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帰ってきた!昭和シンセオタクが選ぶ無料ビンテージシンセ・エミュ(その6)

高性能エントリーモデルの先駆け「Kawai K1」

80年代はじめまでプログラマブル・ポリフォニック・シンセサイザーは高額で敷居が高かったのですが、MIDIが登場以降に10万円前後の「エントリーモデル」が各メーカーより登場しました。しかし必要最低限度の仕様ともあり「若干チープなサウンド」でありました。そんな中、80年代終盤に老舗メーカーの「河合」より低価格で世に送り出した「Kawai K1」はセンセーショナルでした。なんと!204種類のデジタル波形と52種類のPCM音源を搭載したオシレターを4基それぞれEG調整ミックス&モーフィングでき、16和音レイヤー&スピリット、8パートマルチティンバー対応と驚きのスペック!サウンドは「Roland D-50」の《LA音源》に迫るもので、鍵盤付きが約10万円、音源のみは5万円台と当時、超破格で、お値段以上のデジタルシンセだったのです。なお、「K1」にはシンセサウンドの要となる「フィルター」が搭載されていません。ですが、代わりにフィルターで絞ったような波形が搭載されており、それらの波形を4つのオシレーター間で変化(モーフィング)させ音色づくりを行う、独特な仕様のデジタルシンセなのです。

「K1」を完全再現した無料シンセ「Nils' K1v」

今回ご紹介する「Nils' K1v」は「Kawai K1」を完全再現した無料シンセで、実機のプログラムデータと互換があるスグレもの。しかも別売りだったRomカードサウンドを全て網羅し、実機のRomから波形データを吸い上げた音源でかつデジタルシンセともあってまんまのサウンドです。なお、複雑な仕様のデジタルシンセともあり、ゼロから音色づくりは骨の折れる作業になるので「シングル」モードでプリセットから目的に近い音色を選び「エディット」で調整する流れが主になるかと思います。独特な仕様のシンセではありますが、操作しやすいインターフェイスなのでそう時間掛かる事なく操作理解できると思います。今となればリアルにはほど遠いLo-Fiデジタルサウンドですが、80年代後半サウンド再現に役立つシンセの一つと思います。

音源モデル「K1m」を彷彿するデザインで操作しやすく80年代後半サウンドが網羅しています。
フィルター非搭載のシンセですが音色が異なる波形を時間変化させる音色づくりになります。

「Nils' K1v」のダウンロードはコチラ!

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