2023年8月28日、ウインユニファイドが生涯を全うした。

僕はただのファンだ。
ウインユニファイドのファン。

ファンになったのも、早い方じゃなかった。
５歳～６歳、準オープンにいた時だ。
ずっと走っているなあというのが最初の印象。
関西馬だったということもあり、
大抵見るのは馬柱での名前、そしてビジョンに映る姿。
会えそうで中々会えない有名人みたいな感じだったのかも。

全身のバネを使って飛ぶように走るといった感じでもなく、
でも前へ前へ、届かなくても最後までしっかり走るイメージだった。
戦績をふり返ってみればＪＲＡ時代は
和田竜二騎手の手があっていたように思う。
最後までガシガシ追ってくれた追ってくれただけ、
それに応えて最後まで頑張りますけど？といった感じ。
やっぱり頭が良かったのかな。

6歳、7歳とずっと準オープンで出走。
このクラスで勝ち切れないと、地方へ移籍する馬も多い年齢になっても
ウインユニファイドは中央で出走を重ねていた。
そのコツコツ感が好きだった。勝ち切れないまでも入着。
たまに3着に入った日は「やった！」と画面に声をかけた。

8歳の1月、中山に来た。結果として５着に負けたけど、
1年以上ぶりに関東に来た姿をパドックで見た時、
「まだ全然でかいな」と思ったのを覚えている。
高齢馬になっても筋肉がしっかりしていた証拠だったのかもしれない。
ダートだから５００ｋｇ超えの馬も少なくない。
でも、デカい「準オープンのおじさん」となると少し珍しくなる。
そこがまた好きだったのかも。あの時、見に行って良かった。

ウインユニファイドは8歳で開いた。
中山で5着した後、2走続けて2着。
その両方が次には勝てそうな予感だったというか
準オープンでは主役晴れますけど？といった走りになって、
「これは順番が来るか！？」と急なワクワクをもらった。
準オープンで頑張る姿が嫌いじゃなかったけど、
オープンに手がかる時が来るとは思ってなかった時は
やっぱりワクワクした。

そして、ついに準オープンを卒業する。
ゴール映像を見ながら「8歳でついに！ついに来た！」
と何とも言えないファンならではの達成感をもらった上賀茂ステークスは
本当に嬉しかった。ここがファンとしてのピークだと思った。大満足だ。

ところがウインユニファイドはその後あっさりオープン勝ちまでを決めた。
オープンに上がってわずか2走目。
クリンチャーを抑えきってのジュライＳ制覇だ！
人気薄だったし、クリンチャー側にすればいつでもかわせるとの
判断での追い出しだったのかもしれない。
でも抑え込んだのは事実。勝ちきった。
前走でマイルを使ったぶんだけ、前取れるかなとは思ったけど
まさか勝ち切るまでは想像つかず、
ファンのくせにひよって複勝しか買ってなかったことを
申しわけなく思った。
軌跡を辿ると、未勝利はダートに矛先を変えての初戦で突破。
ヤマカツラインデンを抑えきって1着していることを思えば
オープン勝ちも全く不思議じゃないけど、初勝利が8歳って。
時間かかり過ぎだよｗ

そしてウインユニファイドは９歳でも走ったが２戦して姿を消した。
裂蹄だった。時間がかかるけど仕方ない。
ファンとしては、ただ待つしかない。
ただ引退してもおかしくない年齢に不安も感じた。
それでも文句は言えない。ここまでの活躍にただ感謝した。

だけどウインユニファイドは戻って来てくれた。
「引退」じゃなくて「移籍」の情報を持って戻って来てくれた。
10歳になってた。笠松に移籍。その発表を聞いた時、
「美味し過ぎる展開だ！」と心躍ったのを忘れられない。

ウインユニファイドの強さを考えれば
1年かからず笠松の顔になれる！
となると笠松代表として、ＪＲＡで除外対象になるよりも確実に
交流重賞に出走しやすい。重賞も獲れるかも？
そうなると所属きゅう舎だって、
ＳＮＳで情報をマメに上げてくれるはずだ。

今年の２月、自作の地方競馬版のカレンダーはウインユニファイドで作り、
１0歳の１年を楽しみにしたファン目線での僕の見立ては大的中する。

ウインユニファイドは重賞を勝った。
3つも勝った。3連勝だ。
中央でも前が取れるようになっていた先行力、
そしてバテずにコツコツと伸びる感じが
4コーナーから直線、頼もしかった。
佐賀に遠征して鳥栖大賞典を勝った時、佐賀の重賞はこの先、
何年か全部勝つんじゃないかと思った。
4コーナーから直線を迎えた時、
すっかり長くなった隊列を先頭で引っ張る姿は
今見ても勇壮で本当にかっこいい。

当然だが１着すれば何度も名前を呼ばれる。
完全に笠松の顔だ。
（その次負けたけど、11歳でまだまだ強いことには間違いなかった。）

所属の沖田明子きゅう舎も、ファンのために
ウインユニファイドの詳細をまめにアップしてくれた
本当に楽しい１年だった。
ずっとファンで良かった。ここまでの1年が待っているとは
7歳の時には思いもしていなかった。
正直ジュライカップ勝った時は、
今度こそここがファンとしてピークだと思ったりもした。
でもウインユニファイドは、またその続きを見せてくれた。
ピークはまだ先だったんだ。本当にかっこよかった。

最後のレースはオンタイムでの１回しか見てない。

ウインユニファイドはその後も強かった。頑張った。
ちゃんと歩いていた。かっこ良かった。
最後まで強かった。ずっと励まされた。
頑張ればずっとやれる。頑張ればいい。なんかある。
僕もウインユニファイドと同じ中年だｗ　負けないように頑張る。
いつか墓参りに行かせてください。
ありがとうございました。ずっと忘れません。