寄付につながるファンドレイジング体制とは?

ファンドレイジング体制とは何か

ファンドレイジングをしている団体さんとお話していると、「ファンドレイジング体制をつくらないといけないですね」とか「ファンドレイジング体制ができていないのでシステム導入はやめておきましょう」などファンドレイジング体制という言葉を私はよく使います。最初は支援者からの問い合わせを受ける体制みたいなことを想定していたのですが、さまざまな成長段階の団体さんと話をしていると意味を使い分けていることがわかりました。それをまとめたのが以下の図です。

非営利団体への寄付は、クレジットカードやAmazon Payで寄付の受け口を作っただけでは集まりません。共感してもらって、寄付をしてもらい、支援者の気持ちに応える対応をして継続的に寄付をしてもらうはたらきかけが必要になってきます。このはたらきかけをしていくためにチームをつくっていく必要があります。

1.活動初期の段階 : Zero

困っている人をなんとかしたいために活動を始めた当初は、ごく限られた地域で少人数で活動をしている状況ですので、認知度も低い状況です。知っている人も、なんかえらいことしているねー、くらいの認識で寄付まではいかない心理状況だと思います。まさしく潜在支援者しかいない状況です。

2:活動を知っている人が増えてくる段階 : 試行錯誤の孤独状態から個人学習への移行

活動を続けてくると、その受益者の保護者や家族、地域住民などの理解がされてきます。ボランティアで参加してくれる人もいたり、物的な寄付(場所や食材の提供など)をうけるかもしれません。何かのイベントや説明会などで寄付のお願いをしたり募金箱を置いてみると、いくらか寄付がされることが増えてきます。

自治体や財団への助成金申請などもするようになっていて、それと合わせて「寄付」についても考え始めます。非営利組織ではTTP(徹底的にパクる)という標語があるくらいの根付いた行動ですが、他の団体でやっている寄付の仕組みをまねて実施していきます。そうすることで寄付額が上がってきます。これは、今まで知らなかった社会課題について知り、活動している団体を知った潜在支援者が、何かしら関わりたいなと思っているところに、寄付という関わる選択肢が複数用意されることによって寄付が増えてきている状態といえます。

この時に代表さんや、スタッフ、ボランティアの方がファンドレイジングの可能性を感じて、調査や勉強を始めていきます。この時に大切なのは、体系的な知識を得ること、適したアドバイスをしてくれる人がいることです。ここで自己流のやり方や、ノウハウのみに頼ったファンドレイジングを行っていると早々に行き詰まる結果となります。なので、この時期はキーパーソンにファンドレイジングの知識習得を支えるのが適した対応です。日本ファンドレイジング協会の研修を受講することや、准認定ファンドレイザーの取得をするなどがよいです。

よくあるケースとして、代表は受益者への対応で頭いっぱいで団体の資金調達のことを考える余裕はなく、活動を支えるスタッフがそこに危機感を持って独自に勉強をしていることがあります。私は、日本ファンドレイジング協会の准認定必修研修の講師をすることがありますが、よくそうした方が参加されています。その方は団体の中で孤独です。代表にも周りのスタッフにも理解されず、「それが受益者の為になるの?」「何でそんなことしているの?」「お金のことばっかり考えているね」などなど言われ、つらい立場になることがあります。なので、ファンドレイジングの研修やイベントで、別団体の同じ境遇の方がいると意気投合して仲良くなることがあるのはこうした背景があります。団体を変えていく変革者の最初は孤独なスタートとなります。

非営利活動には受益者がいます。この受益者を支え・変化をしてもらうためには継続的な活動が欠かせず、それを支えるボランティアやスタッフ、資金が必要です。月1回のボランティア活動で身の回りの困った人を助けることを継続していくのか、活動頻度を週1回に増やしたり、困った人の原因の根本解決をはかっていくための新しい活動をするために団体を成長させるのかは、このファンドレイジングにとりくむか否かで変わってきます。

3.寄付する人が増えてきた段階:チームへの浸透と組織学習の段階

活動の認知度が上がってきてイベント等での募金や、単発的な寄付が増えてくると、次は継続的な寄付をお願いしていく段階になります。

初めて寄付した人が、同じ団体に2回目寄付をする確率はどれくらいだと思いますか??

自分の寄付した体験を思い起こすと・・・FBのメッセージで「クラウドファンディングしているので寄付をお願いします」とお友達から依頼されて寄付することは何度かあります。でもだいたいそれ一回で次に同じ団体に寄付することはありません。これは活動への共感ではなく、友達ががんばってやっているから寄付しようという、いわゆる「おつきあい」の寄付なのかもしれません。

寄付したあとに依頼してきた友達に「寄付したよー!がんばってね」とメッセージしたら「なんと!!どうもありがとう」という手短のメッセージと、自動応答メールがきて終わりというのがだいたいの流れです。そして2回目の寄付をしたいなと思うことはほとんどありません。

アメリカの調査ではありますが、1回目の寄付から2回目の寄付に継続する確率は19%と言われています。ちなみに2回目からそれ以上の継続は63%くらいだそうです。確実に1回目から2回目の寄付の壁があることは実感値でもそうだなーと感じます。

では、2回目したいと思うのはどんな場合か。某団体の記念イベントに行った際に、寄付用の封筒があったので3000円を入れてその場の事務局長さんにお渡しをしたところ「なんと!!どうもー。クラウドファンディングしているのでそちらにもお願いねー」と手短にお礼がありました。3000円も自分からしたら結構な額なのに、次の寄付のお願いかー・・・と思っていましたが、次の日にスタッフの方から丁寧な寄付のお礼の言葉や、日頃のやりとりの感謝などがメールできました。そこで「あぁ寄付してよかったな」と感じ、クラウドファンディングに10,000円寄付をしました。スタッフの方の対応がなければ次の寄付はなかったです。3,000円で終わるか、13,000円まで積み上げるか。大きな違いです。

人は人に寄付をします。代表さんであったり事務局長さんが立ち上げた事業が素晴らしいから応援したいなと思うのですが、だいたいそういう立場の方はお忙しいので寄付をしても感謝をきちんとする時間も余裕がないです。そこでチームとして、スタッフがきちんと気持ちをこめてお礼や対応をすることで「支援者の応援したい気持ちに応えること」ができて、次の寄付につながります。

このように、支援者から複数回寄付をしてもらうにはチームでファンドレイジングをする必要があります。そのためには、チーム全体でファンドレイジングの基礎知識を持ってもらうことと、計画を皆で考えていくことが重要となります。

4.計画的にファンドレイジングしていく段階

チームでファンドレイジングができるようになると、次は寄付の目標をたててそれに向けて計画的に行動していくことになります。そのためには支援者情報や支援の履歴の「見える化」が有効になります。このデータの見える化には以下の5つの段階があります。

 1:情報の蓄積 
  支援者や支援のデータをとりあえず集める

 2:記述的分析(DESCRIPTIVE ANALYTICS) 
  実績レポートを作成し、今どういう状況かを把握する。

 3:診断解析(DIGNOSTIC ANALYTICS)
  なぜそうなっているかを分析し、改善を行う

 4:予測分析(PREDICTIVE ANALYTICS)
  これから何がおきるか予測し、事前に手を打つ

 5:規範的分析(PRESCRIPTIVE ANALYTICS)
  これからするべき行動を示唆してくれる

こうした見える化のステップを上がるためにSalesforce等の支援者管理システムが効果的になってきます。

まとめ

寄付を増やしていくには、個人で行うには限界があり、チームで取り組むことで継続的な支援につながります。そして、チームで取り組むために、知識を得て、議論し、ファンドレイジング計画を作成して、支援者管理システムを使って効率的に進めていくことがファンドレイジング体制を構築する方向性といえます。


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今給黎 辰郎

今給黎 辰郎(いまきゅうれいたつお)認定ファンドレイザー・認定講師 NPO法人フローレンスや日本ファンドレイジング協会でのファンドレイジングの経験と、非営利団体向け支援者管理システム「GOEN DRM」での支援者管理の知識を活かしてフリーのファンドレイザーとして活動をしています。

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