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定期開催イベントをファンドレイジングキャンペーンにする方法~NPO法人ペアレント・サポートすてっぷの事例紹介②~

周年イベントやシンポジウム、キャンプや寄付者の集いなど毎年定期的にイベントを開催している団体さんは多いです。そうしたイベントをファンドレイジングキャンペーンとみなして、寄付を集める機会にしている団体さんがいる一方で、イベントを開催することだけで精一杯になってしまい、寄付集めにまで気が回らない団体さんもいます。

今回は私がファンドレイジングのお手伝いをしている、障がいを持ったお子さんの保護者を支援しているNPO法人ペアレント・サポートすてっぷさんで実施した内容をご紹介します。この団体では、毎年フォーラムを実施していて、たくさんの参加者が集う場にはなっているのですが、寄付については昨年は残念ながらそれほど集まらなかったそうです。

しかし、今年度は事務所の移転を控えており、その費用50万円をどうしても確保しなければいけない事情があります。フォーラムは2020/3/8とまだまだ時間がありますので、準備を行うことで寄付を確保していこうということになりました。

そこで今回のファンドレイジングのセッションとなったのですが、「多くの団体さんの参考になるのだったら是非」と公開を快諾してくださいました。団体の関係者の皆様にはこの場をお借りして感謝いたします。

1.NPO法人ペアレント・サポートすてっぷのファンドレイジングの基礎情報

以前のnoteにてペアレント・サポートすてっぷさんのファンドレイジングの基礎情報である、財務情報、現状分析、ドナーピラミッド、ステップアップ戦略をまとめています。ファンドレイジングキャンペーンの設計前に団体の潜在力や方向性を把握することはとても重要ですので、まだ読んでいない方は目を通しておいてください。

2.ファンドレイジングキャンペーンの考え方

今回のファンドレイジングキャンペーンは2020/3/8に開催されるフォーラムです。より多くの寄付を得るための考え方のポイント5つを以下の通りまとめています。

1. フォーラムに呼込む対象者はだれか

フォーラムに来て欲しい対象者は誰でしょうか?とりあえずチラシをつくって配布したり、とりあえずFacebookのイベントをたてたり、Twitterのbotで毎日情報を流していれば集まるでしょうか。

今回のフォーラムは、障がいをもったお子さんがいらっしゃる保護者に有益な情報を届けることが目的の一つです。そして、そうした保護者を支援する自治体や事業者の支援者にもわかっていてもらいたい内容です。それに加えて、昨年発生した平成30年7月豪雨災害での真備地区での甚大な被害の経験から、障がいを持った方々の居場所に関するハンドブックを発行するので、地域で居場所を提供している関係者にも来てもらいたいです。

対象者を明確にすることで、どのように告知していけばよいかを考えることができるようになります。

2. 共感度が高い対象者を呼込むにはどうしたらよいか

フォーラムに多くの参加者を呼込むことが目的であれば対象者の明確化で十分ですが、今回はファンドレイジングキャンペーンとしての企画です。なので、対象者の中でも共感度が高い人達に来て頂く必要があります。

ファンドレイジングは「共感をマネージ」することです。共感度を高めてもらうために、社会問題について語り、その社会問題を解決するための自団体のソリューションについて説明して、関わり方として寄付やボランティアのお願いをします。なので、最初の参加の段階から共感度が高い人達を呼込むのが重要なこととなります。

3. イベント前/参加費/イベント内/イベント後の寄付集め方法の検討

イベント当日に寄付をお願いすることだけがファンドレイジングキャンペーンではありません。その前後でも寄付を募ることができます。例えばイベントの前に関連するクラウドファンディングやプレイベントを行って寄付や参加費をいただいたり、イベントに寄付つきの参加チケットを提供する方法もあります。またイベントの後も、参加のお礼とともにマンスリーサポーター加入のお願いをするなど、やり方は多岐にわたります。ファンドレイジングキャンペーンはイベント当日だけでなく、前後含めた期間として捉えるとイベント当日に無理して集めなくてよくなるので、余裕をもって参加者の方々と接することができるようになります。

4. 費用の確認

もし1,000円の寄付を集めるために1,200円の費用がかかっていたら集めたらあつめた分だけ赤字になります。そんなことわかっていると思われている方は多いかもしれませんが、会場費用、チラシのデザイン・印刷費用、広告費、人件費などなど、キャンペーン期間中全体の費用を算出し、得られる寄付額と比べてみると実は赤字になっていたということは結構あります。全体としていくらかかって、寄付者1人を集めるための単価はいくらかかっているのかをわかるようにしていきましょう。

5. 実施までのスケジュールの確認
対象者を明確にして、共感度が高い方を呼込んだり、イベントの前後でファンドレイジングをするとなると、実施するタスクが多岐にわたります。そのためスケジュールにそった対応が必要となるので、必ず全体スケジュールをたてて、作業漏れがないように準備を進めてください。

打合せ

こうした5つのポイントを話し合う打合せを7/24におこないました。基本的な考え方をお伝えした後に、ファンドレイザーが質問をし、ホワイドボードで出てきた意見をまとめていきます。

3.フォーラムに関係するキャンペーンを考える

3/8のフォーラムでは過去の実績や会場のキャパシティなどを検討して300人を呼込むことが決まりました。その300人の内訳は、保護者120人、支援者80人、関係者100人で、それらの人数を集めるためにより多くの告知人数を割り出していきます。真ん中%の表示は歩留まり率や成功率のことで、例えば1,000人にチラシを配布して120人集まったとしたら12%となります。これまでこうした率は取得してきませんでしたが、今回取得することで次回の計画に活かしていくことができます。

この図の、保護者、支援者、関係者が前述の「1. フォーラムに呼込む対象者はだれか」に該当します。そして、その横に記載している、過去フォーラム参加保護者、接点が多い保護者や、養成講座や研修に過去に参加した支援者、これまで関わりのあった事業者などが「2. 共感度が高い対象者を呼込むにはどうしたらよいか」に該当します。こうして対象者を抽出してから、具体的なアプローチ方法を考えていきます。例えば、個別に連絡をする、対面する機会をつくって呼びかけをする等になります。

「え?だったら関連する人に一括でメールすればいいのでは?絞り込んで連絡するのが寄付キャンペーンなの(笑)」

と思う人がいるかもしれませんが、全員に対してフォーラムに関するお知らせメールを発信する文面と、昨年の参加者のために特化した文面では印象が異なります。例えば文字数の限られたメールのタイトルも以下のような工夫が考えられます。

全体向けメールタイトル:【3/8開催】●●●シンポジウムの開催のお知らせ

昨年参加者向けメールタイトル:【昨年の参加者限定の早割実施中】3/8開催●●●シンポジウム開催のお知らせ

こうした個々の対象者に合わせたコミュニケーションが効率のよいファンドレイジングにつながります。

※今回公開している図は最低限の記載になっていて、実際は対面のプレイベントなどのアイデア等が具体的に記載されていて、共感度が高い対象者を呼込む工夫が記載されています。

4.キャンペーン全体の収支見込みをみる

保護者、支援者、関係者を呼込む中で、チラシのデザイン・印刷や、プレイベントの開催費用、人件費などの費用がかかります。フォーラム当日に3,000円寄付を頂いた場合、それが全て収入になるのではなく、こうした費用を引いた残りの金額が収入となりますので、わかるようにしておきましょう。

5.全体のスケジュールをまとめる

キャンペーンのタスクと関連イベント(クラウドファンディング等)の全体スケジュールを整理しておくことで、いつ何をしないといけないかや、タスクが重なって大変な時期がわかります。通常の業務がある中でこれらの対応をするので、どれほど負荷がかかるのかを把握することはとても重要です。

ここまで棚卸しすると、ここは対応する人がいないので、やらないと判断したり、ボランティアを募ってがんばってやりきろうなどの意思決定ができるようになります。多くの団体さんは日々の業務の多忙さでなし崩し的にできなくなっていきます。是非スケジュールをたてて進捗管理をするようにしてください。

6.データの整備をする

ファンドレイジングキャンペーンを成功させるには、キャンペーン企画で必要となる、呼込み対象や共感度の高い対象者を絞り込んでいくための過去の情報が重要となります。今回のキャンペーン実施に向けて、NPO法人ペアレント・サポートすてっぷさんでは、支援者情報を管理するデータベースを導入し、データを整理することでキャンペーン実施に活かしていきます。

また、今回実施したキャンペーンの結果をデータベースに登録することで、次年度にはさらに精度高くキャンペーンの企画ができるようになります。

まとめ

ファンドレイジングをすることとは、効果的なファンドレイジングキャンペーンを実施し続けていくことと言えます。それに必要な一連の流れを前回・今回のnoteで紹介してきました。これは団体内にファンドレイジング担当がいれば、これらの情報を参考に自団体でできるものです。もし不安な場合は、知り合いの認定・准認定ファンドレイザー資格取得者にサポートに入ってもらえるとよいと思います。定期イベントをファンドレイジングキャンペーンに進化させていきましょう。

※前回の記事はこちら


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今給黎 辰郎

今給黎 辰郎(いまきゅうれいたつお)認定ファンドレイザー・認定講師 NPO法人フローレンスや日本ファンドレイジング協会でのファンドレイジングの経験と、非営利団体向け支援者管理システム「GOEN DRM」での支援者管理の知識を活かしてフリーのファンドレイザーとして活動をしています。

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