休眠預金を受けたい非営利団体はどのような準備が必要か ~6/7開催:日本財団CANPAN・NPOフォーラム 休眠預金に関する勉強会に参加しました~

2019/6/7に日本財団ビルで開催された、日本財団CANPAN・NPOフォーラム 休眠預金に関する勉強会に参加してきました。2019年1月に指定活用団体が一般財団法人「日本民間公益活動連携機構(JANPIA)」に決まり、今年度中に活動している実行団体に資金が提供される休眠預金について6/7現在の情報をお伝えします。※休眠預金の仕組みはこれから話し合いや実態に合わせて、内容が変わっていきます。あくまで現時点の情報です。

休眠預金とは何か?指定活用団体とは何か?については以前書いたnoteをご覧ください。

今日の内容は、指定活用団体のJANPIAが決めた枠組みの中で、赤枠の「資金分配団体」と「民間公益活動を行う団体(実行団体)」が今後どのように動くのかのお話です。

1.今後のスケジュール

休眠預金の仕組みの概要は、各金融機関から発生した休眠預金が、国に1つしかない指定活用団体に交付され、それを複数存在する資金分配団体(民間財団など)に助成され、資金分配団体がNPO法人などの実行団体に助成をする仕組みです。今年初めて運用されるもので、スケジュールは以下発表されています。

2019年6月~7月末:資金分配団体の公募期間

2019年9月:資金分配団体の決定

2019年10月~12月:実行団体の公募

2019年12月~2020年2月末:実行団体の選定

2019年1月~2020年3月末:実行団体への助成

まさに、今、民間財団などの団体が資金分配団体に応募をしている時期で、これから秋にかけて決定し、2019年10月からは実行団体向けの助成の公募が始まります。

2.休眠預金の仕組みはどんな実行団体に助成することを想定しているのか

休眠預金のお金は広く国民から集められたものなので、明確なねらいがあり、それにそって助成されます。どんな実行団体が助成対象となるのかをしっかりと理解することが重要です。内閣府の資料から重要な部分を見ていきましょう。

・国や自治体の補助をうけていると休眠預金はうけることができない

休眠預金は、「国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図ることを目的として民間の団体が行う公益に資する活動」に助成されますので、既に国や自治体が補助をしている団体や事業は対象外となります。ですので、国や自治体から補助金をもらっている事業型のNPOの場合は確認が必要です。

・3年間でファンドレイジング体制を高める必要がある

「民間公益活動の自立した担い手の育成及び民間公益活動に係る資金を調達することができる環境の整備を促進する。」とあります。休眠預金の助成は最長3年間の助成となります。これまで助成金・補助金漬けの団体を多く出してしまった反省から、休眠預金に依存しないようにすることを強く意識された制度設計となっています。助成終了の3年後に自主的に事業が実施できる予定がたてられるかどうかが申請の際に問われます。

また、資金分配団体は実行団体に対して、資金支援だけでなく「伴走型の非資金的支援」をする必要があり、プログラム・オフィサーを配置しサポートを実行団体に提供します。

・事業評価をおこない、定期的に報告をする

休眠預金を受ける実行団体は、事業成果の可視化として事業評価を実施し、6か月に1回報告をする必要があります。実行団体はプログラム・オフィサーのサポートをうけつつ、事業成果を指標化をし、その達成状況を定期的に進捗報告することが求められます。こうした社会的インパクトマネジメントのプロセスについては以前noteにまとめましたので、知りたい方はどうぞ。

団体の規模や体制の大小がありますので、一律な対応を課するのは難しいと思います。どのような評価基準となるかは2019年6月中にJANPIAから発表があります。

今できることとしては、社会的インパクトマネジメントについての理解を深めることと、現在の事業の成果についてデータを取っておくことです。

3.助成方針

ではどのように助成されるのか方針をみてみましょう。JANPIAの2019年度事業計画・収支予算のポイントの資料をもとに、コメントを追加しています。

・事業費の20%以上は自己資金または民間からの資金を確保

休眠預金の依存体質にならないように、自己資金比率が20%となります。「ただし、財務状況や緊急性のある場合などで、希望する団体には特例的に、その理由の明示を求め、自己負担率を減じることとする。また、複数年度の事業においては、助成終了後の事業継続を見据えて事業の最終年度には補助率を原則に戻すこととする」とありますので、1年目、2年目は理由があれば比率を低くすることができますが、3年目には20%にする必要があります。

自己資金の20%を他の助成金でとればいいのでは?と思うかもしれませんが、財団の立場として、休眠預金の補填として自財団の助成がつかわれることを歓迎する財団は少ないというみかたもあります。

・最長3年間の複数年度の助成で概算払い(前払い)

後払いだと資金力があるか、融資をうけられる団体しかうけられませんので、概算払いはありがたいです。ただ、当初の目標を達成できなかった場合や、返金しないといけない場合など様々なことが発生すると思います。

・助成額の最大15%は管理費(家賃や人件費など)に充当可能

これは管理費比率15%で事業を回すことをあらわします。スタッフの最適な役割分担と関与度の管理やICTによる効率化等、きちんと管理していないと20%~30%になってしまいます。この15%の数字からもきちんと運営体制がとれている団体を想定していることがわかります。

・評価等に係る調査関連経費として、助成額の5%を計上可能

社会的インパクトマネジメントを実施するには伴走支援者が必要となったり、調査が必要となりますので、その費用を助成金から出すことが可能となっています。事業評価に関して助言や調査、ワークショップをしてくれる人材はまだまだ少ないですので、そうしたことを担ってくれる人材の育成や、外部委託できる人を探すことが今できることかもしれません。

・4領域の助成プログラム

休眠預金では以下4つの領域の助成プログラムが提供されます。

①草の根活動支援事業:全国各地で地域に根差して従来から事業を展開しているNPOや各種団体を念頭に、本制度を活用し、さらなる活動の拡大及び成果の向上を図り、当該活動の持続可能性の向上につなげていくことを目指す。1団体あたりの助成上限2,000万円

※一般的に草の根活動というと年間30万円~50万円くらいの資金規模の活動を指すことが多いですが、休眠預金でいう草の根活動は範囲が広いので注意

②新規企画支援事業:斬新で革新的な手法による社会の諸課題解決への取り組みを促進するため、企業等の他セクターと連携した新規企画の創出(インキュベーション)と実行の加速(アクセラレーション)を目指す。1団体あたりの助成上限6,000万円

③ソーシャルビジネス形成支援事業:革新的事業による社会の諸課題解決への取り組みを促進するため、新たなビジネスモデルの創出と推進を目指す(ソーシャル・インパクトボンド手法など)。1団体あたりの助成上限6,000万円

④災害支援事業:大規模な自然災害等により、地域とその住民が長期にわたり困難を強いられることから、被害軽減に向けたNPO等による防災・減災の取り組みや、大規模災害発生後の緊急災害支援、さらには災害復旧・生活再建支援等に向けたNPO等の各種団体の活動の推進を図る。1団体あたりの助成上限4,000万円

4.その他注意事項

ガバナンス・コンプライアンスがとても重要視されています。例えば、きちんと規定類が整っているか、利益相反がないかなどです。

・第三者評価をうけて組織評価をしておく

非営利組織の評価には組織評価と事業評価があります。休眠預金では事業評価が注目されていますが、前提として組織がきちんと運営されているかもみられます。第三者評価として組織評価をして自団体のガバナンス体制を見える化しておくことも準備となります。

組織評価の一例をご紹介します。

非営利組織評価センターでは「グッドガバナンス認証」を行っております。これは、「ベーシック評価」として基礎的な組織状態の23項目、「アドバンス評価」としてマネジメント力や業務遂行能力などの27項目を評価し、認証される仕組みです。

もし、いきなり認証をとれなくても、3年の期間を通じて改善して認証を取るという計画をたてれば、「自立」することを見える化できるのではないでしょうか。

・利益相反がないか確認する

資金分配団体は、当該団体と密接な関係があるとみられる組織、団体等については原則、実行団体に選定しないとなっています。ですので、実行団体として助成金申請をする時に、団体の理事・監事・評議員が資金分配団体などの関係者ではないかを確認する必要があります。

例えば、Aさんが代表理事を務めるある地域のコミュニティ財団が資金分配団体に選定されたが、Aさんはその県内の様々なNPOの理事に就任しているケースなどです。こうした地域は多いと思いますので要注意です。

さいごに

これまでにわかってきた休眠預金の内容を見ると、「休眠預金の助成金は金額が大きい」「最大3年で資金調達できるようにならないといけない」「社会的インパクトマネジメントの仕組みが必要」の3つのことがわかります。

これらからわかることは、休眠預金は国民から託されたお金の「投資」であり、受ける団体はその投資を活かして活動することで、事業では「社会的インパクト」を生み出し、組織を「成長」させ、資金調達力をつけて「自立」することが求められるということです。

休眠預金の助成をうけることはどの団体でもできることではありません。

事業のみで精いっぱいで組織成長や資金調達まで気が回らない・・・という団体さんは、たとえ休眠預金の助成金をうけられたとしてもその後が大変かと思います。休眠預金ができたからといって従来の国・自治体の補助金や、民間財団や寄付などの支援性資金が少なくなるわけではないので、これまでのやり方を続けていってください。

逆に、社会問題を根本解決するためには事業・組織・財源と成長させていかなくてはいけないと思っている団体さんに休眠預金は適した資金です。これまで非営利の世界には「投資」という概念が定着していませんでしたが、投資で得た資金をもとでに短期間に事業を拡大させる選択肢が増えたと考えるのがよいのではないでしょうか。

休眠預金を受けたい非営利団体はどのような準備が必要か、今回の問いの答えは、短期間に組織を成長させ、社会的インパクトを最大化する事業を行う覚悟を持つことと言えます。

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今給黎 辰郎

今給黎 辰郎(いまきゅうれいたつお)認定ファンドレイザー・認定講師 NPO法人フローレンスや日本ファンドレイジング協会でのファンドレイジングの経験と、非営利団体向け支援者管理システム「GOEN DRM」での支援者管理の知識を活かしてフリーのファンドレイザーとして活動をしています。

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