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新幹線と夜行バス

遠征続記。


知人を車で迎えに行き、駅前の24時間600円と表記の駐車場に滑り込む。
料金は折半だ。
駅まで歩くつもりだったが、同じ新幹線だとわかり、一緒に行くことにした。
空いていたので座席も隣同士に取り直す。

連れが出来たので、酔い止め代わりに
「新幹線真っ昼間ビール!!」をキメながらいく予定を諦め、大人しくお茶を買った。
話し相手がいるのはウレシイ。

イベントの入場に必要な物販が、事前のオンライン販売だったのが非常に助かる。
元来荷物が多くなりがちだし、見たら全部欲しくなるに決まっている。
引越のような格好で移動したら、絶対忘れ物をする自信がある。

少々遅れたが、無事に東京駅に着く。
前回の生誕遠征で3時間新幹線に閉じ込められ、物販に間に合わなかった連れは、安堵の溜息を大きくついた。


自分で調べるのはやぶさかではないが、前にも渋谷イベントに来ている連れに、全面的に道案内してもらう。
当方、画像記憶には自信があるのだが、場面を繋ぐ能力が皆無である。
見たことあるのはわかるが、どこかは知らん。
平たく言うと、方向音痴である。
久しぶりの東京駅も地下鉄もワクワクで、順路を覚えようとは全く思わなかった。

そして、これが8時間後に悲劇を産む。



イベントと、打ち上げの宴の後、連れと再び駅に戻った。
若い仲間たちとの邂逅を反芻しながら、初老2人は静かにはしゃぐ。
余裕を持って出るはずが、楽しくてぎりぎりになってしまった。
電車はもちろん、来た時と同じ車両ではない。

ホームに降りて、立ち尽くす。

えーと、出口は……どっち?

酔いが回った老化劣化脳を2つ並べて、とりあえずの勘で、早足で向かう。
しかし、見覚えのない通路しか出てこない。

とりあえず、改札を出る。
とりあえず、曲がってみる。
とりあえず、とりあえず、とりあえず。

すでに、夜行バスの発車20分前だ。

「地上に出るぞ!」
連れが叫ぶ。
瞬時に近くの階段をかけあがる。
「タクるぞ!」
今度は当方が叫んで、車道に手を挙げる。
相談はいらない。
阿吽の呼吸である。


善き運転手さんを捕まえることが出来、「東京駅、わかりにくいですよね〜」と、バス乗り場まで送って頂いた。

5分前である。

お土産はもちろん、お茶一本買えていない。

お互いの足腰が達者で本当に良かった。


この連れは、昔の職場の指導教官で、長年バディでもあった。
転職を決めた時。
この男とド修羅場の後の達成感を分かち合うことはもうないのだと、寂寥を覚えた。


………なんのこたぁない。
現場が違うだけで、何も変わらない。

給料をもらいながらのリアルタイムアタックが、こいつの布教のおかげで、プライベートで大金払って走り回るのに替わっただけである。


推し活は、計画的に。

次回は、東京駅をきちんと制覇する。



☆ヘッダー写真、お借りしました。ありがとうございます。

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