見出し画像

地方の新人発掘は難しい?全国の音楽新人アーティストを見つけたい! IMALAB in 大阪

2020年7月に活動を開始した、新人アーティスト発掘・発信プロジェクト「IMALAB」。音楽業界以外のスタッフが大半で、フラットな視点から新人アーティストを発掘している。プロジェクトの活動は新人発掘だけにとどまらず、ライブ制作、アーティストサポート、コンテンツ発信まで幅広い。

今回は、関西・大阪で開催された音楽サーキットイベントを機にフットワーク激軽な関東スタッフと地元・関西スタッフが集結! ネットでの新人発掘が主なこの時代、全国の新人アーティストと接点をもつにはどうすればいいの? 関西と関東の違いも含めて、いろいろお話ししてみました!

■対談者プロフィール
今村 圭介(関東出身)
音楽ディレクター(EMI / UM) + IMALAB主宰。ナンバーガール・プロジェクトのアシスタントを経て、これまでにフジファブリック、Base Ball Bear、相対性理論、9mm Parabellum Bullet、The SALOVERS、ザ・チャレンジ、10-FEET、南無阿部陀仏、WurtSを担当

遊津場(関西出身)
先取るんだけじゃなく、「丁寧に」「継続的」「多角的」を特徴に、本当に好きな邦ロック系インディーズアーティストを応援し続ける紹介アカウント。ありがたいことにAWAやEggsでオフィシャルライターやイベンター、インタビュアーなど活動広げるサラリーマンです

T子(関西出身)
都内で働く会社員。音楽は雑食系。人生変えてくれるアーティストを探す毎日

ORIE(関東出身)
メイクの仕事でアーティストと関わった経験から音楽業界に興味を持ちIMALABに参加。主にプロモーションチームでSNS更新を担当しながらアーティスト発掘も行っている

akky(関東出身)
大学4年生でIMALABへ参加し、PLAYLISTやアーティストのサポートを中心に活動。その経験を活かし、現在はユニバーサルミュージック/EMI Recordsにて新人発掘をしながらA&Rアシスタントを行っている

関東と関西のアーティストは何が違う?

今村:IMALABは関東在住のスタッフだけでなく、関西出身のメンバーも参加してくれています。関東と関西の音楽シーンの違いとか、いろいろ話してみるとおもしろいかもしれないとのことで今回この座談会を開催したわけですけど。

まず、関西出身の遊津場さんは、何か関西ならではの音楽について感じることはありますか?

遊津場:僕はずっと関西にいて逆に東京を知らないので安易に比較はできないですが、ネット上でインディーズを開拓していると東京のほうが早い気はします。早いという言い方は違うのかもしれないですが、関西のバンドはある程度年を経てから伸びて行くみたいな、25歳を超えたバンドが上がってくる、そんな感じもあります。

今村:えー! そうなんだ。なんでですかね。

遊津場:うーん、関西の方は粘り強く個性を煮詰めて伸ばすって風土があるからかもしれないですね。

今村:なるほどね。T子さんは、今は東京にいますけど大阪出身で、関西の音楽シーンにも詳しいですよね。関西の特徴とかってありますか?

T子:元々関西はストリートライブシーンがすごく活発でした。「インディーズ」という言葉が定着する前、ストリートを活動基盤にするようなアマチュアバンドでもクアトロ(※心斎橋クラブクアトロ、現在梅田に移転)でワンマンライブをやれる人たちが出てきたり。

大阪だと大阪城公園(城天)・神戸だとおっぱい山とか。発電機回してPAセット組んで、フルバンドセット出して演奏できていました。なんならアメリカ村三角公園とか今のオリックス劇場前の公園でもできていた。阪急梅田前の歩道橋とか、今じゃ考えられない。たまに警察に怒られたりしてましたけど(笑)。

今村:ははは(笑)。

T子:特に城天は公園事務局や大阪市とバンドマンがちゃんと話し合ってルールを決めて。色んなジャンルのアーティストが城天からメジャーデビューしてスターになって大阪城ホールに凱旋する。ちゃんとカルチャーとして認めてくれている感じはあります。欧米的な。最近の城天エリアは大開発されて狭くてなってしまいましたが、それでもたまに演奏はできるみたいですね。

先日立ち寄った時に、エリア内での禁止事項を記した大きな立て看板がたくさん設置されてたんですね。火気厳禁とか路上販売禁止とか、駐輪禁止とか。でも、その中に「楽器演奏禁止」は入ってないんです。東京の代々木公園とか、「楽器演奏禁止」ってデカデカと貼り出してありますからね。
あー、大阪城いいなー。分かってるなー。と思いましたね。

今村:そのあたりの文化が今も引き継がれているのかもしれないですね。個性とか、見せ方とか。ストリートって立ち止まってもらわなきゃいけないし。

T子:そうですね。そこはみんなアイデア絞ってやってました。もう個性が爆破しまくってました(笑)。コロナ禍もあって、今はネット上での新人発掘が主流になっていますけど、やっぱり物理的距離を感じることはあります。ネットで見つけても地方だとライブへ行くのも後回しになってしまうとか、金銭的体力が伴わないとか。

スタッフがネットでも繋がっているIMALABだからこそ、アーティストの活動拠点との距離はクリアしたい。今後の課題の一つだなと思っています。
おもしろいアーティストは全国にいますから、逃したくないなーと。

遊津場:大都市中心になってしまうのって、音楽会社が支社とか作ってもすぐ撤退しちゃうからなんですかね?

今村:大阪は東京の次に市場が大きいので残るんですけど、その他の地方ですよね。仙台とか新潟とか東京から行ける範囲は徐々に撤退していってますね。札幌と福岡はギリギリあります。福岡はもう音楽の土壌ができてるからどんどん有望なアーティストが出てきて。でもその間の地方は、なかなか東京からも大阪からも足を運べないですよね。たとえば、藤井風さんは岡山だったりするじゃないですか。だから地方にもすごいアーティストはいるんだろうけど。

T子:全国各地のライブハウスの人がIMALAB新人発掘プロジェクトに参加してくださって、情報交換や現地でのマネジメントができると理想的だなあと思います。


全国の新人アーティストと接点をもちたい! IMALABキュレーターの視点

今村:地方の新人発掘が難しいと感想が出たところで、新人発掘の方法に話題を移しましょうか。ORIEさんはIMALABのキュレーターやSNS周りを担当してくださっていますけど、いつもどうやってアーティストを見つけているのですか?

ORIE:私はIMALABのプレイリストにはこういう曲が入っていてもおもしろいかなって視点から探したりしていますね。主にTwitterから、これまでキャッチしたアーティストを軸に、そのアーティストがフォローしていたり対バンしている方など、近いところにきっといいなと思えるアーティストがいると思って探しています。

今村:なるほど。同じくキュレーターとして活動しているakkyはどうですか?

akky:自分は気になるアーティストがいたら、個人アカウントまでチェックするようにしています。公式見るだけじゃ何もわかんないなと思って。以前チェックしたバンドは、ボーカルがYouTubeやTikTokに弾き語りを上げていたりして、そういった発信を自らできる人が世の中にもだんだん必要になってくるんじゃないかと思って。そういう視点で発掘しているかもしれないです。

今村:akkyはよく大阪のバンドを取り上げてくれるよね。東京とは違うところがあるから?

akky:いや、正直別に…。たまたま大阪だったっていう。特に意識はしてないですね。

今村:そうなんだ。東京にいると関西との差ってあんまり感じないんだけど、逆に関西にいると東京との差って感じるものなんですか?

遊津場:以前、イベントを企画したときに感じたことはありましたね。ライブハウスの環境が大きいのかなと思いました。東京のバンドは周りにたくさんの同世代のバンドがいるからそこに負けないようにやっているんだろうなという印象で、関西のバンドはそれがありつつも、本当に自分のやりたい音楽もより大事にしてるような、そんな印象でした。

今村:それはそれでいいことなんですかね?

遊津場:関西は界隈の強さっていうのがすごくありますからどんどんジャンルが濃くなっていくのかも。出身の箱とか、何々系とか。

今村:濃すぎて他からまったく受け付けられない状態になってることも?

遊津場:あるかもしれませんね。

T子:界隈の強さっていうのは関西独特なんですかね? 広島や福岡にもありそうですけど。関西のバンドは、「東京に負けてられへん」って気持ちが他の地方より強いと思うんですよね。このネット時代になってもそこは変わってない気がしますね。

今村:それがより独自感としてあらわれているのかもしれないですね。アーティストの発掘はネットでもできるようになったけど、やっぱりマネジメントは距離があると難しいなと思うんですよね。バンドだと当然ライブが主軸になってくることもあるので、サポートするときにコミュニケーションがオンラインだけだとどうしても足らない部分があったりして。

ORIE:やっぱりアーティストとのリアルでのコミュニケーションは大切ですよね。ネットをメインに新人発掘を行っていますが、ライブを見ないとわからないこともたくさんあるので、こうやって各地のイベントに足を運んだりもします。

今村:IMALABはフットワークの軽いメンバーが揃ってますから。良いアーティストに出会おうと常にアンテナを張っていて、今回もみんなそのために東京から大阪へ来ましたからね!

ORIE:関西でIMALABを知ってもらうことも含めて、ライブが開催できたらいいなあと思います。

akky:関西でライブが開催できたら、IMALABプレイリストに入っている関西のアーティストも出演できるいい機会になるかも。

今村:では2023年は関西でもIMALABライブを開催するということで話を締めくくっておきましょうか。本日はありがとうございました!


■後日談
本座談会後、大阪・堺Tick-Tuckのご協力のもと「IMALAB NEWCOMER PLAYLIST LIVE #04」の開催が決定いたしました。IMALAB初となる、関西でのライブです!
※ご好評につきチケット予約受付を終了しました

IMALAB × 堺Tick-Tuck「IMALAB NEWCOMER PLAYLIST LIVE #04」
日程:2023年 3月11日(土)
時間:OPEN 18:00 / START 18:30
会場:大阪・堺Tick-Tuck
出演:からあげ弁当 / シャイトープ / レトロマイガール!! / 606号室
チケット代:入場無料+別途2ドリンク
※ご好評につきチケット予約受付を終了しました

flyer direction by Megumi Kato(@meg_livephoto__)

■対談者

今村 圭介

音楽ディレクター(EMI / UM) + IMALAB主宰。ナンバーガール・プロジェクトのアシスタントを経て、これまでにフジファブリック、Base Ball Bear、相対性理論、9mm Parabellum Bullet、The SALOVERS、ザ・チャレンジ、10-FEET、南無阿部陀仏、WurtSを担当

■SNS
Twitter
Instagram

■FAVORITE SONGS

♫The Beatles「Let It Be」
♫Prince「Purple Rain」
♫Fugees「Killing Me Softly With His Song」

TAGGS
#EMI音楽制作ディレクター
#IMALAB主宰
#感動屋 &笑い上戸


遊津場

先取るんだけじゃなく、「丁寧に」「継続的」「多角的」を特徴に、本当に好きな邦ロック系インディーズアーティストを応援し続ける紹介アカウント。ありがたいことにAWAやEggsでオフィシャルライターやイベンター、インタビュアーなど活動広げるサラリーマンです

■SNS
Twitter

■FAVORITE SONGS

♫RADWIMPS「ふたりごと」
♫The Mirraz「ハッピーアイスクリーム」
♫NEE「不革命前夜」

TAGGS
#邦ロック開拓
#関西
#アラサー


T子

都内で働く会社員。音楽は雑食系。人生変えてくれるアーティストを探す毎日

■FAVORITE SONGS
迷いに迷って、『バンドアレンジがカッコ良すぎるアイドルシングル楽曲ベスト3』にしました!メロディーも歌詞も天最高。
♫モーニング娘。「みかん」
♫関ジャニ∞「喝采」
♫ジャニーズWEST「証拠」

TAGGS
#地方アーティストがんばれ
#リニアで通勤希望
#今年はフェスに行こう


ORIE

メイクの仕事でアーティストと関わった経験から音楽業界に興味を持ちIMALABに参加。主にプロモーションチームでSNS更新を担当しながらアーティスト発掘も行っている

■FAVORITE SONGS
♫JUDY AND MARY「ステレオ全開」
♫SHINee「Shift」
♫Christina Aguilera「Fighter」

TAGGS
# フッ軽
# 韓国語
# 音楽業界若葉マーク


akky

大学4年生でIMALABへ参加し、PLAYLISTやアーティストのサポートを中心に活動。その経験を活かし、現在はユニバーサルミュージック/EMI Recordsにて新人発掘をしながらA&Rアシスタントを行っている

■SNS
Twitter
Instagram

■FAVORITE SONGS

♫フジファブリック「エイプリル」
♫andymori「すごい速さ」
♫RADWIMPS「遠恋」

TAGGS
#大事なのは感覚
#お調子者
#トレンド敏感肌

構成 松村翠


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?