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歳を重ねる

別部署の上司が異動になった。

出会いと別れの春である。

無駄話などはしたことがないお方だが、仕事上は世話になったので送別の品に一口かませてもらった。
後でブツを聞いたら、酒とぐい呑みにしたと言う。
え、いーな!と呟いてしまい、取りまとめ役に笑われた。
後日、満面の笑みで惣邑吟醸の一升瓶と渋いぐい呑みを持つ、彼の送別会写真を見せてもらった。
そんなに酒好きとは存じ上げなかった。
御本人にも、酒ありがとうね!塩辛買って帰ったよと、見たこと無い笑顔を見せてもらい、お別れさせていただけた。

何よりである。

日本酒を美味しくいただけるようになったのが、実は最近である。
若い頃は、他のアルコールに比べて適量の判断が難しく、醜態を晒すことが多くて、敬遠していた。
次の日に残らない呑み方ができるようになったのは、肝臓より胃袋のキャパシティが縮んだからかもしれない。

大人になると出来ることが増えるんだろうなと、子供の頃も若者の時も思っていた。
いざ、押しも押されもせぬ歳のオトナになってみると、出来なくなったことの多さに愕然とする。
走れない動けない食べられない。
階段を下りる足首の固さには目を見張る物すらある。

身体の衰えは先人の言い伝えで覚悟はしていた。
記憶力の衰えも想定内。
自分で驚いたのは、頑固さ、融通の利かなさという、気持ちの老化である。
一度意地を張ると、なかなか元に戻せない。めでたくも、面倒くさい年寄りの仲間入りである。

その一方。
嫌なことがあった時、昔はくよくよ気にしたり、思い出して落ち込んだりをよくしたが、最近はそれほどでもない。
切り替えが上手になったのだろうと己を褒めていたが、やはり記憶力が衰えてきただけなのかもしれない。

来週か来月あたり、全く同じ記事を書いていたら、こっそり教えて頂きたい。

こっそり、ね。

 

☆ヘッダー写真、お借りしました。ありがとうございます。

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