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福井県坂井市の「百口城主」が継続支援のモデルケースだと思う5つの理由

城好きの皆さんならば、一度は聞いたことがある寄付の仕組み「一口城主」は准認定ファンドレイザー必修研修でも登場する有名な寄付の制度です。

有名なのは熊本城の一口城主です。既に4万人以上の城主がいるそうです。

他にも、京都の二条城の「一口城主」や、大阪城「太閤なにわの夢募金」、姫路城「ふるさとひめじ応援寄附金」など様々なお城が寄付制度を行っています。

そんな中、7/23に公開されたのは福井県坂井市の丸岡城「百口城主」です。

Webサイトを訪れるとこんなお知らせが!

一口じゃ城主になれないんです。たしかにこれまでたくさんのお城で一口城主制度がありました。その中で「百口」はインパクトあります。今回はこの制度のよいところ5つをまとめていきます。

1.ふるさと納税の仕組みであるので負担感が低い

この仕組みは福井県坂井市のふるさと納税の仕組みです。ふるさと納税は納税と言っていますが、一言でいうと自治体への寄付です。

大阪府泉佐野市が、返礼品の費用割合を3割以上で実施していて総務省からふるさと納税の仕組みから外されるなどのニュースがあり、イメージがよくないですが、簡単にいうと収入によって算出される枠内であれば2,000円の実費を払うだけで各地の特産品を得ることができます。

こうした実利感がけん引しているふるさと納税は毎年寄付金額・寄付者数が増加してきています。

今回の丸岡城は、「丸岡城周辺の魅力化」を向上するための取組みで、肉やお米などがもらえるわけではありません。福井県坂井市や丸岡城を愛する人が寄付することになります。実利感より共感が強い寄付といえます。

こうした共感がけん引する寄付をふるさと納税の仕組みを使うことは、ふるさと納税の主旨に沿ったよい使い方だと思います。

ふるさと納税の主旨:多くの人が地方自治体の医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し納税を行っています。その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。そこで税制を通じてふるさとに貢献する仕組みはできないかと「ふるさと納税研究会(平成19年6月1日~平成19年10月5日) 」が総務省にて実施され制度化されました。

2.ふるさとマンスリーサポーター制度により運営側の財源の見通しがたてやすい

丸岡城百口城主はふるさとマンスリーサポーター制度で提供されています。これは2,000円以上からの毎月支払いの継続支援のことです。地域の課題は観光地の老朽化や後継者問題、貧困など長期的に対応しなければいけないことが多く、そうした時に継続支援者が多ければ、財源の見通しが立てやすいです。米や肉、野菜、果物などの食品は金額は大きくなりがちですが、来年も同じくらいの申込みがあるかわかりませんし、異常気象や天災の影響で生産量が著しく低下する可能性もあります。

ふるさと納税は11月、12月に寄付額が増えるという月毎の偏りが激しく、それにより返礼品の準備や発送の労力の確保が困難でしたが、分散することで効率的に活用できるようになります。こうしたこれまでのふるさと納税の弱点を克服している点がよいです。

3.寄付したら終わりではなく、寄付が関係性の始まりであること

丸岡城百口城主の支援者に対する考え方はWebページの以下の文章に集約されています。

丸岡城の『城主』を募集します!:坂井市では市民が考えた事業に対し寄付金を募り、実施する取り組み「寄付市民参画制度」を行っております。丸岡城に関する事業についても『丸岡城周辺の魅力化』という市民提案事業に対し、寄付金を募集していますが、事業内容をより具体化する必要性を感じております。市民と共に「お城ファンという視点」から寄付金の使い道を考え、城下町の再建に一役かってくださるお方・・・そのような、まさに丸岡城の『城主』を募集しているのです。

これまでのふるさと納税は、寄付をしたら米や肉が発送されて受け取ったら終了という関係性でしたが、百口城主では寄付をしてからが関係性の始まりです。まず最初の決済(2,000円~)で奉行証が発行されます。いわばスタンプ台みたいな位置づけです。そこから1,000円=1ポイントで加算されていき、100ポイントになった時点で初めて城主になることができます。

簡単にいうと10万円寄付したら城主になれるよという制度なのですが、マイペースに城主を目指すことができるのがよいです。

「金額をポイントになおしただけじゃないか」と思われるかもしれませんが、このポイントは10万円までの道のりをあらわしたものではなく、寄付者と丸岡城との関係性を見える化するもので、月に最大10ポイントまでとなっていて「イベント無し」だと最低10ヶ月掛かるようになっています。お金を払ってもすぐに城主になれない設定からみても継続した関係性を重視しているのがわかります。

【イベント参加でポイントが加算される仕組み】

一度現場に来て丸岡城や地域の様子をみて共感をし、同じ関心を持つ人同士が出会うことで仲間感が高まっていく・・・ファンドレイジングの継続支援のセオリーである「実利感→共感→仲間感」のステップアップが組み込まれています。

さらに8/31までに寄付すると10ポイントがもらえるので、今すぐ申し込みたい欲求が刺激されます。こうしたゲームの要素も寄付を楽しくする仕掛けとして重要だと思います。

4.関東の人でも参加できるイベントが多い

こうしたイベントものの寄付を紹介すると「イベント多いのはいいけど、関東に住んでいたら地方いけないから・・・」と思う方は多いのではないでしょうか。この丸岡城百口城主のイベントは、関東で多く開催されますので首都圏の方でも参加しやすくなっています。

「首都圏の人優先ですか?」という声が聞こえますが、これには理由があります。ふるさと納税で控除される住民税が2018年度は全国で約2448億円でした、そのうち東京:645億円、神奈川:257億円、千葉:132億円、埼玉131億円と1都3県で1166億円となっています。ふるさと納税の半分が首都圏でされていますので、こうしたイベントを首都圏で行うのは重要なマーケティング戦略といえます。

5.地域愛あふれるファンドレイザーの企画に住民がしっかりと参加している

この企画をつくったのは、ファンドレイジングスクール3期生の小坪拓也さんです。ファンドレイジングスクールでは、座学やディスカッション形式の講座を重ねることでファンドレイジングの知識やスキルを高めつつ、実践に活かすことを行っていきます。また、受講生は各自、年間を通じて自団体のファンドレイジング戦略作成に取り組んでいくのですが、今回の丸岡城百口城主の企画は一年かけた小坪さんの努力の結晶とも言えます。

さらに特筆すべきは、ファンドレイザーが試行錯誤しながら練り上げた企画に住民がしっかり参加しているところです。

今回のプログラムの詳細化にあたり、3回のワークショップを開催し地域住民、市民団体のキーマン、学生などの多様な参加者20名前後が参加して活発に議論されたそうです。奉行-家老-城主といったランクの名前は福井県立 丸岡高校 地域協働部の学生からの発案が採用されていたり、細かい特典の設計やネーミングなどもワークショップの案が通っています。住民と一体となって、ふるさと納税の寄付者にどのような体験をしてもらうか知恵を絞り合って作り上げています。こうした過程がプログラムの人間味・あたたかみにつながっています。

【百口城主 ワークショップの様子①】
https://www.facebook.com/furusato.sakai/posts/2497974920279482
【百口城主 ワークショップの様子②】
https://www.facebook.com/furusato.sakai/posts/2508902582520049
【参考新聞記事】
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/897352?fbclid=IwAR3AVb6Aeno4-goYsG_OCR-I1cuGsHmTpLUMkGxaTFC5-7m4VUa-SszC-7E

まとめ

地域の魅力を知ってもらって、地域の社会課題につながる寄付をしてもらう。これは言うがやすしで実行するのはとても難しいです。そうした中で、ふるさと納税という全国の支援者とつながれるプラットフォームで、共感や仲間感に重きをおいた継続支援を住民とともに考えたプログラムを提供している丸岡城百口城主はとてもよくできています。

ふるさと納税は米や肉など実利的な印象がありますが、よい寄付体験ができることを求める人も増えてきています。そうした寄付者のニーズに応えるために住民と共にあたたかい雰囲気をつくりあげているのが最大のよいところです。今回の事例は、こうした空気感をつくるお手本といえます。

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今給黎 辰郎

今給黎 辰郎(いまきゅうれいたつお)認定ファンドレイザー

ファンドレイジング関連

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