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旅のみそ汁


1年前まではみそ汁なんてなくても飯は食えると思っていた。

みそ汁はなんというか地味だ。味も見た目も。
あったってなくたって同じような存在感なのに
ないと「おい、ないぞ!!」という気持ちになる。
実家では大体毎日みそ汁を作っていたし、
手作りのみそ汁が用意できないときに備えて
戸棚にはいつもインスタントみそ汁があった。
去年の9月、故郷から八丈島へ渡った時、
スーパーで真っ先に手に取ったのがインスタントみそ汁だった。
お茶でもなく、スープでもなく、みそ汁。
そのとき「空気のような存在」という言葉が急に身にしみてわかった気がした。
みそ汁がないと、飯が食えない。
以来、インスタントでもなんでも構わず、ほぼ毎日みそ汁を飲んでいるのだが
みそ汁には地域性が表れるなあとふと気が付いた。

長野県にいるときはとにかく野菜を重ね煮にして食べていた。
冬の白菜やホウレンソウはくつくつ煮込むとじゅわあっと甘味が染み出る。
今思えば本当に贅沢な味なのだ。
あと鯖缶とタケノコのみそ汁!
今年は食べられなかった…。

八丈島ではネリ(島のオクラ)をいれたり、
島唐辛子を加えてピリ辛にしていた。

唐辛子は好奇心で入れてみたのだけれど、
そのうちないと物足りなく思うくらいで、
しみじみ辛味というのはおいしいんだなあと思った。
というか、暑いところにいると辛みを欲するのだろうかと不思議に思った。

志摩(三重県)にいるときは直売所で買ったあおさ、わかめ、梅干しなんかを具にした。


みそ汁に梅干し、これが意外と合う。
深みがでるし、さっぱりとして、疲れた体に染み渡る。 

島原(長崎県)では粉くろめという海藻をぱらぱらといれていた。 これは入れるとめかぶのようになっておいしい。
海は海でも地域によって獲れる海藻の種類がまったく違うのでおもしろい。
どこででもひじきが獲れるわけではないし、昆布が獲れるわけではないのだ。
有明海の海藻は種類が豊富だった。

熊本県では島原でもらった新玉ねぎとともに南関あげという油あげを具に浮かべた。

南関あげは今やどこのスーパーでも手に入るようだけれど、
手でぱりぱりとちぎって入れるのが熊本の家庭流らしい。


今の寮は台所が広いから存分に料理ができる。
鶴屋(百貨店)の北海道展で買ってきた昆布と
呼子の市場で買った煮干しでだしを取って
久しぶりにきちんとしたみそ汁が食べている。


おみそは大分フンドーキンの生きてるみそ無添加シリーズの赤。
インスタントは便利だけど、
手作りのみそ汁にはかなわない。

海辺では海のもの、山では山のもの。
みそ汁というのはシンプルでいて奥深い。
これからも続くみそ汁の旅。


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