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TURN/陸から海へ―ひとがはじめからもっている力(みずのき美術館)

(この記事は全文公開の投げ銭制記事です。またYADAMANIARTのホームページにも同じ記事を載せています)

(画像はこの展覧会のチラシです)

本日1/10、みずのき美術館にて「TURN/陸から海へ―ひとがはじめからもっている力」展を鑑賞しました。この展覧会は1/12までみずのき美術館で開催中です。いま詳しい内容や批評を読みたくない人はここから下は読まないでください。

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やっと、みずのき美術館にいける、と思った。京都に住んでいながら今まで行けなかった、アールブリュットの美術館である。この時期開催されていた展覧会が、表題の「TURN/陸から海へ―ひとがはじめからもっている力」であった。

ひとがはじめからもっている力。なるほど人が生まれた時から持っていた力を、芸術として発散させる、自分の力を余すことなく発揮する。そしてそれを忘れがちな人は、社会性とか協調性などの枠にとらわれず、はじめから持っていた力を思い出し、発揮する。それは面白そうだなと思って行ってみた。

チラシには作家名が並んでいる。裏に少しだけ載っていた作品写真と説明を見る限り、どうやら現代美術作家とアール・ブリュットの作家を同列に扱い展示するのかと思った。これはますます、期待がふくらんだ。

ところが、である。

小さな美術館に十数人の作家を展示してあるものだから、はっきりいって狭かった。美術館の職員が展示案内図と全作家のプロフィールをくれたのは非常に良かったが、それを見てぐるぐる作品を見て回るにはやっぱり会場が狭かった。

それに、いわゆる現代美術作家の作品がどうしてもインパクトがあって、アール・ブリュットの作家が目立たなくなりがちなのである。例えば、戸來貴規の「日記」は、B5の紙の枚数1000枚、厚さ30cmにも及ぶ記録の集積であり、私はその人の生きた歩みが感じられていいなあと思ったのだが、なにしろ地味なので、いわゆる現代美術作家たちの力が入りすぎとも感じられる作品に囲まれると、どれだけの人の眼にとまるだろうかと思う。

それは作家に問題があるわけでなく(作家はみな、持っていた力を出し切ったわけだから)、やはり構成に問題があるのではないかと思った。ガイドブックで数えたところ(数え間違えていたらすみませぬ)、みずのき美術館ではアール・ブリュットの作家が4人しかいなかった。これが巡回先になると最大9人のところもあった。9人もいれば、また違った感じになったかもしれないと思った。

やっぱり、展覧会の企画・構成は大きなものほどしっかりしてもらわないと、と思った。

この展示で「アートはわからん」という声が出ないことを祈るばかりだ。
そのためにも、巡回先へ行ける人は行ってほしい。

<巡回先>(以下すべて2015年)
1/31(土)→3/29(日) 鞆の津ミュージアム(広島県)
4/18(土)→6/28(日) はじまりの美術館(福島県)
7/18(土)→9/23(日) 藁工ミュージアム(高知県)


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