4号_B5_P10-11

読んでもらえる文章を書くには

本はめっきり読まなくなったけれど、文字を読むことは多くなった気がするSNSワールドの皆様こんばんは。

実は私、今小規模事業者向けのネットを中心としたコンサル会社にwebデザイナーとして勤めていまして。

未経験なんですけどね。

今まで、「プロに頼むお金がないから自分で作る」とやってきた、DTPやらwebデザイン、コーディングの知識と経験が、意外なところで役に立っています。(どうなの)

独学なんで、おびえながらやってますが。

で、仕事がね、デザインの部分よりもコンサルタントの方が重要視されてるので、そちらに興味が行っています。

お客様は、地元の飲食店とか、フリーランスでお教室とかやっている人とか、そういう皆様で、Facebookやブログを活用した広報や宣伝の方法について相談に乗っているんですね。

で、まあそのメソッドがだんだん分かってきたので、私は自分が一応得意分野としている「文章」について、デザインの視点を含めて「こういうこと気をつけてる」というのを書いてみます。

ネット上でも紙媒体でもなんでも、文章の読みやすさ・面白さは、下記の要素に起因すると思っています。

1.文章表現の正しさと豊かさ

2.文章の編集力

3.字面の見た目

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1.は、作文の能力です。

適切な「てにをは」や、主述の一致、誤字脱字が無い、長過ぎない一文、そういった、学校で習ったことと、

語彙の多さや、オノマトペの表現力、倒置法などのテクニックです。

文章や言葉、ひとつひとつの問題。

意外とこの1.が重要視されてないんだよね。
私は変な文章読んでるとイライラしてくるんだけどね。

ここを鍛えるには、とにかく量を書いて、人に添削してもらうに限りますね。自分の伝えたいことが正しく伝わっているかどうかは、人に読んでもらわないと分からないですから。

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2.は書きたいことをどういう方向から攻めるか、ということです。

情報の羅列から入るのか、時系列に従うのか、従わないのか。

結論から書くのか、心理描写を重視するのか、第三者の意見を引用するのか、自分の考えだけを書くのか。

例えばここで、「悪い例」と、添削した文章を比較列記してみるとかね。
(めんどうなんでしないんですけど)

ここは、段落単位や文書の流れなど、ブロックとしての文章の構成の問題。

図や写真を入れるかどうかもここに関係します。

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3.は、書いた文章をどう見せるか、ということです。

文字はどのくらいの大きさか、文字間はどのくらいか、フォントはどうするか、紙で見せるのか、webか、そういうやつ。

タイポグラフィとか、デザインの話。主に見た目の、文章をひとつの物質(といっていいのかな?コンテンツ、かな)として見る場合の問題。

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この3つは、どれも同じくらい大切で、文章を書く人は、この3つのすべてがコントロールできるべきだと思います。私はね。

だから、私は書きながら編集して、デザインもします。

ネットで情報発信するのって、3つ全部やらないといけないから大変だよね。

この3つのバランスをとるのって、よっぽどプロのライターとプロの編集者とプロのデザイナーじゃないと難しいと思うんですよ。

3のデザインだけを考える人は、文章を絵として見て、小さな字でぎゅっと固めるし。

<例> メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。

メロスは激怒した。

必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。

メロスには政治がわからぬ。
メロスは、村の牧人である。
笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。
けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、
十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。
メロスには父も、母も無い。女房も無い。
十六の、内気な妹と二人暮しだ。

この妹は、村の或る律気な一牧人を、
近々、花婿として迎える事になっていた。
結婚式も間近かなのである。
メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。
先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。

メロスには竹馬の友があった。
セリヌンティウスである。
今は此のシラクスの市で、石工をしている。
その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。
久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。

  ―『走れメロス』太宰治

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みたいな話でね。
note、あんまり文字の大きさ変えたりする機能ないっぽいから、この程度だけれども、この程度でもね。

そういう話を、もっと実例を交えて、セミナーなりワークショップやる需要ってあるのかしら。

1〜3を同等に全部考える文章講座って、あまりないと思うんですよ。

ちなみに、冒頭の画像は、私が執筆編集撮影デザイン販売をひとりで手がける、手ぬぐい同人誌「tenu」の誌面の一部です。

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