テクノロジーから見たファンドレイジングの未来

12/19に日本ファンドレイジング協会の10周年記念イベント「2030年の寄付とファンドレイジングを考えるオープンセミナー」に参加してきました。

様々な領域の方がスピーカーとして参加されていたのですが、その中でもアクセンチュア株式会社 デジタルコンサルティング本部 アクセンチュア インタラクティブ シニア・マネジャーの佐藤守さんのお話は、テクノロジーから見たファンドレイジングの未来のお話でとても参考になりましたので、その内容をとりまとめてみました。

<講演中の佐藤さん>

テクノロジーから見たファンドレイジングの進歩は3つの段階があります。

1.クラウドファンディングのプラットフォームの浸透

ReadyforやCAMPFIREなどインターネット上で不特定多数の人から寄付を集められるようになり、プラットフォーマーが増えてきました。数の増加だけでなく、ふるさと納税と連携したガバメントクラウドファンディングの仕組みの登場や、キュレーターによる成功に向けたアドバイスなど関連したサービスが拡がっています。まさしく現在進行形のテクノロジーです。

2.コミュニティドリブンファンドレイジング

SMACS(Social、Mobile、Analytics、Cloud、Sensor)と呼ばれているものです。https://tabi-engine.com/smacs にその定義がわかりやすく記載されていたので貼っておきます。

この事例として、アメリカ赤十字の献血アプリの説明がありました。このアプリでは、献血場所を検索したり、献血の時間を予約したりすることができます。そして、自分の献血履歴を閲覧したり、セルフィー(自撮り写真)を友達とシェアしたりもできます。実際に献血すると仮想的なバッジがもらえるなどゲーム要素も楽しいです。このバッジを集めれば、ギフトカードなど実際のご褒美と交換することもできます。「インパクト」というボタンを押すと、自分の献血がどれだけの人を救ったことになるのかが表示されます。次に献血可能な時期を知らせたり、血液不足をプッシュで通知してくれる機能もあります。実際に献血によって救われた人の体験談も掲載されているので、貢献を実感できるようになっています。

3.Extended Reality、AI、Blockchain

VR(バーチャルリアリティー)は社会問題をリアルに体験することができる技術として注目されています。

(https://ddnavi.com/review/486918/a/から抜粋)          『シドラの上にかかる雲』というVRドキュメンタリー映画がある。8分30秒にわたり360度視界を提供するこの映画は、観客をヨルダン北部のザータリ難民キャンプへ連れて行く。内戦で国を追われた8万人のシリア人が暮らす場所だ。この映画を観て著者は、仮設住宅が見渡す限りすべての方向に続く、茫漠たる空間の広がりをまざまざと感じたそうだ。8万人と言われてもただの抽象概念にすぎない。だが、VRによって砂漠に作られた巨大な仮設住宅の真ん中に自分で立った時、初めてこの難民キャンプの人口を表す数字の意味が実感できたという。映画が終わり涙をぬぐう観客が何人もいたが、何かドラマチックな展開が映画にあったわけではない。ただ日常の何気ない瞬間に立ち会うだけである。だが、この映画は間違いなく人々に強い感情を抱かせる。伝統的映画との大きな違いは、没入型の映像によって、自分も難民キャンプの人々と一緒にその場にいるかのような気にさせられる点だ。 (抜粋終わり)

VRによって難民キャンプを仮想体験した人は、共感度が高まり寄付する確率も非体験者と比べて2倍の違いがあったそうです。

さらにVRとゲームの要素を組み合わせた事例として、バーチャルビレッジのケースが紹介されていました。VRで体験するアフリカの村では、井戸が枯れているのですが、そこに寄付をすると水が湧いてきたり、病気で寝ている子どもに寄付をすると元気になったりします。自分が行った寄付がどのように役立つのかを仮想体験できる仕組みです。寄付者にとって自分の寄付がどのように使われたかはとても関心が高いことですので、こうして体験できることは寄付につながる技術だと思います。

AIとBlockchainに関しても最近関心度が高まっています。ポイントは3つあるそうです。

1.パーソナライゼーション

個々人の志向をとらえたレコメンデーションができること。AIの役割が大きい領域。

2.トレーサビリティ

使用履歴をとることや、寄付したお金が最終的にどこで使われたかをトラッキングする。ブロックチェーン技術が使用される。

3.アルゴリズム

インパクトを最大化する寄付投資の自動化。「アルゴリズムの虜」の事例が紹介されていました。今後アレクサなどのAIスピーカーを介して、自動的に日用品の発注や、寄付をしたりすることができるようになります。そうなるとAIスピーカーがいかに選択肢を提供できるかにかかってきます。そのためテレビにCMを出したりネット広告をするのではなく、AIスピーカーに対してデータ提供することの方が重要となってきます。

まとめ:ファンドレイジングの未来に備えてできること

佐藤さんからのお話は大変示唆に富んでいる内容でした。1年後・2年後にいきなりこうした未来が実現されるわけではないと思いますが、5年先・10年先の中長期のスパンでは必ず達成されていることだと思います。

それでは今できることは何でしょうか。支援者情報や支援情報などファンドレイジングを実施していくと様々な情報が集まります。その情報をどのように自団体にとって価値ある情報にしていくか5つのステップがあります。

AIで利用できる情報のレベルは恐らく上記の3:予測分析まで上げておく必要があると思います。これまで全く情報を取得していない状況から、いきなりAIを活用することはできないと思います。

そういった意味でもファンドレイジング体制を整備し、支援者管理システムによりデータの活用レベルを高めることは、未来のファンドレイジングにとって必須になることだと、今回のお話を聞いて確信しました。

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今給黎 辰郎

今給黎 辰郎(いまきゅうれいたつお)認定ファンドレイザー・認定講師 NPO法人フローレンスや日本ファンドレイジング協会でのファンドレイジングの経験と、非営利団体向け支援者管理システム「GOEN DRM」での支援者管理の知識を活かしてフリーのファンドレイザーとして活動をしています。
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