見出し画像

ウルトラマン«小説»

朝からくたくただよ。
昨日も一昨日もその前もだけど。

ゆっくり寝たいなぁ……。
幼稚園行くようになったら寝かせてもらえるのかなぁ。
いや無理か、もう一匹いるし。

そっち行かないよ!
ママこっち!ここ!
どっちかカート座らせれば良かったかな…
いや、時間かかるだけだ。
ちょ、髪引っ張らんで痛痛痛たた……

触っちゃダメ!
押してもダメ!走るなって!
あー声枯れてきたわ。
はいはいよしよしよし……もう少しだから。
要らないからそれは!
置いてきて!

あーもー誰か助けて。
はいはいわかってまーす。
あたしが好きで生みましたー。
わかってまーす。そうでーす。
くそっ!

パン潰しちゃダメ!

お願いします。ポイントカードあります、ちょ待って……
行かないよ!ピしてもらわないとダメだよ!おい!

「レジ袋、如何なさいますか?」

あ、エコバック車に忘れたわ。
おばちゃん、こんなクソガキに変顔までしてくれて申し訳ない。
ありがとう気持ちだけで十分ですよ。
袋1枚ください。

「かしこまりました。入れちゃいまーす」

おばちゃん袋詰め、はっや。

えーと、奥の台にかごを片手で運んで、小チビを抱えたまま、大チビを足で固定して急いで袋に詰めて……て、あれ?

「はい!お待たせいたしました!」

あ、どうも。


自分でやるより何十倍も早く、形よく詰められたレジ袋を下げて、走り出す大チビを追いかけて店を出る。

今日はどっちも泣かさないで
(あたしも泣きそうにならないで)
買い物が終えられた。

もっとちゃんとお礼言えばよかった。

お店のマニュアルに沿うなら、
あのおばちゃんは叱られるかもしれない。
でもあの3分にあたしは助けてもらい、
チビズも怒鳴られるのが1回分減った。

おばちゃん、叱られたりしないといいな。

やっぱりあたしは
泣きそうになりながら帰った。



☆ヘッダーお借りしました。ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?