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学校現場の話

私が不登校になったとき、「仕事のことは考えずにゆっくり休んでくださいね」と優しいラインをくれた先生から、昨日またラインをもらった。

やはり、すごく大変だと・・。私のクラスの担任代理、授業に加え、2人で相談しながら進めていた授業を一人で進めなければばらず、さらに部活の業務や、校務分掌といって先生みんなで分担している事務仕事(副担任は担任に比べて多いため、担任をしながらだとかなり大変)。加えて幼い息子の育児、家事。

その先生のメッセージの端々に、「時短勤務でもいいから早く戻ってきて欲しい」の思いが伝わってきた。

優しい方だから、きつい言い方ではなかったが、それほど切羽詰まっているのが伝わってきた。

私はひたすら、「負担をかけてしまいすみません」と「まだ、戻れる状態ではないし、もし戻ったとしても、またすぐ行けなくなると思います」と「くれぐれも先生のお身体とご家族を大切に」と伝えた。そして、「私が家でできること、例えば作成した定期テストの確認作業や様々な相談事があれば遠慮なくメールしてください」と伝えた。

そんなの、ろくな助けにはならない、と十分わかっているが、今の私にできる精一杯だった。

私がいなくなることで、どれほど迷惑がかかるかわかっていたからこそ、鬱になっても1年間、心も体もボロボロになって、もうこれ以上はダメだと体が悲鳴をあげて動けなくなるまで、我慢して働いた。

その間、学年で私の声をきき、励ましてくれたのは、その先生と移動されて今はおられない先生、それから特別支援の先生だけ。あとは他学年の先生数名と技師と言われる全体のお世話をしてくれる方々だけだった。学年主任はこちらが相談すれば相談には乗ってくれたが、励ましてくれることも労ってくれることもなく、どこか冷たい態度で、ダメ出しをされることも多く、主任がいない時はそれぞれの先生と気軽に話せるのに、学年全体が揃う、打ち合わせや会議のときはいつも孤独を感じていた。いわゆるスケープゴートにされている気がした。鬱による注意力散漫や物忘れ、作業が止まってしまうことも多く、迷惑をかけている。みんな余裕がないから仕方ない。そう自分に言い聞かせていた。

そんな中、講師をはじめ様々な職種や人生経験があるにも関わらず、どんどん自分に自信を失い、やる気を失い、気力を失っていった。自分の価値を活かすこともできず、毎日、生きているのも辛かった。

先生も生徒も、みんなすることが山のようにあり、余裕がなく、いつも疲れていて、誰かの悪口を言ったり愚痴を言ったり。学校全体がいつも無理を強いられている。全然楽しくない。追い詰められている。みんなこれではだめだと感じ、思ってもいるのに変えようとしない。変えようとする人が頑張れば頑張るほど「足並みがそろわない」「勝手なことをして」「上の許可はとったのか」などと言われ、どんどん元気を失い追い詰められ、そのうち諦めてしまう。

保護者・地域からは毎日のように何かのクレームやお怒りの電話が入る。それに対応するのも先生たちだ。中には純粋に心配事やお願い、または質問という、常識的なものもあるが、中には自分の不満やうっぷんのはけ口のような理不尽な失礼な非常識なものもある。その全部に丁寧に対応しなくてはならない。思春期の子供たちは傷つきやすく、また、その未熟さから人を傷つけてしまうこともある。その対応もしなくてはならない。

先生の仕事は無限にあり、先生も人間だから傷つくし、疲れるし、かなりのエネルギーを毎日消耗し、体を壊し、それが普通になって、だんだん何も感じなくなってしまう。

こんな学校現場を、なんとかして変えなくてはいけない。そう思っている人の方が実は多いのではないだろうか?

じゃあ、誰が変える?どうやって変える?どんなふうに変える?

大人も子供も、偉い人(社会的に地位があるという意味で)も、そうでない人も、年を取った人も、若い人も、日本にいる人たちみんなで考えて、少しずつでも変えていかなくちゃいけないんじゃないかな・・・。

みんなが幸せで楽しく生きられる学校。そんな社会。否定されることもなく偏った分野のみで評価されることもなく、それぞれの個性や持ち味を存分に発揮して、いつも安心して自分らしく生きられるようになったら・・・・。

申し訳ないと思いつつも、私はまだ、学校現場には戻れない。

今はまだ、心も体も、本来の健やかな自分ではなく、毎日お薬を飲んで、自分を癒し、たくさんの人から癒しや励ましをいただき、守られながら、有り難いことに、今日も生きている。生かしていただいている。

どうか、私の代わりに今も学校現場で、疲弊しながら、一生懸命、身を粉にして頑張っている先生方が、体や心を壊すまで働き続けませんように・・・。どうか早く、学校が先生や生徒にとって居心地のいい、生き生きと本来の学びができる場所になりますように。

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