投資としての寄付とは?〜SVP東京の活動から考える〜

『投資としての寄付』という言葉が最近気になっています。投資といっても、ソーシャルインパクトボンド(SIB)のような実際にファンドを組んだ投資ではなくて、寄付や助成金などの支援性資金に対して含まれる投資的な意図を指します。寄付白書2017の寄付者のペルソナの①寄付の開拓者に近いイメージです。

なぜ気になり始めたかというと、先日提出した助成金(年間1000万規模)がきっかけでした。この助成金は、申請事業に加えて外部の評価者を付けて事業評価とセットで申請することを求められました。ひょっとしたら今後、成果に連動して助成金額が変わってくる時代になるのかもしれないと思いました。

また、年間700億円が公益活動にまわると言われている休眠預金は、寄付者が主体的に寄付先を選んでいない、いわば純粋な支援性資金とは呼べない資金です。そのため、より成果が求められる投資的な色合いのお金になるのではないかと考えています。

高額な助成金や休眠預金などの金額が大きい資金は、社会問題の根本的な原因を短時間で解決したい!と考えている団体にはこれから重要な資金源となります。こうしたことから「投資としての寄付」を呼び込むためにファンドレイザーとしてどう考えたらよいか関心をもった次第です。

一般人がもつ「投資」のイメージ

私は投資について詳しくないド素人ですので、そうした一般人の投資のイメージを共有させてもらうと、投資はベンチャー企業が投資家や投資機関から資金を受けて事業を成長させるイメージがあります。

例えば、ベンチャーキャピタルのWiLが有名です。

こうしたベンチャーキャピタルはベンチャー企業に投資をして、その企業がIPO(株式公開)やM&A(企業合併や買収)する際に投資分と利益を回収します。例えば、WiLが投資したベンチャー企業でKDDIグループに参画したSORACOMがよい事例です。

こうした投資機関は巨額の投資をするかわりに、短期間での急激な成長を求め、投資以上の利益を望みますので、積極的に経営に関与します。経営者と意見が合わない時は投資を引き上げを選択肢にだすことがあります。つまり、成果と成長を短時間で出すことの対価として投資がされます

もちろん投資機関によってスタンスは違い、投資金額が巨額で短期間に急成長を求めるところがあったり、投資金額はそこそこだが中長期の着実な成長を求めるところがあったりします。なので投資を受ける場合は、スタンスが違う投資機関をいれてしまうと意思決定に矛盾を抱えることになります。投資額を増やせればよいわけではなく、組織に合った投資先とお付き合いをすることが重要となります。

SVP東京の活動から非営利組織の投資を考える

ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)をご存知でしょうか。2003年設立の団体で、私も2015-16の2年間、会員(以下パートナー)として在籍した団体です。その経験を元にお話するので、以下の文章の中でそうではないと思われるSVP関係の方、あらかじめご了承ください。

ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(以下、SVP東京)は、社会的な課題の解決に取り組む革新的な事業に対して、資金の提供と、パートナーによる経営支援を行っています。SVP東京は、投資協働を行うソーシャルベンチャーのミッション達成に貢献すると同時に、パートナー自身が、投資・協働団体への支援に参画し、地域や社会への関与を通じて、イノベーションに貢献することをその使命としています。SVP東京は、ソーシャルベンチャーと有志のパートナーたちがチームとなって、仲間と共に学びながら活動し、社会変革を目指すコミュニティです。パートナー同士が互いに創造性を発揮しあい、本気で向き合う場づくりと自律的運営を心掛けています。

SVP東京を構成するパートナーは年に1回会費として100,000円を支払います。そして、会費を原資にNPOに助成(年間100万円くらい)と協働を1年〜2年間で行なっています。

最近の協働先団体は特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS特定非営利活動法人3keysスリール株式会社などです。過去にはフローレンスカタリバなど現在活躍している団体とも協働していて、立ち上げ期の大事な時期に投資と協働をおこなっていました。

SVP東京のようなパートナーが出資と協働をおこなうスタイルはアメリカのシアトル発祥の仕組みで、北米を中心に世界で拡がっており、各地の状況にあわせて定着しています。http://www.socialventurepartners.org/

SVP東京では資金提供を寄付や助成金ではなく『投資』と呼びます。またプロボノやボランティアではなく『協働』と呼びます。

投資は先に挙げたように『成果と成長を求めた資金提供』です。ただし成果といっても資金的なリターンではなく、社会的なリターンで、社会問題の解決を短期間で果たしたすイノベーションや、全国に効果的な手法が広がるスケールアウトなどを指します。こうした社会的リターンを最大化するためにパートナーは協働をNPOとします。お金も出しますが、口も手も出すわけです。

『このセオリーオブチェンジやロジックモデルは論理的におかしいので一緒につくりなおしましょう!』

『事業の収益性を高めるために、提供サービスの変更(ピボット)を一緒に考えましょう!!』

『優秀な人員を確保するための採用戦略や、広報戦略を考えましょう!』

『ガバナンスが甘くて将来的なリスクなので専門家に診断してもらいましょう!!』

『地域の有力者とつながる広報プランを考えてみましょう!』

『団体のファンドレイジング戦略を一緒にブラッシュアップしましょう!』

『業界でオピニオンリーダーになるために白書作成や調査をするプラン作りをしましょう!』

協働先のNPOに高い成長意欲や社会的インパクトへのこだわりがある場合は、こうした問いかけにひとつひとつ応えていくことで、スピード感が上がっていき様々な機会につながります。

しかし、そうではなく、団体のお手伝い役として捉えられてしまうと協働先のNPOの代表さんから「ロジックなんちゃらを良くしたら受益者に何の得があるのですか?」、「採用戦略をたてる?そのまえにハロワに出す求人票書いてもらえません?」、「ガバナンスが甘い??理事に辞めろなんて言えませんけど」、「パートナーさんでわが団体のクラウドファンディングをとりあえず立ち上げてもらえません?」など言われることになり、協働が成り立たないこともあります。

SVP東京の投資を受けて協働を成功させるためには、「迅速に成長して、社会的インパクトを拡大させる活動をするためには、虫の目ではなく鳥の目で俯瞰する必要があって、その役割としてSVP東京のパートナーが必要なんだ」、といった受入れ体制があることが鍵となります。

まとめ

投資としての寄付は、成果と成長を短期間で行うことを期待された資金で、資金提供者がお金も出すが、口も手も出すといった性質があります。それに対してNPO側は「寄付とはNPOの主体性を信じてもらった上で頂いたお金なので、口はださないでください」など言わず、事業の成果と団体の成長にフォーカスしてがっぷり四つになって取り組む姿勢が重要だと思います。

こうした投資に対する姿勢がとれている団体にのみ、成果が問われる高額な助成金や、休眠預金などの投資的な色が強い資金を受けることができるようになると思います。

<おまけ>

認定・准認定ファンドレイザーの皆さんや、NPOの支援の機会をもちたいと思っている方へ。SVP東京パートナーを現在募集中です。年に一回の募集なので興味のあるかたは、2/12(火)19:30~21:00に説明会があるそうですので、検討してみてください。


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うれしー
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今給黎 辰郎

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