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空への祈り

車を運転していると
少し先に横たわるものを見た

ネコの亡骸のようだった

いつもそうしているように
わたしは神妙なふりをして
頭の中で手を合わせ
ほんのひととき
「いのち」を考え、
はかなさに祈りを捧げた

「ネコ」だったものを、
静かに空に見送るように。

しかし
その「なきがら」を通り過ぎるとき
はたと、それが
脱ぎ捨てられたマフラーであると気づいた
雨に濡れ、風にさらされたマフラーが、
くたっと道端に在るだけであった

なるほど
時の流れと風雪は
マフラーの魂をボロボロにするに足り、
「なきがら」とするに十分であった

だが、
それでは、
わたしが捧げた
神妙な祈りの先にあった
「いのち」とは一体
なんだったのだろうか

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