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シーハルク:ザ•アトーニーのラストは何故ああなったのか!

原作再現したかったから!

センセーショナルシーハルク#37
シーハルクがライターのジョンバーンにケチつけるシーン

シーハルクは物語の語り手よりもずっと強い無敵の存在なのだ!

これで終わってもいいのだけれど物語としての終わり方が最高だったから語る記事を作りました。

主人公は誰?

言っとくけどこれは
毎週誰かがカメオ出演する
タイプのドラマじゃないからね、ホント
ブルースは別、ブロンスキーも別
後ウォンも
主人公が私だってこと忘れないでね

ジェニファー/シーハルク シーハルク:ザ・アトーニー

シーハルク:ザ・アトーニーの物語の主人公は勿論シーハルクであり、この物語で最も重要なのは彼女と彼女が紡いできた物語だ。
スーパーヒーロードラマとして求められることやMCUの歴史、らしさなんてものははっきりいってどうでもいいのだ。
だってこれはマーベルコミックで最も愛されているキャラクターの一人である「シーハルク」のドラマなのだから。
この物語は「ジェンとシーハルクを両立させようとして困難にぶつかる話」だ。
であるからしてジェンでありシーハルクでもあることを受け入れ両立し、新しい「普通の日常」を送ることが当然このドラマの帰結するところで、シーハルクの姿で法廷に向かう彼女が象徴的だ。

K.E.V.I.Nとの戦いは
ただのコメディじゃないよ

君はK.E.V.I.Nが用意した結末をうち壊した

K.E.V.I.N シーハルク:ザ・アトーニー

シーハルクは「弁論」という戦いで物語の主導権を勝ち取ったのだ、これは冗談でも何でもない。
K.E.V.I.Nの進めるまま(いつものMCUのようにと言ってもいい)ハルクキングと戦って、
シーハルク:ザ・アトーニーは完結できるだろうか?いや勿論そうではない。
特にセッションのシーンが顕著であるが、自分と新しい自分に向き合うドラマだった。
となれば当然派手なアクションと殴りあいでは終われないドラマである。
これまで描いてきたストーリーから繋がっていないしクライマックスになり得ないのだ。
自分が自分であることを受け入れ自分に相応しい物語を歩むこと、
シーハルクとジェンが主役となって自ら物語を切り開いていくことこそが、このドラマの決着としてふさわしいのだ。
そのためなら神とも戦い、運命をうち壊す。
それを「弁論」というやり方で表現するのがこのストーリーの面白いところだ。
無敵でスマートでクールでコミカルなシーハルクにぴったりの最終決戦と言えるだろう!

メタ視点でみるK.E.V.I.Nとの戦い

マーベル映画はどれも同じ終わり方
だとも言われます
恐らく何らかの暗黙のルール
に従っている結果でしょう

ジェニファー/シーハルク シーハルク:ザ・アトーニー

この指摘は正しいようで正しくないようでちょっぴり正しいように感じる。
言ってしまえばマーベル映画だけでなく、ほとんどのアクション映画やマーベルコミックも乱暴に片付けてしまえばそんな感じだからだ。
宿敵の対峙、どんでん返し、ド派手なアクションこれで燃えない人間はいない。
エンタメの基本であり、観客が望むものだ。
でも“それ”だけではないのだ。
例えばシーハルク(2022)はシーハルクとジャック・オブ・ハートとのロマンスを描いた日常系コミックで、センセーショナルシーハルク(1989)はシーハルクが次元の壁を越え、作者に文句をつけたりできちゃうコミカルなコミックだったり、
“それ”からずれたヒーローコミックも出来てしまうキャラクターなのだ。

生き返ったばかりのジャックと
再出発を果たしたジェニファー
2人のちょうどいい生き方を探すロマンスコミック
シーハルク#3(2022)

勿論“それ”は楽しいし、シーハルクにもそういう作品はある。
でも今回は“それ”はやめようと彼女はいい、
エンディングでK.E.V.I.Nはシーハルクのコミックを持っているシーンが描かれる。
なんでも売れるために、観客を楽しませるために“それ”の型にはめるのではなくマーベルコミックの「シーハルク」というキャラクターをどう描けば魅力を伝えられるか?
この物語にふさわしい結末は何かをもう一度考え直していく、という「マーベルスタジオ」からのメッセージだと思っている。
また一つMCUというユニバースが拡張し、
こうした描写も受け入れられる懐の深い世界になってきたことがすごく嬉しいのだ。
MCUの世界を利用しぶち壊して、シーハルク:ザ・アトーニーの世界を勝ち取ったのだ!
K.E.V.I.Nへのアクセスを禁じられ、エラーが修正されてこの手は二度と使えないと
シネマユニバースファンへの目配せもあるのがギリギリの禁じ手であることが強調され愉快ですらある。

終わりに

シーハルクの最初の連載サベージシーハルク読み終わった人の感想だ。
稚拙な文章ではあるがこの人は恐らく製作陣と同じくシーハルクへの理解が深い人で、
シーハルクの物語はロウ←→カオスのバランスをとる話であると端的に表している文章だ。
まさしくシーハルク:ザ・アトーニーの描いてきたそれと合致する、このドラマはあらゆる時代のシーハルクのエッセンスがぎゅっと詰まった最高の作品であるという他ない。

引用出典とKindleのリンク
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