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おろしや国酔夢譚のような

大学生のとき、ロシア文化を学ぶ講義で映画『おろしや国酔夢譚』を視聴した。
遭難した光太夫たちは、言葉の通じないロシアの地でなんとか「何?」という意味のロシア語を身につけ、現地の住民にとにかく「何?」を繰り返してロシア語を習得していく。
過酷。当時は緒形拳に感情移入しすぎて終始過酷を感じた。凍える大地での必死のコミュニケーション「何?」。ううう。

2歳の息子も「これは?」を一日中繰り返している。生活用品からアニメのキャラクター、ときには何もない空間を指差して繰り返す「これは?」。小さな緒形拳のように、息子は質問を繰り返している。
この世で暮らすための言葉を習得しようとする小さな人に、私も付き合おう。こうして言葉を習得していった息子がいつか、エカテリーナ2世的な人に巡りめぐって出会うかもしれないから、などと考えながら日中は過ごしています。

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