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持っているものを信じろ

サルヴァドールの電子書籍作業も残すところほぼ表紙のみ。6年も前の作品に新しく表紙を描くなんて、ちょっと不思議な気分。

(🔰初見の方へ:▼この作品のことです/2015年作)



並べると壮観なアナログ原稿100ページ。1枚ずつスキャンし直し、画像調整し直した。

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根をあげそうになったのだけど、いや、これ描いてた時のほうがもっと大変だったし!と負けず嫌い精神を発揮しなんとか乗り切った。

そしてこれが<リマスター前> ▶︎ <リマスター後>のちがい。
おわかりいただけるだろうか…?

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再現できてなかった光のニュアンスだったりちょっとした色の加減が、相当原画の色味に近づいた。”リマスター”というと聞こえが良いのだが、これを描いた当時僕がいいスキャナーを持ってなかっただけである。

今までこの作品の原画に忠実verは世の中に出てなかったんだなと思うと、なんてもったいないことしてたんだ!とも思う。

そしておまけコンテンツを選定していたら、キャラクター表やカラー絵コンテに書いてあった日付に目が行った。

2012年。2013年。

上京してきたのが2012年だから、その年から製作開始したとすると3年かけて作っていたことになる。(↓これはカラー絵コンテ)

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3年かぁ…もちろん作り始めた当初はそんなに時間がかかるとは思っていなかった。漫画を描く労力を全く知らなかったし。でも、知らないからこそ作れた作品だった。無知ってある意味最強なのだ。

成長の効率みたいなものを考えるのなら、3年で何本かの短編を描いたほうが伸びる。そんなの知っていた。

効率的でもないし、戦略的でもない。
ただただこれがやりたいという気持ちだけで作った(今でもそこは大して変わらない)。

何にしても一番勇気がいる時って、最初の一歩を踏み出すときだと思う。僕の漫画の一歩目(一作目)は紛れもなくこの作品だった。

よくもまあ、こんなに手間のかかる原稿を描いたもんだ。これを描き切ったからこそ今がある。


Having

最近小耳にはさんだ考え方で、Havingというのがある。

ざっくりいうと未来に手に入れたいものばかり思うのではなく、今自分が持っているものをちゃんと感じることだ。

“持っているもの”とは、今までやってきたこと、自分の強み、何らかの行動をしたからこそ手に入れた人間関係、自分の稼いだお金で手に入れた好きなもの、とか自分がすでに持っているもののことだ(と僕は解釈した)。

先の目標ばかりを見つめると「あれが足りない、これが足りない」と欠乏感に囚われてしまうけど、すでに持っているものに目を向けると、自分の持っている幸せや豊かさが再確認できる。これはメンタル的な意味でもものすごく健全だと思った。

僕も、友人や先輩にモンスター級に絵が上手い人が居すぎて、彼らが伝説のポケモンだとしたら僕は今んとこピカチュウくらいだなと思っていたのだけど、思えば新しい仲間たちと過ごしたここ数ヶ月、絵のことはいつになく褒めてもらえた。

そうか、強みといっていいのか。

うん、言っていいのかもね。この異様なパッションの込もった原画たちを見ていたら、そんなふうに思った。描いてから時間が経ったからこそ客観的に見れるというか、別の人が描いたもののように見えてくる。

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でもこれは紛れもなく自分が作った作品だ、とも思った。なぜなら僕は、この漫画に向き合っていた時間のことをすべて知っているからだ。何を思って描いていたのかも。その時間のことを知っている人は他にいない。自分が肯定してやらないでどうするんだ。

この作品自体が、僕のHavingのひとつだ。
僕は僕の持っているものを、今一度信じることにした。

編集作業を通してそれを再確認できて良かった。なんなんだ、このセラピー感は…w でも次のステップへ進む前に、必要な時間だった気がしてる。

今のところ発売日は8/25(水)予定。正式に決まったらお知らせします!

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