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ボランティアが寄付者に変わる瞬間~東日本盲導犬協会の事例紹介~

准認定ファンドレイザーの研修で必ずお伝えする、ボランティアと寄付の関係性。いつも以下のように説明しています。

寄付をしたことがある人は全体の45.6%、そしてボランティアは26.3%。社会貢献の手段としては寄付の方がしきいが低いことがわかります。このことから、寄付のお願いの方がボランティアのお願いよりも受け入れられる可能性があるといえます。しきいが高くて、なかなか参加してもらえないボランティアですが、ボランティア活動をした75.6%が寄付もしていることから、一度ボランティアをしてくれた方の大半は寄付もしてくれるので貢献度がとても高いといえます。

そして、その後で、「ボランティアをお願いしているのに、さらに寄付もお願いするなんて気が引けると思う団体の方いらっしゃいますが、やりたい気持ちがあるのでそれに応えるお願いをしましょう」と伝えています。

今回は私が体験したボランティアの方に継続支援をお願いしている公益財団法人東日本盲導犬協会さんの事例を紹介します。

1.東日本盲導犬協会と盲導犬について

公益財団法人東日本盲導犬協会

1974年に財団法人栃木盲導犬センターとして設立され、2010年に公益財団法人 東日本盲導犬協会となりました。栃木県宇都宮市にある団体さんです。全国に11団体ある盲導犬育成施設の1つで、平成31年3月時点で盲導犬28頭、訓練犬21頭を育成されています。

社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会のまとめでは2019年3月31日時点で、日本で活躍している盲導犬数は928頭ですので、全体の2%の盲導犬を供給している団体さんです。

盲導犬とは

日本補助犬情報センターによると、盲導犬とは「視覚障害者の安全で快適な歩行をサポートする犬」とされています。視覚障害者の横で白か黄色のハーネス(胴輪)を付けて歩いている犬が盲導犬で、歩行している視覚障害者に曲がり角・段差・障害物を知らせることで、安全な歩行を助けてくれる存在です。盲導犬は身体障害者補助犬法に基づき訓練・認定されており、電車・バス・タクシーなどの公共交通機関や、商業施設・飲食店・病院・ホテルといった公共施設でも同伴することができます。

全国には31万人の視覚障害者がおられますが、その中で適応があり、盲導犬との生活を希望されるであろう人の数は、3,000人と言われています。現在活躍している盲導犬数が928頭ですので約30%しかいきわたっていない状況といえます。

2.盲導犬の一生を支えているボランティア

盲導犬は、視覚障害者の命を預かる役割があるため、育成には時間も費用もかかり、一頭あたり500万円かかるといわれています。また、全頭が盲導犬になれるわけではなく10頭いたら多くても4頭くらいしかなれません。また、国からの補助も限定的なため育成費用の多くを寄付に頼らざるをえません。こうした事情があるため、盲導犬の一生をいち団体が担うことが難しく、ボランティアと共同しながら事業を進めています。

特に試験では、犬の性格や試験の結果により多くの犬が盲導犬になれずキャリアチェンジ犬となります。また、盲導犬になってからも何らかの理由でキャリアチェンジ犬になる犬もいます。こうした受け入れるボランティアがいることによって、命を守る盲導犬の質が担保できます。

日本盲導犬協会Webサイトより抜粋した盲導犬の試験>

ちなみに私も、今年の4月から東日本盲導犬協会のキャリアチェンジ犬オーナーです。

3.ボランティア向けの新しい取組み

これまで東日本盲導犬協会では年に2回、施設を開放してのウェルカムデーを開催されていました。私もウェルカムデーに参加して施設の中やスタッフやボランティアの人達とふれあってキャリアチェンジ犬に関心を持ちました。ですが、キャリアチェンジ犬オーナーになってからは、犬連れでたくさんの人や犬がいるウェルカムデーには参加できず団体との接点が少なくなってきたなと感じていました。

そう思っていた時にお手紙がきて、「8月×日に協会の2階をキャリアチェンジ犬だけが集まるドックランとして開放するのでいらっしゃいませんか?クーラーも効いていて思いっきり遊べますよ!」とクローズドなイベントのお誘いがありました。

盲導犬として多いラブラドールレトリバーは大型犬で、暑い夏の季節は苦手で、早朝や夜など涼しくなった限られた時間で散歩にいくのでどうしても運動不足になります。また、散歩の時も他の犬や人に気を付けないといけないので、結構気疲れします。また普通のドックランに行ったとしても他の種類の大型犬とは気性がちがうのでケガをさせたり、させられたりするので、ドックランもなかなか行きづらいです。そうした状況なので、このお誘いはかなりありがたくてすぐに申し込みました。

そして実際にイベントに参加すると、会場には東日本盲導犬協会のトレーナーの方が複数いらして、犬同士を挨拶させてすぐに慣れさせてくれたり、犬たちと遊んでくれたり、健康状態をチェックしたり、相談に載ってくれたりします。さらに犬がそそうをしても余裕の笑顔で対応してくれるので、キャリアチェンジ犬オーナーからするとかなりの神対応でした。

おかげでクーラーの効いている部屋でノーリードの大型犬達が満足いくまで遊べました。

4.ボランティアが寄付者に変わる時

とてもよい時間を過ごせたなーと帰りの挨拶をしていると、これまでお話をしてくれていたトレーナーの方が「この度、賛助会員制度をはじめまして、是非よかったお願いします~」と以下のチラシを渡してくれました。

これまで、団体さんで会員制度や寄付を受付けていることはメールやお手紙等で知っていましたが、今回のようにとてもありがたいイベントに参加し、犬的にも人的にもつながりを持てて大満足だったところにこの申し出はかなりぐっときました。

准認定ファンドレイザー必修研修でも紹介する、心理学の返報性の原理の中に「好意の返報性」というものがあり、人から好意ある施しを受けたり親切にしてもらったときに、それ以上の好意や親切をもってお返ししたいと思う心理です。ぐっときたのはこれが効いているんだなと感じました。

まとめ

今回はボランティアが寄付をしたいと思う、「ぐっと」きた瞬間についてご紹介しました。参加者の気持ちによりそった対面イベントを企画・実施し、しっかりとコミュニケーションしたあとで、支援のお願いをすることで寄付のハードルを下げるとてもよいキャンペーンでした。対象もしっかりとしぼりこまれていて、キャリアチェンジ犬オーナーを賛助会員にステップアップしてもらいたいことが明確です。こうした対象とステップアップ戦略が明確だととてもよいキャンペーンになるのだなと改めて理解しました。

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今給黎 辰郎

今給黎 辰郎(いまきゅうれいたつお)認定ファンドレイザー・認定講師 NPO法人フローレンスや日本ファンドレイジング協会でのファンドレイジングの経験と、非営利団体向け支援者管理システム「GOEN DRM」での支援者管理の知識を活かしてフリーのファンドレイザーとして活動をしています。

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