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何を売る?何を買う?



世の中は基本的に「売買」で成り立っている。




人は、「何かを売って」日々生活している。
それが
サービスなのか、労働力なのか、技術なのか、製品なのか
ただ、それだけの違い。
だから、世の中は常に「売るモノ」で溢れかえっている。




北九州は元々「職人の街」「モノづくりの街」
「高度な技術」とそれによって出来た「製品」が最大の魅力
昔は町工場がひしめき合い、そこに腕のいい職人さんが沢山いた。
それが時代とともに街の様相も変わり
今では全国屈指の「超後期高齢化の街」となった。
それによって介護職の需要が莫大に増え、
「技術」で出来た「製品」よりも
「技術」ありきの「サービス」のほうがより求められるようになった。
また少子化問題や北九州を離れる若者の増加と重なり
元々あったはずの「いいモノを作る高度な技術」は
引き継がれることなく、静かに姿を消していった。




私自身もかつて北九州を離れた若者の一人だった。
”ここにいても面白くない”
そして向かったのは、大都会「東京」
なんのツテもアテもなく、だけどなんの不安もなく
意気揚々とたった一人で乗り込んだ。
そこで私が生きるために「売っていたモノ」というのは
・ダンサーとしての「自分」と
・特殊対人販売とPRが出来るという「技術」「サービス」
両親は「どうしてそんな仕事をしているのか?」と不思議がったが
自分なりには最初から決めていたことがあった。




前述のとおり
北九州は元々「職人の街」であり「モノづくりの街」
自分が北九州で生まれ育つ中で見てきた腕のいい職人さんは皆
必要以上に自分を語ることをしない。
必要以上に自分が目立つことをしない。
なぜか?
そんなことが必要がないぐらい「いいモノ」をつくるから。
職人さんが売るのは自分ではなく「出来た完成品」でしかないから。
だからいいモノをつくる職人さんほど
仕事以外では、穏やかで静かで口数少ない方が本当に多い。




そんな街の背景もあり
北九州の人間というのは往々にして目立つことを嫌う。
それはいいモノを作る職人さんの良さでもあるが
自分のやっているPR・販売業からすると大きなウィークポイントでもある。
「せっかくいいモノを作るのに、
 それが世に広がって買ってもらわなきゃ意味がないじゃないか」

印刷所の第一子として生まれた自分が
家業の手伝いをさせてもらう中でずっと思っていたこと。
どんなにいいモノを作ったとしても
「こんないい商品があるんですよ」と世の中に広めないことには
そこにいいモノがあるということすら、世間の人間は知ることが出来ない。
そしてその商品の素晴らしさが伝わることはない。
本当はそんな商品を求めている人間がいたとしても
あることを知らないので買う事すら出来ない。
どんな商品でも同じ
「ただそこにあるだけでは絶対に売れない」
―――じゃあ、どうしたら買ってもらえるようになるのか?
その「技術」を私は東京で徹底的に磨いたのである。
「PRする技術」
「納得して買っていただく技術」
なんのツテもアテもなく乗り込んだ東京で
その業界ではいつの間にか有名人となり、指導した人間も数百人となった頃
印刷所は倒産した。
「売れなければ、会社は潰れ、製品は姿を消す」
東京で商品を売りに売っていた自分は
北九州で製品が売れなければどうなるのかという最悪の結末を
嫌でも突き付けられた。
「どうしてもっと早くに自分の技術を提供出来なかったのか」
北九州に戻ってしばらくは後悔の念に駆られていたりもした。




商品が売れることによる潤いと
商品が売れなかったことによる最悪の結末を
自分は両方知っている。
だからこそ目立つことを厭わない。
だけど、私は「自分」を売っているわけではなく
いいモノを知っていただくために
いいモノの魅力を伝えるために
いいモノを買っていただくために
「いいモノのために技術を以って自分が目立つ」というだけ
なので実際に私がPRや販売している現場を見たことのある人間の中で
私の趣味や好き嫌い、交友関係まで知っている人間は誰一人いない。
それは「自分を売ってはいないから」である。
指導する際に必ず言う言葉が
「売るのは”商品”だよ」
デモンストレーション販売で少し慣れてくるとよく
「自分はこうだから~」ということを口にし出す。
これは間接的に口コミを伝えたいという気持ちの表れなのだけれども
言われたお客様にとっては一切求めていない情報だったりする。
お客様が知りたいのは、「販売員のことではなく、その商品のこと。」
なので「自分は~」と言い出すとお客様が一気に興味を失うことが多々ある。
またキャリアが長くなると「自分の顔」で販売する方も多く
自分の色で商売するようになる傾向がある。
特に実演販売の世界では顕著で
「この商品ならこの人」みたいなイメージがつくことが多く
デモンストレーターありきの商品になってしまうことがよくある。
販売人というよりは「販売タレント」に近い。
これはテレビというメディアを使う場合かなり効果的なのだけれど
現場ではテレビほどの反響はなかったりする。
理由はやっぱり
お客様が知りたいのは、
「販売員のことではなく、その商品のこと。」だから。




人それぞれ販売哲学を持っているので一概には言えないけれど
個人的には
「自分の色を持たず、自分のことを売らず、”商品”を売る」
これがいい販売人・PR人だと思っている。
自分の色がつけば、自分の色以外の色に変わることが難しくなり
自分を売れば売るほど、商品は売れなくなる。
メディアよりも現場を優先してきた自分ならではの販売哲学。


北九州ではよくUターンを促進する活動をやっている。
かつて”ここにいても面白くない”と東京へ飛び出した自分も
ある意味Uターンした人間である。
その私が北九州に持ち帰った「技術」というのは
「商品を買っていただく技術」
「いいモノを世の中にPRする技術」

モノづくりの街・北九州に溢れかえる
まだ日の目を見ない「いいモノ」を買っていただくために
販売・PRの「プロ」として腕を磨き続けるばかりである。


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