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好き嫌い

レバーが、食べられない。
アレルギーや宗教上の理由ではない。
息を止めて飲み込むのは可能である。

酒呑みがレバニラを断ると、意外だと言われる。
そうかなぁ?
ニラニラ炒めなら大好きである。

先日、職場で寿司ネタの話になった。
犬好き年下上司はマグロ。
猫好き年上上司はサーモン。
自分は、白身。鯛とか平目とか。
いや、食べられはするんだけどね。好きじゃないだけで。と、三人で口を揃えた。

先日の推しのラジオで、メールを読んでもらうことができた。
ありがとう、ねもちゃん!
野菜の好き嫌いはありますか?
多分なさそうだなと思いながら書いたが、案の定、「ない!」とのこと。
良い子である。

子供の頃は、ありとあらゆるものが苦手だった。
魚は鮪と鮭しか食べられなかったし、
茄子もセロリも駄目だった。ピーマンも駄目だったらしい。覚えてないけど。
生味噌も胡麻だれも嫌で、従姉妹に
我儘言うな!と叱られたものだ。
小学校の修学旅行で海端の旅館に泊まったが、夕飯の膳を見て、
白米とオレンジしか食べられない……と途方に暮れた。
なんと勿体ない!
今なら自分でしばき倒すところである。

上京して一人暮らしを始め、
色んな方々と食事に行ったり呑みに連れて行かれ、
食べられないと断ったり残すのが恥ずかしくて申し訳なく(だって奢りだとね)、
笑顔で飲み込む能力を身に着けた。
そのうちに、ほとんどの食材は平気で食べられるようになった。

未だに自分では買わないモノはたくさんあるが、出されれば食べるし、頂けば有り難く調理する。
大人になったなぁ、とたまに思う。

レバーも、十年に一度くらいは買おかな、と思うこともあるし(思うだけ)、焼き鳥屋で連れが頼めば一口もらうことはある。我ながら果敢である。
半世紀敗れ続けた対戦にも、いつか勝機が見える日が来るかもしれない。

レバーが食べられるようになった時、
果たして自分は
大人になったなぁ、と思うだろうか。


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