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「成功より幸福感」 テニス世界王者、コーチとの契約解消問題で考えた幸せの形

「自分が幸せを感じる瞬間はいつだろう?」

生きている中でそんなことを考える時がある。お金を多く稼げた時?人間関係が良好な時?自分が好きなことができている時? 人それぞれ指標となるものが存在しているのだろうか。

そんな中、関心を抱いたのがこの話題。1月に全豪オープンのシングルスでグランドスラム連覇を果たし、日本人初となる女子テニスの世界ランキング1位となった大坂なおみが、コーチを務めていたサーシャ・バイン氏との契約を解消したというニュースだ。


昨年9月の全米オープンで日本人初となるグランドスラム制覇の偉業を成し遂げた彼女。スポーツメディアの世界に身を置いている自分は、肌感覚でその注目度が上がっていく様を体感してきた。


テレビでも「大坂なおみ」の名前を目にする日が増え、男子の錦織圭とともに、日本のテニス界を背負って立つ選手となった。

「自分で考えさせながら、同時に僕が導きたい答えに、彼女が知らずしてたどり着くように、状況をセットアップすることもできる。それもコーチングの1つだと思うんだ」
https://the-ans.jp/column/40801/

そんな彼女を支え、二人三脚で歩みを進めてきたのがバイン氏。18歳でコーチに転身した異色のキャリアの持ち主で、セリーナ・ウィリアムズの練習パートナーやキャロライン・ヴォズニアッキのサポートを務めてきた人物である。


2018年に躍進を遂げていく中で、大坂とバイン氏の関係性は悪くないように思えた。少なくとも「グランドスラムを制覇する」「世界一の選手になる」という道のりにおいては、理想のパートナーとされてきた。そんな彼との契約を全豪オープンを制し、世界ランキング1位に輝いた絶頂期に解消した。

「一番は、自分の幸せより成功を優先する人間にはなりたくないということ。毎朝、練習することや、仲間と一緒にいることを幸せと思えるように。誰かを周囲に置くことで、その幸せを犠牲にしたくない」

彼女はバイン氏との契約解消の理由を問われ、このような言葉を残した。21歳で世界女王の座についた選手とは思えない地に足の着いたその回答に「大坂なおみ」の人間性を見た。


成功することが自身の幸せと必ずしも結びつくわけではない。「成功者」から発せられたその発言に、考えさせられるものがあった。


果たして、自分がいる分野でピラミッドの頂上を目指して登っていくことが幸せなのか。その登っていく過程で充実感を得られて幸せを感じる人もいれば、彼女のように信頼のおける人々といることが幸せに感じられる人もいる。


「幸せの形」というものはきっと人それぞれ大きさや種類が違っていて、人生のフェーズによっても変化していくもの。その形は時間の流れとともに変わっていくのだろう。


「自分が幸せを感じる瞬間はいつだろう?」

冒頭の問いに再び考えを巡らせる。この答えを追い続け、そこに向かっていくことが自分にとって幸せを感じ、人生をより良いものにしてくれる。そんなことを思うのである。

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