、進捗管理や社内での取り組みの浸透を測れるのが特徴です。
さらに、レポーティング機能により、実際の活動内容を出力でき、CSR等の社外アピールに使用することができます。また、他企業の取り組みや最新のSDGs関連のニュースについても知ることができます。

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現在、申し込みをいただいた方にはトライアルバージョンが無料で利用できるので、ぜひご利用ください!

まとめ

良いKGI・KPI設計を行うためには、自社が行っている事業のインパクトを洗い出し、ステークホルダーを含めて優先課題を見つけるとともに、会社の理念に立ち返って考えてみることが大切です。また、長期的な視点でプラスの影響を最大化、マイナスの影響を最小化できる方針を立てていくことが必要です。

ITツールなども上手く利用しながら、SDGsの取り組みを進めていけると良いですね。

Thank you, we love you.

私たちILY,は、ロゴ制作やビジュアルデザインなどの”見た目のデザイン”にとどまらず、MVV策定や事業・サービスのコンセプト設計などの”コトのデザイン”もご提供しております。お気軽にご相談ください。



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