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はあちゅう【前編】10年前から最先端でした(笑)。

(このインタビューは2015年2月19日に掲載したものです)

約10年前。大学時代に始めたブログが大きな話題を呼び、書籍化されて以来、注目を集め続けてきたはあちゅうさん。自らを“ブロガー・作家”と名乗るように、ブログやSNSで日常を発信しながら、最近では雑誌連載や書籍の執筆も増えています。勝負作となる新刊『半径5メートルの野望』にこめた想いとは? ネット時代の表現の開拓者である彼女の思考と魅力にせまります。

半径5メートルの野望』はあちゅう

あらすじ:大学一年生、18歳で「カリスマブロガー」と呼ばれるようになってから10年……「野心がある」といっても、世界を変えたい!などそんな大それた野望ではなく、「本を出したい」「会社以外の場所で自分の個性を発揮できる仕事を持ちたい」などの小さな夢を叶えることで、活動範囲を広げている著者が、「ゆとり・さとり世代」と呼ばれる野望の無い同世代に向けて繰り出すメッセージ集。


「この1ページがすごい!」

 覚えていてください。「あいつなんてもう終わってるよ」と言ってくるような人は、その人自身、何一つとして始まってもいないような人です。「ブス」とこっちの顔を批判してくる人が、自分の顔写真をアイコンにしていたためしがありません。自分だけ安全地帯にいて、好きなことを言って勝ち誇った気分に浸っていても、所詮は負け組。本当の自分で勝負できないような人の批判を恐れていて何も動かなければ、自分も同じ負け組階層から飛び出すことはできないのです。
 批判が怖くて動けないという人は大勢いるでしょう。私だって、批判されるのは嫌です。ここまで書いてきたことだって、半分は強がりなのかもしれません。でも、自分でこうやって言い続けて、強いフリをすることと、本当に強いことに、どれほどの違いがあるでしょうか。

——『半径5メートルの野望』27ページより

炎上しても家は燃えませんから

—— 今でこそ、普通のひとがブログで自分の情報を発信したり、自撮り写真を公開することも珍しくないですけど、はあちゅうさんといえば女子大生の頃から始めたブログしかり、その先駆者ですよね。

はあちゅう そうなんです。最先端を10年前からやっていたんです(笑)。当時は、「自分の顔をネットに載せるなんて危いよ」ってさんざん言われたし、自撮りも、「痛いヤツだ」って。それも最近は“セルフィー”って呼び名がついてオシャレな感じに認知されましたね(笑)。

—— 記事の冒頭に引用した部分を読んで、すこし前に、はあちゅうさんと会っていた時に、ネットで「オワコン」(“終わったコンテンツ”の略)って書かれたことに対して、「そう言うお前は、はじまってもいないだろって思うんですよね」って言っていて爆笑したのを思い出しました。気持ちいいですよね。

はあちゅう ありがとうございます。その話は、「気持ちいい!」と笑って頂いたのを思い出して、新刊『半径5メートルの野望』にも書いたんですよ。みんなネット上でのコミュニケーションでは、何かしらモヤモヤしているんでしょうね。

—— はあちゅうさん自身、ネット時代の先駆者だからこそ、叩かれることも多いですけど。「ネットで悪口言われても気にしない」とハッキリと書いていますよね。

はあちゅう 最初は気にしていましたけど、もう、昔みたいに過度には気にしないようになりました。炎上しても、家は燃えませんからね(笑)。

—— 最近は、雑誌の連載や書籍の紙媒体の執筆も増えていますよね。

はあちゅう はい。ネットの世界だけでなくて、幅広い読者の持てる作家になりたいって気持ちが強くあります。それに、本でしか書けないこともあるんですよね。

—— それは、『半径5メートルの野望』を読んで感じました。これまでになく覚悟を持って自分をさらけ出しているし、かなり率直に言いたいことを言っているなと。

はあちゅう はい。自己啓発本って似たりよったりだし、成功のセオリーって共通しているものだと思いますけど。この本には、私にしかない体験と実感を込めて書いたつもりです。たとえば、“容姿コンプレックス”の話もずっと書きたかったことだったんです。女の子なら絶対に共感してくれる人が多いと思ったし、みんながネットで顔出しするのが当たり前になった今だからこそ、同じ悩みを抱えている人はいるはずだと思って。

—— 実体験がたくさん入ってますよね。大学時代に初めての合コンでブス扱いされたお話とか、グーグル検索したら、ブスのいちばん上に出てきたとか。どん底まで落ち込んだ体験も含めて、淡々とさらけ出していて。
 でも、負の経験や感情を「ネタにしてやる!」「幸せになることが一番の仕返し」って言えちゃうところが、かっこいいなと思いました。

はあちゅう 普段は、「小娘のくせに偉そうに!」って思われるからオブラートに包んで語っていることとか、ネットだと炎上しそうなこともこの本には書きましたね。本だと炎上しないんで、言いっぱなしができるじゃないですか。ネットだと、すぐクソリプがきますけど(笑)。

—— 本の中では、ネットでどうでもいい質問ばかりしてくる人に対して、「ググれカス」って書いちゃっていますもんね(笑)。

はあちゅう 書いてます(笑)。

半径5メートルを大切にする

—— はあちゅうさんって、いつも元気ですよね。どれだけ叩かれても、やる気がみなぎっているのがすごいなと思います。

はあちゅう どんな人といるのかが大事かもしれませんね。やる気のない人たちが集う場所では、やる気出している人は恥ずかしく見えるけれど、めちゃめちゃやる気のある人に囲まれていると、やる気のない自分のほうが恥ずかしくなってくるんですよ。

—— なるほど、環境によって180度変わるんですね。

はあちゅう 本にも書いたけど、元気が欲しいと思ったら、他人から元気をもらおうと思うのではなく、むしろ、元気をあげようと思うと、自分の中から湧き上がってくるんですよ。がんばっている人は生きているだけで誰かに勇気を与えていると思うし、私はそういう存在になりたいんです。

—— 世間的には、やりたいことは何でも自信を持ってやっているイメージがありますけど、そういうわけじゃないんですか。

はあちゅう 自信なんて全然ないですよ。たとえばここ1年は、メディア露出が増えたのですごいバッシングを受けたんです。
 テレビ番組に出て政治にコメントしたら、「何で政治のことをよくわかってないヤツが話しているんだ!」て叩かれたんですけど、そもそも、私は依頼されたから出たんです。出演依頼してくださった方も、私が政治のことはわからないヤツだって知っているんですよ。

—— そういう役割を引き受けてくれ、という依頼ですね。

はあちゅう ええ、それに私は全力で応えただけで。力不足はあったかもしれないんですけど、第三者に横から攻められるって本当はおかしいですよね。

—— そうですよね(笑)。

はあちゅう こういう意見もネットだと炎上するけど、いちいち貯め込んでおいて、こうして本にぶつけられたから良かったです(笑)。

—— はあちゅうさんの正直さと負けん気に励まされる読者は多いと思います。

はあちゅう 本を読んで、「最初の数ページから泣きました」ってTwitterに書いてくれる人たちが想像以上にいて。いろいろとさらけ出して、書いて良かったって思いました。
 書籍の販売イベントをやった時も40歳くらいの方が来てくださって、「中2の娘が学校でいじめられているんですけど、この本を読んだらやる気まんまんになりました」って……涙腺がゆるみましたね。この本は今まではあちゅうに興味がなかった人にも絶対届けたいなって思っています。

—— ちなみに、文中にも何度も登場するお母さまは、もう読まれました?

はあちゅう まだ読んでないみたいです。本読むと寝ちゃう人なので(笑)。でも、Amazonのランキングを1時間ごとにチェックして、誰よりも早く教えてくれます。インスタグラムで私の代わりに、購入してくれた人に「本を買ってくれてありがとう!」ってコメント返ししてくれたり。

—— すごい!

はあちゅう 妹もこっそり本を買ってくれたんですよ。しかも3冊も。妹はいつも節約していて電車賃を浮かせるために歩くような子なのに!

—— 良い話ですね。

はあちゅう 家族はもちろん、友人、仕事仲間とか。自分の知らないところで大好きな人たちが支えてくれているんだなって。普段、目には見えないけれど、この気持ちを忘れないでいれば、投げやりにならずにすむんですよね。

—— 本のタイトルにもなっている、“半径5メートル”って、そういう意味でもありますね。

はあちゅう はい。ネットで叩かれようとも、最悪なことが起ころうとも、大好きな人たちを大切にすれば、私は私でいられるし、だいじょうぶって思います。

はあちゅう(伊藤春香)
ブロガー、作家/ソーシャル焼き肉マッチングサービス「肉会」代表/有料オンラインサロン「ちゅうもえサロン」や「ちゅうつねカレッジ」を主宰。 1986年生まれ。神奈川県出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒。 2009年電通入社後、中部支社勤務を経てクリエーティブ局コピーライターに。2011年12月にトレンダーズに転職し、美容クーポンサイト「キレナビ」編集長や動画サービスに関わる。2014年9月からフリーで活動し、講演・執筆活動、ウェブサービスの運営を続けている。

聞き手:加藤貞顕 構成:yoshirei 撮影:喜多村みか

半径5メートルの野望

恋愛炎上主義。 (一般書)

自分の強みをつくる (U25サバイバル・マニュアル)
(U25 SURVIVAL MANUAL SERIES)

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