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月待猫のうた

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思いついた詩の缶詰をつくります。そのときの「うめき」のようなものなので、人にみせるようなものではないかもしれませんが、ご笑覧ください。
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沈黙

        。    。  。    、                     、      〜                       ? ?

涙を拭う、笑いながら

世界は層構造だ。 楽しい飲み会の裏で、愛しい人を泣くした方がいる。 僕は、どっちの層にも存在する。 門出を祝い、笑い合う僕と。心が泣いているあの人の涙をそっと拭いたい僕と。喜びも、悲しみも抱き締めたい僕が。 それは、残酷なほど、どちらも真実で。 大好きな人が楽しいと、僕も楽しい。 大好きな人がつらいと、僕もつらい。 それは、違う層になって、ただ、そこに存在している。 どっちかの層のひとには、片方の層の僕しか見えないけど。 泣きたい。楽しい。悲しい。嬉しい。

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世界はミツバチによって

風がふく 高い気圧から低い気圧へ 風がふく 太陽から発せられた電子が 風がふく 家の戸の ちょっとした隙間から 風がふくとは、つまり そことあそこがつながってる ということ 便りも薫りも種も 風が運んでくるのは そことあそこがつながってる 証拠 ミツバチの羽も 風をおこす そのときに 世界をつなげている 吹き抜ける風は 自由だ 僕とあなたの間にも 風は起きているだろうか?

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やさしい弾丸

やさしい弾丸 曲がることなく やさしい弾丸 撃ち抜かぬことなく やさしい弾丸 苦しむことなく だれもをみんな、安らかに。 その弾道を血に染めて。 それでもいつも祈ってる 撃ち抜く彼らの平穏を。

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空への祈り

車を運転していると 少し先に横たわるものを見た ネコの亡骸のようだった いつもそうしているように わたしは神妙なふりをして 頭の中で手を合わせ ほんのひととき 「いのち」を考え、 はかなさに祈りを捧げた 「ネコ」だったものを、 静かに空に見送るように。 しかし その「なきがら」を通り過ぎるとき はたと、それが 脱ぎ捨てられたマフラーであると気づいた 雨に濡れ、風にさらされたマフラーが、 くたっと道端に在るだけであった なるほど 時の流れと風雪は マフラーの魂をボロボ

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路傍

暑い日にこときれたセミは。 その命を燃やし尽くしたあとで。 アスファルトの上では、 正しく朽ちることも許されない。

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暖冬の断頭

暖冬に首が切られる!! か細いベニヤの、 五ミリ幅に、 人々の首がどろどろと並べられる。 ぐ っと押しつけられ、 えうっともれる声も無視し、 斧はひっそりと振り下ろされる。 断面を黒く塗った首が、 はじけ飛んで、 くるくるくるくる、 つむじから床に崩れ落ちる。 脳頂に、 痛い床。 腕は上下によどみなく振られ、 左右に動く足は均等に幅を刻みながら、 なたを振り下ろすその目の玉は、 ぐるぐるぐるぐる 所在なく回り続ける。 温かい冬こそ、断頭!!

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