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地元愛と共に「おやつ屋かもめ」とのコラボレーションで生まれたホールケーキ予約専用Mobileアプリデザイン

大変お世話になっております。imaiでございます。

このnoteは、imaiのDesignの学習の記録です。

この記事はサービスデザインの取り組みについての記録であり、
デジタルハリウッド大阪本校のUIUX専攻卒業制作の記録です。

制作時期:2024年1月〜2月

サービスデザインの背景と概要

「おやつ屋かもめ」という、私の愛する地元神戸にある愛溢れる小さなケーキ屋さんご協力のもと、日常に小さな幸せをもたらすモバイルアプリのデザインに取り組みました。

この取り組みは、デザインの学びを深める旅の始まりとなりました。

ご協力いただいた店主カシモトさんと感謝の一枚

このアプリは、忙しくても特別な日に家族や友人、特別な人と共に楽しめる、心温まるケーキを簡単に予約できるようにすることを目的としています。

デザインのプロセスは、共感から始まり、問題の定義、アイデアの発想、プロトタイピング、そしてテストに至るまで、デザイン思考の一連のステップを経ています。

この旅路の中で、デザインが単に形や機能を整える以上のものであること、そして真の価値を生み出すためにはユーザーとの繋がりが不可欠であることを学びました。

デザインがどのようにして人々の生活に溶け込み、日々を豊かにするのか、その一例として、この取り組みの物語を皆さんと共有したいと思います。

1.Empathize:ユーザーと店主のニーズ理解

この段階では、「おやつ屋かもめ」とその顧客、つまりユーザーとの深い理解を目指しました。ここでは、ユーザー調査と店主カシモトさんとの対話を通じて得られた洞察と、特定された課題について述べます。

おやつ屋かもめとユーザー調査

ユーザー調査では、店舗を訪れるお客様を対象にインタビューを行いました。

ユーザーが特別な日に求めるのは単に美味しいケーキではなく、記憶に残る体験なのです。

また、多忙な日常の中で特別な日に求めるケーキを事前に予約することの難しさを理解しました。

「おやつ屋かもめ」の既存顧客である3名の女性にインタビューを実施させていただきました。

それぞれ28歳(夫が一人)、33歳(息子が二人と夫)、35歳(シングル)のお客様で、家族の記念日やお祝い事にホールケーキの予約を行っています。

インタビューを通じて得られた主な洞察は以下の通りです。

  • 多忙な日常と予約の難しさ: 仕事、家事、育児に忙しい中で、電話やInstagramのDMを通じてケーキの予約や、やり取りを行う時間を見つけることが難しいという問題。

  • カスタマイズプロセスの煩雑さ: ケーキの土台となるクリームの種類やデザイン、クッキーに描くメッセージ、さらにはクッキーの形状やアレルギーを考慮する必要があるなど、カスタマイズや要望のプロセスが煩雑であることが指摘されました。特にアレルギーを持つ家族がいる場合、ケーキやクッキー、フルーツなどの成分に関する正確な情報を伝える必要があります。

このインタビューからは、ユーザーが現在直面している不便さやデジタルツールに対する期待が明らかになり、これらの洞察は「おやつ屋かもめ」のアプリデザインを進める上で重要な考慮事項となりました。

店主カシモトさんとの深い対話

店主であるカシモトさんへのユーザーインタビューでは、カシモトさんの情熱とおやつ屋かもめへの愛が明らかになりました。

カシモトさんは顧客一人ひとりに寄り添ったサービスを店舗で提供することに重きを置いており、オンラインでの拡大などは望んでいませんでした。

カシモトさんの最大の課題を以下の3点にまとめました。

  • 需要と供給バランスの問題
    特に秋冬の需要の高まりに対し、供給が追いつかない状が発生しており、これにより顧客満足度の低下や機会損失が生じる可能性への懸念。

  • 予約と注文処理の手間
    ホールケーキの予約での電話・DM対応に工数を要している点。

  • オンライン展開への慎重な姿勢
    来店者への体験価値しており、オンラインでの販売拡大は望んでおらず、このバランスをどう取るか。

ユーザーと店主の課題の特定

ユーザー調査と店主カシモトさんとの対話から、両者が直面する課題が明確になりました。

ユーザーは忙しい生活の中で簡単に予約ができ、特別な日を豊かに彩る体験を求めています。

一方、店主カシモトさんは、オンライン化がもたらす可能性と、それに伴う来店者への体験価値の低下懸念というジレンマに直面していました。

インスタグラムのフォロワーも増え、認知が広がり、地元だけではなく神戸旅行のついでに、と北海道や九州など他県からも足を運ぶ方も増え、喜ばしい一方で「これ以上広げることはしたくない、今のコンパクトさやスタイルでやっていきたい、店舗での体験を大切にしたい」という想いをお伺いすることができました。

また、作っても作っても間に合わない、供給できない日が多くなっていることで、謝ることも多く「何をしてるんだろう、、」と感じる、というお言葉もありました。

店舗運営に関する質問、顧客利用パターンに関する質問、サービス導入に関する質問、など様々なお話しをお伺させていただきました。

ちなみに、お店の名前はカシモトさんが学生時代に友人から「かもめ」というニックネームで呼ばれていたことに由来しています。

店名を決める際はかなり悩んだそうですが、最終的にはご友人の提案により「かもめ」となったそうです。

「おやつ屋」は以前から決めていたそうで、パティスリーというイメージではないなぁと考えていた、と述べられていました。

インタビューを通して、お人柄や思いを伺うことができ、非常に価値ある体験を得ることができました。

この共感のプロセスを通じて、両者のニーズを満たすためのソリューションを検討することとしました。

このプロセスを通じて、ユーザーと店主の両方の視点から深い理解を得られ、その洞察が後のデザインプロセスの方向性を定めるのに役立ちました。

2.Define:問題の特定とコンセプトの設定

ペルソナ設定

次に、インタビューで得たペインポイントや課題からユーザー像を設定しました。

ユーザー像

コンセプトの明確化

上記の情報を整理し、コンセプトは、「ユーザーは日々の忙しさの中でも特別な瞬間を大切にすることができ、同時に店主の店舗体験に対す思いを大切にする」という方針にしました。

直感的な操作でホールケーキの予約とカスタマイズを可能にし、ユーザーにとって記念日やお祝い事を特別なものにします。

一方で、店主のニーズに応え、店舗体験の品質を維持し、顧客との強い繋がりを保つ機能を備えます。

ユーザーが時間や場所に縛られずにおいしいケーキを選び、大切な人と共有する喜びを最大化する一方で、店主にとっては、効率的な運営と顧客満足度の向上を実現します。

ユーザーと店主のニーズを満たすための目標設定

目標は、次の二つの重要なニーズに応えることです。

  1. ユーザーのニーズに応える: 忙しいながらも、スムーズに特別なケーキを予約し、カスタマイズできる機能の提供。ユーザーが直感的に選択できるデザインと、アレルギー情報の透明性を確保し、安心して利用できる環境を整えることを目指します。

  2. 店主のニーズに応える: 店主のカシモトさんが大切にしている来店者への体験価値を保ちつつ、デジタル予約の利便性を取り入れることで、効率的な運営と顧客満足度の向上を図ります。オンラインでのプレゼンスを通じて店舗の魅力を伝え、ユーザーとのつながりを強化します。

これらの目標は、デザイン全体の指針となり、統一された方向性で進むための基盤となります。

明確なコンセプトと目標を設定することで、最終的にはユーザーと店主双方に価値あるサービスを提供する製品の創出を目指します。

またユーザージャーニーマップを活用し顧客体験を整理し理解します。

ここではゴールを「効率的かつ快適にホールケーキを予約購入する」こととしました。

ユーザージャーニーマップ

3.Ideate:ソリューションの探索

問題に対する理解から、実現可能なアイデアを生み出すことに焦点を当てます。 

ユーザーと店主のニーズを満たすホールケーキ予約専門システムの構築を目指しました。

以下では、このプロセスでのアイデア生成について詳述します。

デザイン思考を用いたアイデア生成

アイデア発想は、顧客と店主のカシモトさんとの対話から得た洞察に基づいて進めていきます。

そして、オブジェクト指向UI(OOUI)の原則を適用し、情報を整理しました。

具体的なユーザーアクションをユースケースから洗い出し、それに関連するオブジェクトを識別することで、アプリのメインオブジェクトとなるルートナビゲーションを定義しました。

オブジェクトの抽出
メインオブジェクトとルートナビの選定

このアプリサービスの目標は、ユーザーが特別な日に、ストレスなく、安心して、自分たちの好みに合ったケーキを予約できるようにすることです。

同時に、店主カシモトさんがオンライン予約の導入による運営の効率化を図りつつ、来店者の体験価値を維持できるようサポートします。

4.Design:アイデアを形にする

「おやつ屋かもめ」アプリを形作る過程で、ユーザーが直感的に操作できるインターフェイス(UI)と快適な利用経験(UX)を設計の核に据えました。

機能性と使い勝手を兼ね備えたプロトタイプを作成し、初期段階でのユーザーテストを行い、直接的なフィードバックを収集することで、アプリの使いやすさを追求しました。

ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)の設計

UIは、色彩、フォント、ボタンの配置など、ユーザーの操作性と快適性を考慮し、使いやすさを最優先に考えました。

UX設計では、ユーザーがアプリを通じて経験する一連の流れに注目しました。

ケーキのカスタマイズプロセスと予約手続きを、ストレスなく、簡単な体験にすることを目指しました。

ユーザーが抱える可能性のある疑問や不安を事前に洗い出し、アプリ内に組み込みました。

プロトタイプの作成と初期のユーザーテスト

最初に基本的なワイヤーフレームから始め、初期段階のプロトタイプを構築しました。

この初期モデルを用いてすぐにアイデアをテストし、利用者からの意見を集めました。

そこから得られた洞察をもとに、より詳細で実際のアプリに近い高忠実度のプロトタイプを作成し、さらなるユーザーテストを行いました。

5.Test:フィードバックに基づいた改善

この段階での目標は利用者の生の声を聞き、そのフィードバックを積極的に取り入れることで、直感的で使い心地の良いアプリを作ることでした。

ユーザビリティテストとフィードバックの収集

インタビューさせていただいた3名にプロトタイプを使用してもらい、その操作性と体験を評価してもらいました。

このフィードバックは、アプリのUIとUXのさらなる改善に不可欠でした。 

ユーザーからの直接的な意見を元に、プロトタイプを繰り返し改良し、最終的な製品に近づけていきました。

フィードバックをもとにした改善と再テスト

1回目

「おやつ屋かもめ」のケーキといえば、
毎日でも食べられるように、と思いの込められたやさしく、あまい、生クリームが特徴のショートケーキで知られています。私も大好きです。

当初この特徴をアプリのデザインに取り入れ、ショートケーキを連想させるカラーパレットを選びました。

しかし、最初のユーザビリティテストで、この色使いがお店の雰囲気と異なるという貴重なフィードバックをいただきました。

これを受けて、アプリ上で「かもめ」の店舗体験をより忠実に再現するよう、デザインを見直しました。

お客様が実際に店舗を訪れた時の温かみと満足感を、アプリを通しても感じていただけるようにブランドカラーを踏襲したデザインに修正を行いました。

2回目

2回目のユーザビリティテストでは、ユーザーからの追加のフィードバックを受け取りました。

ケーキの予約プロセス中にプレートになるクッキーの形にはどんな種類があるのか、ケーキの種類やイメージがわからない、選択肢や制限についての情報が不足しているという指摘でした。

これを受けて、アプリのケーキ選択画面をより直感的に改良しました。

「ケーキサイズ選択」ではなく「ケーキ種類選択」へと変更し、ユーザーが選びたいケーキを視覚的に理解しやすいよう、製品写真と種類を提示するようにしました。 

さらに、ユーザーがオーダー時にケーキの特徴やオプションを簡単に選べるよう、説明テキストを追加し、選択プロセスの手助けをする内容を強化しました。

アプリの最終形

アプリの最終形として、「おやつ屋かもめ」の心温まるケーキ選びをデジタル空間に落とし込みました。

おやつ屋かもめケーキ予約専用モバイルアプリとは

「おやつ屋かもめホールケーキ専用モバイルアプリ」は、
忙しい日常でも特別な瞬間を大好きな「おやつ屋かもめ」のホールケーキを簡単に予約できるサービスとなりました。

ゲインクリエーター

  • モバイルデバイスからいつでもどこからでも予約可能。

  • 直感的なUIUXでケーキの詳細とカスタマイズオプションを容易に選択。

  • 簡単に予約の変更と確認ができる。

  • 店舗での特別オファーの情報がいつでも手に入る。

6.結論と今後の展望

この取り組みは、デザイン学習において計り知れない価値がある経験でした。

デザインプロセスを実践する中で、ユーザー理解の深化と継続的なフィードバックが、優れたデザインを生み出す核心であることを実感しました。

今回はユーザーサイドのモバイルアプリのデザインを行いましたが、
次の取り組みでは、店主であるカシモトさんの日常業務をサポートする管理側のインターフェース設計や競合との差別化を踏まえたサービスデザインを行う予定です。

引き続き、顕在化しているニーズやまだ表面化していないニーズ、そして課題を発見し、サービスデザインに取り組むことで、学びを深めていくことを目指します。
また、現在の仕事においても、この学びを活かして実践に移していきたいと考えています。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

カシモトさん、
「おやつ屋かもめ」の大切なお客様へ。

この取り組みへのご協力と貴重なフィードバックに、
心より深く感謝申し上げます。

To be continued…


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