一般的な携帯電話基地局工事に係る工事会社の資格要件について

今回は、一般的な通信キャリアの携帯電話基地局工事に係る工事会社さんの取得しておくべき資格や許可についてお話したいと思います。

携帯電話会社の一般的な携帯電話基地局工事では、大きく分けて①200万円前後のコン柱局工事、②400万円前後のビル局工事、③鉄塔局工事とわかれます。

【①、②の場合】
 概ね、電気通信工事業でOKです。これは、請負金額(支給材、消費税、運搬費等込み)が500万円未満であれば、そもそも建設業の許可は法律(建設業法)上不要です。ちなみに、請負金額500万円というのは、純粋な工事費だけではありません。発注者から支給されたアンテナや無線機、架台等の支給材の市場価格と消費税、運送費を含めたトータル金額となります。なので、工事費だけで500万円ギリギリの場合で支給材がある場合は請負金額は500万円を超える恐れが十分ありますのでご注意ください。
 請負金額が500万円未満の場合、建設業法上は建設業許可は不要ですが、通信キャリア等の内規で、元請負者に対しては責任施工を行う要件として建設業許可を求めている場合がありますので、その場合は通信キャリアの内規上必要となります。
 電気通信工事業の建設業を受けているものが工事を行う場合、主たる建設業種が電気通信工事業で、電気工事(電気工事業)や根枷等の基礎部工事(とび・土木工事業)等は附帯するその他の工事業種の扱いとなり、電気通信工事業の範疇で実施が可能です。また、許可種別は一般・特定どちらでもOKです。
ただ、コン柱局で主たる電気通信工事が250万円のところに擁壁設置が必要になり、擁壁設置に300万工事費がかかる場合等、主たる建設業種と同等あるいは、それ以上の請負金額になる場合は、「附帯するその他の建設業種」の扱いとならないケースがありますので、必要なとび土木工事等の許可が必要となります。
 また、ビル局等で屋上の大規模な防水工事や室内の大規模な内装工事が発生した場合はそれぞれの業種の建設業許可が必要になる場合があります。(主たる工事の内の一部の附帯する工事であるかが判断基準となります)

【③の場合】
 基本、請負金額(支給材、消費税、運搬費等込み)が500万円以上のケースになるかと思います。この場合、建設業許可が法律上必要となり、厳格な規制の対象となります。
 鉄塔局の場合、
 a)基礎工事:とび・土木工事業
 b)塔体工事:鋼構造物工事業
 c)アンテナ・給電線・光ケーブル・無線機工事(無機工事):電気通信工事業
 d)電気工事:電気工事業
のカテゴリに分かれます。
工事費としては、一般的に、
 a)50%
 b)20%
 c)15%
 d)15%
とした場合、元請負者として必要な工事業種は、
・とび・土木工事業
・鋼構造物工事業
・電気通信工事業
・電気工事業
の4業種となります。
とび・土木工事業の代わりに土木一式工事業があれば元請負者が通信キャリアより工事を受注し、専門工事会社(とび・土木工事業等を持っている会社)に基礎工事と塔体工事を依頼することもできます。ただし、土木一式工事業は自身で工事を行うことはできません。

 また、電気工事については、電気工事業の建設業許可や電気工事士を持っているだけでは仕事として電気工事を行うことができません。
 仕事として行う場合、登録電気工事業者もしくはみなし登録電気工事業者の登録を行う必要があります。携帯電話基地局工事ではビル局で高圧受電を行っている物件の低圧部より受電(借電)するケースがあるので、一般用電気工作物だけでなく自家用電気工作物も必要となります。よって、電気工事の種類を一般電気工作物及び自家用電気工作物とする必要があります。
建設業許可がない会社は、登録電気工事業者
建設業許可がある会社は、みなし登録電気工事業
となります。
建設業許可がないときに登録電気工事業者となり、のちに建設業許可を取得した場合は登録電気工事業者からみなし登録電気工事業者への変更手続きが必要です。

携帯電話基地局工事の規模別の大まかな資格要否は下記の通りです。
 凡例(●:法律上必須、◎:会社の内規がある場合は必須、〇:あれば尚可)

【請負金額500万円未満】
 ●主任技術者の配置(兼任可能、建設業許可を受けていない業者は不要)
 ◎統括安全衛生責任者又は準ずるもの(元請負者のみ)と元方安全管理者又は準ずるもの(元請負者のみ)か安全衛生責任者又は準ずるもの(下請負者のみ)の配置
 ◎一般建設業(特定建設業)※元請負者のみ
 ●登録電気工事業者(みなし登録電気工事業者)

【請負金額500万円以上、4,000万円未満】
 ●主任技術者の配置(兼任可能)
 ◎統括安全衛生責任者又は準ずるもの(元請負者のみ)と元方安全管理者又は準ずるもの(元請負者のみ)か安全衛生責任者又は準ずるもの(下請負者のみ)の配置
 ●一般建設業(特定建設業)
 ●登録電気工事業者(みなし登録電気工事業者)

【請負金額4,000万円以上】
 ●主任技術者の専任
 ◎統括安全衛生責任者又は準ずるもの(元請負者のみ)と元方安全管理者又は準ずるもの(元請負者のみ)か安全衛生責任者又は準ずるもの(下請負者のみ)の配置
 ●一般建設業(特定建設業)
 ●登録電気工事業者(みなし登録電気工事業者)

【下請契約の請負代金4,500万円以上】
 ●施工体制台帳の作成
 ●監理技術者の専任
 ◎統括安全衛生責任者又は準ずるもの(元請負者のみ)と元方安全管理者又は準ずるもの(元請負者のみ)か安全衛生責任者又は準ずるもの(下請負者のみ)の配置
 ●特定建設業
 ●登録電気工事業者(みなし登録電気工事業者)

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